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わいは、豚である  作者: 愛雌 雄
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わいと、花楓殿のいる世界

わいと、花楓殿のいる世界



事件の後、俺は郷田長龍ら3人と、ケガを負った高田殿を警察に預けた。


「本当にありがとうございました、耕太郎さん、今度一緒に飲みませんか、おごらせてください」


「楽しみに待っているでござる! 花楓殿も共に良いかな?」


「もちろんですよ!」


俺と高田殿は友達のような関係になった。



一方、捕まっていた花楓殿は、俺に腕を解かれると、


「こ、耕太郎君!! こ、怖かったぁ、ああ、ああああぁぁ」

と、俺に抱き着き、大泣きしてしまった。

俺は抱き返し、こう言う。


「わいが来たでござる、もう安心だよ」



ヤクザはほぼ全員逮捕された。

郷田長龍はもともとの、適当な処置が施された胸骨の複雑骨折と、右足の銃撃な傷が開き、さらに顎の骨が粉砕、脳震盪まで起こしていた。 特に障害も残らなかったが、長い間織の中で過ごすことが、その後決まった。

しかし、大量の逮捕者の中に、組長、郷田達平の姿はなかった。



自宅、警察の取り調べを終えた俺と花楓殿は部屋の中でようやくひと段落する。

既に外でご飯を食べ、温泉に行って、後は寝るだけだ。

花楓殿が着替えているうちに、俺が二人分の布団を敷く。


敷き終わったころに、花楓殿が現れた。

なぜか下着姿で。


ぱっつんぱっつんの下着は今にもはち切れそうだ。

揉んでくださいと言わんばかりに大船が揺れている。

きわどい位置まで締め付けられた下の下着は見てはいけないと叫ぶ脳みその命令をを脊髄が遮断。 目を離せない。

部屋の中のいい匂いは今だけは艶やかなにおいに変わり、俺の欲望に直球で挑んでくる。

そんな自分の顔を無理やり違う方向に向け、自我を保つ。


「よ、よよよよっよし、ね、ねね、寝るか!」


「う、うん……」


彼女が電気を消す。

狭い部屋の中、俺は必死に羊を数えた。

部屋が一部屋だから布団同士が近いからだろうか、彼女の匂いが俺の鼻について離れない。

本当は今すぐ抱きしめたい。

花楓殿が襲われているとき怖くてたまらなかったと言いたい。

でも、彼女は美しすぎる。

この世の汚れである、わいには、

心の中でしか、想像の中でしか輝けない、俺には、

豚になった時しか戦えない、拙者には、手が出ない。

出しちゃいけない。

だから、羊を数えて寝ることに専念する。


ああ、なんてこった、彼女が俺に抱き着いているように感じる。


暗い部屋、時計の音しか響いていない中で、俺の妄想は真実であることを知る。

目を開けると俺の首には腕が、後ろから巻かれていた。


「耕太郎君、今日は本当にありがとう」


「な、な!! か、花楓殿、これは……」


「耕太郎君へのお礼。 一緒に寝ませんか?」


「で、でもこんな!」


「耕太郎君はもっと自分に自信をもって? あなただから、私は好きなんだよ?」


「で、でも、拙者は、このスーツが無くては、花楓殿の役には……」


「ううん、そんなことない、だって、強くなくても、耕太郎君はきっと私を助けようとしてくれた。 勝てなくても、絶対に走り出してたよ?」


「い、いやしかし、わいは、汚らしいオタクの社会不適合者で……」


「耕太郎君は好きなことをして輝いているんでしょ? それは素敵なことだと思うよ?」


彼女の柔らかな口調は続く。

暗い部屋で、もう俺の視界はぐちゃぐちゃに歪んでいた。

初めてかもしれない、誰かに肯定されたのは。


「お、俺は、どうしても現実には出てこれない!」


「いいえ、きっともう出てきてるよ、私を助けに、妄想の世界から飛び出してきてくれたでしょ?」


心の中の、枷のようなものが外れた気がした。

開かれた心からは何十年分の涙があふれる。


「俺、最初はこのスーツのおかげで、強くなったから、勇気が出せるんだと思っていた」


「うん……」


「でも、でも違ったんだ、いつの間にかできてたこの爪のおかげでも、優秀な感覚のおかげでも、スーツの怪力のおかげでもない……花楓、お前がいたおかげで、俺は勇気が出せた。お前がいなかったら、スーツを着てても、高木とまともに話せなかった。 お前がいるから、またお前に会いたくて仕方がなくて、お前のことを考えると勇気が出せたから、戦えたんだ」


「私も。 耕太郎君がいたから楽しかった。引っ越してきたこの場所で、安心して暮らせると思った。 耕太郎君といる時が一番幸せ。 ありがとう」


そう言うと花楓は俺の顔を自分のほうへ向ける。

暗がりの中で、彼女の吐息が鼻先に触るのを感じた。


「こんな泣いて、いままで辛かったよね? これからは、私がいるよ? 安心して?」


そして、俺と花楓は唇を重ねた。

彼女の唇を俺が受け取ったといってもいい。

すると、魔法が溶けた様にかぎ爪は消滅し、細い指が現れる。

豚の鼻は元の鼻に戻り、俺は花楓を強く抱いた。ちなみにタイツはそのままだった。



その後も俺と花楓はその家で暮らした。

その後の物語は、近い将来、また生まれてくるだろう。

でも、やはり俺はオタクだ、キモ豚だ。

それは変わらない。

でも変わったことといえば。

俺はそれを誇る。 恥とは思わない。

つまりはこういう事だ。


わいは、豚である。 ただそれだけだ。 いつまでも、これからも。



第十話「わいと、花楓殿のいる世界」


ここまで、10日間の投稿でした! 読んでくださった方、ありがとうございます!

また違うのを書くかもしれませんし、今までのものの続きを書くかもしれません!

是非是非! またお越しください!

p.s.風邪には気を付けてください

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