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タコ忠はあの子と墨を吐く
一匹のタコ――タコ忠は海の中を優雅に泳いでいました。
器用に足を動かして泳いでいると、突然、目の前が真っ暗になったのです。タコ忠は驚きましたが、よく見ると、それは墨でした。墨が消えると、メスのタコが申し訳なさそうな顔で、謝ってきました。深海の美しい光景に興奮し、思わず墨を吐いたらしく、理由に納得したタコ忠は許しました。
それがきっかけでタコ忠はあの子と顔を合わせるたび、挨拶を交わすようになったのです。あの子のタコ懐っこい性格に惹かれ、好意を抱くようになりました。
タコ忠は墨を吐きながら、チラリとあの子に視線を向けます。あの子も墨を吐きながら、嬉しそうにタコ忠を見つめていました。
タコ忠とあの子は見つめ合い、どちらからともなくキスをしたのでした。
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