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FPSゲーマーの転生先なんて決まってる!~ストーリーモードなんて覚えてる訳ない~  作者: 栗飯


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153.救出



「じゃ、そういう配置で!」


私は氷の足場の上から声を張り上げた。


兵士達が敬礼して、急いで車両に乗り合わせていく。

こうして司令本部跡地にいた部隊は、多数が城壁の守備へと向かっていった。


城壁は高く石造りで頑丈だ。ゾンビを封じ込めるならちょうどいい。

城壁で防衛出来れば広がらないし、

集まってきたゾンビは上から撃ち下ろせばいい。

あそこは防衛線としては最高の場所だ。

アッシュとスティーブンさんがいるから、こっちの部隊が着くまでの指揮も問題ない。

大量のゾンビはデイビッドさんの出番だ。


「城壁の方は大丈夫……」


私は小さく呟く。

問題は街中だ。

レストデーンの街。当然、市民がいる。

そもそも戦争してたんだから、市民の大半は避難所に集まっている。

しかし、避難所に全員いる訳じゃないらしい。

なんでだよ!と思ったけど、街中にも結構残ってるみたい。


私達は市民にまで手を出さない。

ここは元々アルステリアだ。もちろん流れ弾等危険であることに変わりはないが、事故はあっても意図的に狙うことはない。

でもゾンビは違う。

もしゾンビに襲われていたら……


「急がないとまずいよね」


城壁のスティーブンさんの方に避難所の位置を知っている人がいる。

トニー師団長率いる第3師団の方で、一旦城壁で合流してもらい、包囲と大多数がいるであろう避難所を担当してもらう。


残りの街中にいる人達……

その人たちは私達、特務機関が助けて回る。


ネームドであるショーンさんとオルガさん、私をリーダーとして、三つに分かれて任務にあたる。


「リリちゃん」


「ん?」


「その……」


シアが申し訳なさそうに言う。


「ありがとね」


「いいんだよ。助けたいんでしょ?」


「……うん」


さっきの作戦会議……


シアが救いたい人がいると小声で言ってきた。


──────────


『原因を止める必要もあるんじゃねぇか?』

ショーンさんが珍しくいいことを言っていた。


『さっきの煙ね……』


紫紺の煙。

空に昇った地点から街中に広がった。


『ゾンビが出始めたの、あの後だろ?

煙の立ち上がっていた場所、怪しいだろ?』


私は司令本部の奥の方を見る。

あの紫の煙が上がった方角だ。


『かなり怪しいですね』


私は頷く。

ゾンビモードは祭壇を中心に謎解きしながら進めるのがメインだ。

多分、祭壇近くのマップまで行けば私も分かる景色があるはず。

私も原因調査は必要だと思うし、私なら地下にある祭壇をすぐに発見できるだろう。


『私、多分見つけられるんで、探しに行きますよ』


あ……

どうしよう。

言ってから気付いた。なんて説明しよう?

不自然だったかも!?


『じゃあ、そっちはリリーナに任せよう』


ありゃ?


『俺とオルガは装甲車で市内を巡回だ。俺は西、オルガは東を――――』

ショーンさんがオルガさんと話を詰めている。

既に私のことなどお構いなしだった。

なぜだろう。

詰められなくて良かったのに、何故か寂しいこの気持ち……


『リリちゃん……』


『んお?どした?』


シアがおずおずと話しかけてくる。


『あのね、助けたい人がいるの。潜入中に助けてくれた親子なんだけど……』


なるほどね。その親子を助けたいって訳ね。ショーンさん達は装甲車で街中を回るけど、ピンポイントで助ける訳じゃないもんな。


『いいよ?どのへん?』


『いいの!?』

嬉しそうに頷くシア。そりゃもちろんだよ。

身長は見上げなきゃいけないけど、シアの面倒は私がみたるで!

『お姉ちゃんに任せなさい』


『うん。ありがとう。お姉ちゃん!』


おっ…と?

実にいい。いつもリリちゃんって呼ばれるから、シアに呼ばれると新鮮だ。

シアが頭を下げたので、ポンポンっと撫でる。

嬉しそうなシアは大型犬のそれだった。



─────────────


というわけで、私達の目的地は紫紺の煙が上がった場所。

多分、その真下に祭壇がある。


「じゃ、行こう」

すぐにシアが頷く。


「了解!」

「「「はいッ!」」」


私の部隊のメンバーはシアに加えて、アランさん。

あと、えーと、何とかって、特務機関の演習でぶちのめすように言われていたときの兵士もいる。

忘れちゃった。

ごめんて……

今のところ聞くタイミング逃してる。

誰か彼を名前で呼んでくださーい。


まぁ、彼だけじゃなく今回は名前の知らない特務機関のメンバーか結構いるのだが……


あれ?私、本当に特務機関所属だよね?

知らなすぎじゃない?

うん、1ヶ月やそこらだからしょうがないってことにしとこう。

ごめんよ、みんな。



そんなこんなで私を含め8人で行く。

何が起きるか分からない震源地。

正直、頼りになるのはシアとアランさんかな。アランさんの影を使った能力は結構強いから助かる。


みんなで装甲車に乗り込み、煙の上がった地点へ向かう。

その途中にシアが確認したい家があるわけだ。


レストデーンの街は異様な状態であった。

時折、悲鳴が聞こえる。

その度に、シアの肩がピクリと動くのだ。


そして。


「……多い」


私は思わず呟いた。


道に……ゾンビが溢れていた。


歩いている。

ふらふらと。


腕をぶら下げたまま。

壊れた人形みたいに。


軍服を着た者もいる。

メラリア兵。アルステリア兵。


でも、一番多いのは私服だ。

普通の服を着ている人達。


街の住人である。


「……」

シアの表情が固まっている。


「かなり広まってる……」

私は小さく言う。

レストデーンにもう安全な場所はなさそうだ。

装甲車に気付くと走ってくる。その都度発砲するが、やはり頭じゃないとなかなか倒れないね。


「ロジェ、しっかり頭を狙うんだ」

「はいっ」

ッ!?

ナーイス、アランさん!

ロジェか。そっかそっか。

ロジェが何発か撃ち、頭に当たってゾンビは倒れた。


「そう、落ち着いて撃てば大丈夫だ。焦るな」


そんなロジェを尻目に、シアは一発で頭を撃ち抜いていた。

やはりシアとアランさん以外はそこまで強くないかな……



「ハンナさん大丈夫だろうか……」

シアだけでなく、アランさんも心配そうにしている。

すぐに目標の家の近くまで到着すると、見えたのが装甲車がギリギリの路地だった。


「リリーナ、この路地にこの車は……」

「ですね。車両はここに置いていきます」


アランさんと同意見だ。

小回りの効かない場所で立ち往生なんてのは避けたい。死角から車両までの距離も近過ぎた。


「シア、アランさんとロジェはついてきて。残りはここで待機。エンジンを切って、装甲車に身を隠しているように!」

「「はいっ」」

半分を残して、私達は徒歩で向かうことにする。

名前を覚えて良かった……


「こっち」


シアが小声で言う。

細い路地を抜けていく。

司令本部があった地域に比べて、この辺は家の造りが簡素だ。

レッドアイで見る限り、さっきまでの大通りよりも、ゾンビは少ない。

異様な静かさだった。

私に一般市民は見えないため、ハンナさん達がいるかは分からない。


遠くからは銃声が響いていた。


「この家です」


シアが指差す、二階建ての小さな家。

木の扉。

窓にはカーテン。

人の気配はなく、一先ずレッドアイに反応はない。


「ここがハンナさんの家?」


「うん」


玄関の扉は施錠され、壊された形跡はない。


「……」


私は耳を澄ませた。

中から音はしない。


「静かだね」


「……うん」

シアの声が少し震える。

私は扉の前に立つ。

ノックした。


コン、コン。


「ハンナさん?」


返事はない。


「アルステリア軍のシアです!」


シアが声を張る。

中から音はない。嫌な感じだ……

でもレッドアイに反応はない……ッ!?


「ハンナさん!エマちゃん!?」


シアが再び呼ぶ。

それと呼応するように、ガタンッ!と音がして反対の家の方からゾンビが現れた。


「うわッ!?」

ロジェ達が慌てる。

アランさんは流石だ。素早く銃を構えていた。でも、レッドアイのお陰で私が最初に気付いていた。


パンッ!


頭に一発撃ち込み、ゾンビが倒れる。

シアは不安そうに私を見ていた。こんなゾンビが徘徊する街で家から出るとは思えない。


「裏口に行ってみよう」


裏へ回る途中、窓が割れていた。


「ッ!?」

シアが息を飲むのがわかった。

私は急いで中に入る。

残りの窓はカーテンが閉められ、薄暗い。

シアも私の隣まで入ってくる。


「ハンナさーん?」


床板が小さく鳴る。


ギシ。


そして、血の匂いがした……


「……」


私は銃を構える。

赤くハイライトされた敵はいない。でも……

暗くてはっきり見えないが、奥の台所の方、折り重なるように倒れている人がいる。


「そんな……」


テーブルが倒れ、床には皿が割れて散らばっていた。

どう見ても争った跡だ。

シアが動揺するのも無理はない。

嫌な予感しかしないけど、確認せざるを得ない。


その時。


カタッ


小さな音がした。

シアが息を呑む。

居間の奥、クローゼットの扉の中に人の気配を感じる。


シアがゆっくりと近付く。


一歩。

二歩。


カチャ……

扉を開ける。

クローゼットの中、クマのぬいぐるみを抱きしめた女の子が涙を流しながら、声を殺していた。


「エマちゃん。もう大丈夫だよ」

シアが膝をつき、優しく語りかける。


「シアお姉ちゃん…?」


「うん。もう大丈夫だよ。怖かったね」


シアがエマちゃんを抱き締める。

良かった、エマちゃんは無事なようだ。


「お、おかッ、お母さんがッ...」


ッ!?


私は台所の遺体を振り返る。

エマちゃんを確認した後、台所へ確認のため近付こうと1歩踏み出したアランさん。


「……下がって!!」


急いでアランさんの背中を鷲掴みし、引っ張り戻す。

床に倒れている遺体のうち、片方が赤く()()()()


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― 新着の感想 ―
エマちゃんの両親4んだのか、この年齢だとつらいな リリーナみたいに覚醒してネームドになったら問題ないんだけどw
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