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わいは、豚である  作者: 愛雌 雄
9/10

わい、戦う

「わい、戦う」



「花楓殿!!」


「耕太郎君!!」


花楓殿のいる部屋へ突入。

先ほど散っていったヤクザの者どもは全員、応援に来た警察官に逮捕された。

日本警察は本当に優秀でかっこいいでござる!



「な、またてめぇ!? どうやってあの量を切り抜けたんだぁ!?!?」


下半身丸出しの男、郷田長龍がわいの姿に驚く。

全身タイツのわい、郷田長龍の下半身に驚く。


「お主恥ずかしくはないのか? 今すぐ自白して、少しでも罪を軽くすることをお勧めするでござる」


「すでにここは包囲されている! 今すぐ罪を認めれば、少しは復帰が早くなるんじゃないか?」


しかし、怒り心頭の長龍はその懐、そもそも懐にはグロテスクなイチモツしかないのだが、車いすに装着されていたピストルを構える(イチモツを構えたわけではない。それは気持ちが悪いだけである)


「うるぅせあああ!! 邪魔しやがって!!」


そのピストルからは銃弾が放たれる。

それがわいではなく、高田殿の右足に命中。

高田殿は鈍い痛みに苦悶する。


「き、貴様なんてことを!! 卑怯でござるぞ!!」


「黙れ黙れ黙れ!! お前のような超人のほうが卑怯だろうがああああ!!」


「こ、耕太郎さん、私のことは構わず、奴を、倒して、彼女を、救ってください……!!」


にじみ出る血を高田殿はハンカチで抑え、応援を呼んでいる。


「いま、今すぐ倒すでござる」


「おおーと動くな豚野郎!! 今この女には俺とこの二人の男の銃口が向いてんだぜ!? 俺達でもてめえに一人ボコされる瞬間は見逃さねえ! さすがのお前も! 頭にくっついた銃口からの弾丸は防げねぇ!! 今すぐここで俺達に謝れ! そしてお前が死ぬ条件を吐け! そしたらこの女は逃がしてやるよ!」


「な、なんだと……」


「十秒だ!! 決心に七秒! 膝をたたんで頭を地面に擦り付けるまでに3秒くれてやる! ほら! とっとと決めなッ!!」


俺は軽く後ずさりをする。

「10」

「耕太郎さん……!」

「9」

いったいどうすれば。

「8」

三人を同時には倒せない、密着した銃口からの銃弾は、防げない。

「7」

静かな空間で、唯時だけは、いつも非情に、誰にだって無慈悲に流れる。ただ、平等に。

「6」

子供の頃からそうだった、時間が過ぎるのは自分のせいではないからと、目の前のものをそのまま受け取り、何かを変えてやろうと努力したことは無かった。

「5!」

いつも一人だった。ほんとは逃げていただけだった。できないことが悔しくて、いくら頑張ってもダメだったから、頑張らなければすべて解決だと、勝手に判断して、そして逃げた。

「4!!」

もう、数十年も、俺は一人だった。

「また、ダメなのか……?」

「決心はついたか!? 3!!」


囁くような声が聞こえる。

「耕太郎さん、僕が左のやつを撃ちます」


「何をこそこそ話してんだァッ!? 2!!」


「な、何を」

「耕太郎さんは一人じゃないです、一緒に、困難を切り抜けましょう」

な、お、俺は、俺は……


「いいのか!? 殺っちまうぞ!? イイィィィチィッ!!」


俺は! 一人じゃなかったのか……。


「残念だよ、豚野郎」


「耕太郎君!」


「撃ちます!」


困難が現れた時、逃げるのではない。 立ち向かうのではない。 だって勝てないから。 でも、二人なら。


俺は高田殿の発砲音と同時に長龍と右の男をぶん殴る。

男たちは宙を舞う。


そよ風が吹くような一瞬の出来事。


俺の世界が変わった、たった10秒ほどの出来事。


気絶した男たちの体が地面に着くころ、静かに舞い上がる埃の中で俺は高田殿のほうへ顔を向ける。


「高田殿、いや、高田さん、本当に、本当に、ありがとうございました!」


そういう俺の頬を涙が伝った。



第9話「わい、戦う」


次回で一応区切りです。

続くかもしれませんし、続かないかもしれません!

明日も夜投稿です! よろしくお願いします!!

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