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FPSゲーマーの転生先なんて決まってる!~ストーリーモードなんて覚えてる訳ない~  作者: 栗飯


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156.生者の柩



時は少し遡る。


私達は地下へと通じる階段を発見、最奥まで下る。


広い……

地下へ降りた先に広がっていたのは、想像以上の空間だった。

ドーム状に広がる天井。高さも広さもある地下空間はかなり広い。

東京ドームくらいあるかもしれない。

私は行ったことなかったから、知らんけど。


「……なんだ、ここは」


アランさんの声が、やけに小さく聞こえる。

それだけ、この空間が異質だった。


中央。


そこに、全ての視線を引き寄せるものがあった。

巨大な祭壇である。

階段で高くなっている祭壇は、全てが少し荒んでいるが、鈍く輝いている素材でできている。

金だ。


「……光が」


ロジェが息を呑む。

そう。その祭壇に刻まれた無数の紋様が、淡く、しかし確かに脈動するように光っていた。

緑のネオンのように、暗いこの地下空間を照らしている。


「……」


私は無言で一歩、踏み出す。


私は……この光景を知ってる。


何度も、何度も見た場所。

何度もここで死んだ。


「これは………(ひつぎ)?」


アランさんも私に続いて祭壇へと近付く。

祭壇の中心。

祀られるよう一段高くなった場所に、それは鎮座している。

大きな柩。


ゾンビモードの主たるレガシーアイテムとなるもの。

【生者の(ひつぎ)】である。


装飾は過剰ではない。だが、ただの柩とは明らかに違う。

モニター越しではなく、生身で体感する柩は、どこか荘厳で、異様な“存在感”を放っていた。


「なんか、すげぇ力を感じる……」

「これはボタンでしょうか……」


アランさんやロジェが思わず呟く。

その直感は、正しいよ。


「……まだ、押しちゃダメだよ」


私は小さく答える。


「はい、なにが起こるか分かりませんからね」


「……この柩は発動条件があるタイプ」


二人がこちらを見る。

そう、これは“そういう場所”だ。

ただの遺跡じゃない。誰かの墓とかそういった類のものではない。


これは謎解き。

ミッションをクリアして進める代物だ。


「この祭壇は……順番に進めないと、動かないはず」


私の言葉に、二人の表情が僅かに変わる。

理解はしていない。

でも、“ただ事じゃない”とは感じている。


「分かるのか?」


あ、やべ……

初見であるはずのこれをなんで私が知ってるんだって話だよね。

えっと……

私は祭壇の周囲へと視線を巡らせる。


四方にそびえ立つ柱。


見上げるほど高く、太いそれには、びっしりと幾何学模様と装飾が刻まれている。

そんな柱の入口から反対側にあたる場所、そこに……


「……あれ?」


そこにあるはずのもの。


「ない……?」


私はそちらへ歩み寄る。

なにかが置かれていた痕跡だけが残っていた。

本来なら、ここには“ヒント”が刻まれている石盤があるはずだった。


攻略のためのヒント。それを元にプレイヤーは進める。

んなもん初見で分かるかよっ!って内容でも、ゲームではトライアンドエラーができる。


「どうしたんだ?」


アランさんが後ろから声をかける。


「……本当は、ここに手順が書いてあるはずだったんです」


「手順?」


「はい。この場所を進めるための……説明みたいなもの」


でも、それがない。


「メラリアが持って行ったってことですか…」


ロジェが顔をしかめる。


「リリーナ、これ……」


アランさんの声が飛ぶ。

振り向くと、アランさんが祭壇の端でしゃがみ込んでいた。


「これ、なんだ?」


祭壇の端に置かれていた何かをアランさんが見つめている。アランさんは警戒してか、直接は触らない。

私はそれを見た瞬間、


「あ……」


思わず、声が漏れる。

赤い塊。

手のひらサイズの、心臓の形。

複雑な紋様が刻まれ、中央には微かに光る核のようなものが見える。


「おぉッ!?それ【生者の心臓】です!!」


私はそれを、迷いなく拾い上げる。

見た目以上に、ずしりとした感触だ。


「知ってるのか?あッ!?もしかして、これもマリー博士から聞いていたってことか!?」


アランさんの問いに、私は頷いておく。

分かる。

分かってしまうけど説明なんてできない。

母さんに聞いていたってことにしておくと、何故かみんな納得してくれる。

母さんは私の思ってる以上に凄かったのかもしれない。

母さん、ごめん。

今後も困ったらこの言い訳で通すよ。母さんの株も上がるから問題ないよね。


「そうです。

そして、このキモイのは【生者の心臓】って言って、あと【死者の心臓】と【輪廻の鍵】ってアイテムを集めなきゃいけないんですよ。そうすることで、この【生者の柩】を解放して……」


私が早口で説明する言葉が空間に残る。

あ…れ…??

これ解放したらボス戦じゃん!?


「「解放するとどうなるん(だ?)」です?」


2人の疑問が重なる。

えーと、私は必死で思い出す。

ボス戦スタート時のムービー。


「えっと、えっと、あ!空の煙が柩に戻って敵が現れます!それを倒せば全部解決ですね!!」


「おぉ!それはやるしかないな。その敵ってのは誰なんだ?」

「メラリアですか?」


「いや、メラリアじゃなくて、なんというか、バケモノ??みたいなやつ」


「バケモノ!?」


「腐敗した、ドラゴン?なんだっけなぁ……キング〇ドラみたいな、三つ首の……」


「えっ?キングギ△ラって??」

「三つ首のドラゴン??」


私はそこで気付く。

あれ?ボス戦の前にプレイヤーの強化があったはず。

驚いている、アランさん達を尻目に柩の脇を確認する。


【生者の柩】は、今も光っては消えている。

ただ、その周りの4つの柱の脇に埋め込まれた宝玉。そのうちの3つは周りと同じ脈動のような点滅だ。

しかし、そのうちの1つ。この宝玉だけはずっと、光っていた。

この常に紫に光っている状態は印だ。


つまり…………既に1人強化済みってこと。


ん?んん?

……誰かが強化されている。

誰が!?

ゲームはHPや走る速度など全体的に強化された。

じゃあ、この世界では??

どうなるの?


「リリーナ」


アランさんが思考に没頭し始めていた私を呼ぶ。


「こっち見てくれ!」


祭壇の傍、影になった部分で気付かなかった。

そこにはメラリア兵が2人倒れていた。


「2人だけのようだね」


祭壇にもたれ掛かるように倒れている。いや、寝かされている?


「どうやらどっちも額に一発食らって死んだみたいだな。目がゾンビと同じだ……コイツ、ゾンビになったんだな」


アランさんが確認している。

ゾンビになった味方を倒して、そっと寝かせたらこんな感じかな?

まさか強化の試練で犠牲になった?

それかさっきの【生者の心臓】を回収した時かな?


「何れにしても、メラリア兵がここにいたってことですね」


「普通に考えたらそうだな」


「……エンド。アイツが祭壇の力で強化されてる可能性が高い」


「確かにエンドは司令本部では確認されてなかった」

アランさんが思い出すように私の仮説の信憑性を上げる。


「え?じゃあ、このゾンビ現象はエンドがやったってことですか?」

ロジェの拳は力が入っていた。このレストデーンをめちゃくちゃにしたエンドに怒りを覚えるのも当然だ。


「多分ね。この祭壇のその柱。そこだけ足元の宝玉が光ってるでしょ?それは祭壇の力で1人強化されたってこと」


「それがエンドって訳か……あの野郎、ただでさえ厄介なネームドなのに、ッ!?」

そこまで言ってアランさんは何かに気付く。


「リリーナ、強化って言ったか?」

「え?えぇ……」

慌てた様子のアランさんの言葉を待つ。


「まさか、これって?おいおい、繋がっちまったかも……」


「え?どういうことです?」


「先代皇帝が実は戦争を自ら起こしていた話は知ってるね?」


私は頷く。そりゃ、授業でやったからね。

確か理由は……


「そう、理由は不老不死になるため。

特務機関はその際に、その先代を止めたヴァンリ皇帝の命で、不老不死になるためのレガシーアイテムを探したんだ」


まさか……


「その時、レガシーアイテムは見つけられなかった。この街にある可能性だけは非常に高いけど見つけられなかったんだ。

最終的には伝承から派生した噂だったのではないか。とね。

だけど、今日。隠されていたレガシーアイテムが見つかり、それが人の強化ができるレガシーアイテムだ」


嫌な仮説が頭に浮かんでいた。否定したいもの。

そんなことあってはならないこと……


「……つまり、エンドが不老不死になった」


少しでも面白いと思って頂けれれば、

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