はじまり
宇宙では数えきれないほどの星が誕生し、死んでゆく。そしてある星に生命が誕生し、その生命は進化し続け、星を飛び出しとうとう宇宙空間へと進出していった。宇宙空間で生息する生物はブルースターと呼ばれ、形や組成はさまざまであるが見た目は星とほとんど変わらない。しかし、体内には神経が張り巡らされ、意思を持ち重力をコントロールし宇宙空間を移動することができる。また、ここ数千年の間に進化した生物であり、多くの謎に包まれていて、詳しいことはほとんど分かっていない。
スピカは、人間と共存するブルースターだった。「スピカ」とはその人間が付けた名前だった。そしてスピカはたった今、謎の宇宙船からの襲撃を受けていた。
見上げれば火の粉がちろちろと美しく舞っている。黒く焦げて横たわっている木の幹は所々赤く不気味な光を発しパチパチと音を立てている。
「レオン!」
はっと我に返ったレオンが振り向くと顔の右半分を血で赤く染めたフィルがいた。
「フィル!」
フィルがレオンの前にしゃがみ込みレオンの両肩を掴む。びくっとするレオンの目は涙で潤む。
「レオン、お前とナナとスピカを逃がす。」
光を湛え、落ち着いた瞳がレオンを捉える。レオンの目からこらえ切れず溢れ出した涙で地面の火の粉がジュワーッと言う音だけが二人の耳をかすめる。辺りがかつてないほど騒がしくなって、フィルは決意を固めた。敵はすぐ近くまで来ている。
「レオン、スピカに頼んでリビアに行くんだ。ナナとスピカを頼んだよ。」
泣くのを必死にこらえて一度こくんと頷く。
「よし、じゃあ行ってくるよ。」
「……レオン、愛してる。」
フィルはレオンの小さな体をぎゅっと抱き寄せた。
「ううぅ…」
嗚咽をこらえるように体を震わせる。
(大丈夫だ。お前たちは必ず守る。死なせはしない。)
「ありがとう。」
レオンの耳元に話しかけ、もう一度強く抱きしめる。
フィルは口元に笑みを浮かべ、強いまなざしでレオンを見つめ、火の光を受けて輝く金髪をなびかせ、振り向くことなくその場をあとにした。




