7 ヤミ
俺たちは今日もギルドに来ていた。
「レナさん、何かいい依頼ありますか?」
「あっ、レイさん。そうですね、Aランクのワイバーン討伐がありますよ?」
「では、それでお願いします。行こうかルナ。」
「はいはい。」
「はーーー。」
私はレイさんが出て行ってからため息をついた。それは昨日ギルドマスターに学園の話をされたからだ。言うべきか言わないべきか。いや、言わないわけにはいかないのだが。
「はーーー。」
私はもう一度ため息をついた。そして決めた。依頼を受けて帰って来れたら言おうと。
今日、Aランクの依頼を受けさせたのは私なりの試験だった。仮にもギルドの一員として学園に行くのだ。だから依頼をモノサシに実力を測ろうとした。何があっても対処するだけの力があるのか。それを知るために。
「おーー!あれがワイバーンか!でかいな!」
「レイ、はしゃぎすぎよ。気持ちはわからないでもないけど。」
今俺たちはワイバーンと遭遇したところだ。
【ステータス】
ワイバーン
魔物
レベル 86
HP 870
MP 590
STR 800
DEF 540
AGL 450
スキル
火魔法 Lv6
風魔法 Lv6
爪術 Lv7
あまり強くない。強くないのだが、
「レイ。現実逃避もそこらへんにしなよ。」
「だってよ、ルナ。正直、これは面倒臭さい。」
そう。俺が何であんなに興奮的な態度でワイバーンを褒め称えたかというと、ただの現実逃避だ。なぜならワイバーンがなぜか、群れでいるのだ。その数、十数体。
「それなら私がやろうか?多分大丈夫だろうし。」
「いや、全部俺にやらせてくれ。その方が多分速い。」
本当はルナに任せたかったが、俺は悟ったのだ。いつ、いかなる時、強敵が訪れてもいいように少しでも力をつける必要があると。
「というわけで、『プレッシャー』からの『フリーズワールド』『アイスクラッシュ』」
まずワイバーンを重力魔法で動けなくして、氷魔法フリーズワールドによってワイバーンどころかあたり一面を全て凍らせた。最後にアイスクラッシュによって全ての氷を壊して全員粉々コース。
「なぁ、ルナ、明らかにおかしいよな。今のワイバーンの群れ。っていうか、ワイバーンって、群れで行動しなくね?」
「そうですよね。わかってました。そして、面倒ごとが本当に来てしまいました。」
「グァァァァァァーーー」
空から声が聞こえるな。嫌だな。見たくないな。よし、帰ろう。
「現実逃避しないでくださいよ。というか、あれ、多分私より強いですよね?」
「はーーー。多分ね。危ないからルナは手を出すなよ?」
とりあえず鑑定だな。
【ステータス】
ダークエンペラードラゴン
魔物
レベル 348
HP 3850
MP 3500
STR 3000
DEF 3000
AGL 3600
スキル
闇魔法 Lv10
牙術 Lv10
爪術 Lv10
身体強化
詠唱破棄
威圧
龍の契約
人化
➖威圧➖
自分より総ステータスが低いものの動きを一瞬止める。
➖龍の契約➖
龍種限定のスキル。主を定め、契約する。主になる者のステータスが少し増える。
うん。ちなみに俺のステータスは
【ステータス】
レイ
人間
レベル58
HP 13000
MP 10000
STR 12500
DEF 8500
AGL 9800
スキル
剣術 Lv10
拳術 Lv8
柔術 Lv9
火魔法 Lv6
水魔法 Lv6
風魔法 Lv9
土魔法 Lv4
雷魔法 Lv9
氷魔法 Lv10
光魔法 Lv1
身体強化 Lv9
詠唱破棄
ユニークスキル
レベル促進
フォースイーター
全魔法適性
完全鑑定
完全偽装
重力魔法
わおー。チートだ。
「グァァァァァァーー」
うるさいな。おっとあくびが。
「お主、人間か?」
「ん?お前話せんの?」
龍が話しかけてきた。ってか今思ったけど、エンペラーって皇帝じゃん。もしかして龍の頂点だったり?
「うむ。ところでなぜ、我の威圧が効かない?」
「威圧って自分より総ステータスが低いやつに効果がある。つまりそういうこと。」
「っな!・・・・・ハハハ、ハハハ、ハハハハ、ハハハハ!面白いなお主。もし、我に勝つことが出来たら契約してやろう。」
「光栄だね。じゃあ、戦闘不能あるいは、確実に殺せそうな攻撃を寸止め、あと降参したら負けな。」
「了解だ!」
そう言って、いきなり尻尾で攻撃してきた。
「『アイスレーン』」
俺は攻撃を誘導するように氷の道を造って回避した。そいて、ミスリルソードを抜き、身体強化をして、素早く相手の顎下にもぐり込み首に剣を添えた。
「俺の勝ちだな。」
「っ!まさか本当に我が負けるとはな。約束は守ろう。お主と、いや主と契約しよう。」
「流石ね。レイ。勝てるとは思わなかったわ。」
「ルナよ、少しは俺を信じろよ。」
「冗談です。」
フフフ。と笑いながら言われた。
俺とルナはドラゴンの背中に乗って戻ってきた。
「このまま入ると目立つな。ドラゴン、人化してくれ。」
「了解だ、我が主。」
そう言って人化したドラゴンは大学生くらいの見た目。真っ黒な髪に魅惑のボディー。その美貌はルナに勝るとも劣らない。
「どうだ?なかなかの容姿だろ?かなり自慢できると思うのだ。」
「ああ、かなり好みだ。っと、それより名前だな。闇を使う龍だからヤミでどうだ?」
「いいと思う。よろしくね、ヤミ。」
「名前をありがとう。主よ。」