建築魔法で家を建てよう
夜にも更新あるかも
「教会のやつらっていけすかないわー」
神父たちが帰ったあとカナリアが愚痴った。
「一応国教だし下手に逆らえないんだよな」
ここは俺がルールブックだ。法律だ。
そう叫んでもなんとかならないモノもある。
その1つが宗教だ。
この国は多神教で光、闇、風、地、炎、水の神と全てを司る最高神が信仰されていて割りと生活に根付いている。
その為洗礼まで受けている家は少ないが、子供の頃から刷り込まれているのでなんとなく無下にはできない。
「北の外壁沿いなら教会としてはよくある場所ですけど、私たちの家と離れすぎてませんか?」
ミューゼルが立地を心配する。
確かに一軒だけ他の建物と離れているのは差別っぽいというか露骨に関係していない雰囲気になる。
まぁ、実際歓迎はしていないんだけど。
「俺たちの家も密集して建てるワケじゃないから大丈夫だろ?」
箱庭の中心より少し北側に幸運の木を植えて周辺は公園とし、そこから5方向に道を延ばす事を前提にそれぞれの家を建てている。
公園の裏手は裏門までまっすぐ道を引く予定だ。
その終着地点に教会があると説明すれば今は寂しい場所にでもそんなもので押し通せる。
公園の右側に魔剣の祠、その隣が俺の家の建築予定地だ。
シンプルな外壁の2階建て住居を予定している。
同じ通りのお隣さんとしてカナリアの住居兼事務所。
2軒とも住居の外壁は水色で統一する。
魔法建築なので建て方は専用の杖で図面を引き、資財を置いて魔力を流すだけだけであっという間に家が生える。
まず屋根から出来て、それを持ち上げるように家がニョキニョキ伸びていくので、これは家が生えたとしか例えようがない。
完成して1時間で完全に固まるので5分以内なら手でも手直しできる。
窓ガラスなどはこの間に触ると指紋がついたまま固まってしまう。
窓やドアの位置が気に入らない場合に魔法で修正するのも後からやるより今のうちにやった方が簡単らしい。
俺たちは自分の家の端に親指の跡とサインを入れて記念にした。
「早く入りたいね」
出来た家に不満はないので、後は待つだけである。
待っている間スカートの中からファリアのしっぽはずっと好奇心で揺れていた。
公園の正面から正門までのちょうど中間くらいにミューゼルの住居兼工房。
その隣に俺の工房建設予定地だ。
この辺りは買い物客が来ることを前提に立地を決めた。
ちょうどここで広がりきった道が正門に向けて2本まっすぐに伸びるので上から見るとこの部分の大通りは上から見れば菱形になる。
外壁は薄紫だ。
外壁は通りによって色を変えるか、建物の種類によって色を変えるか、あるいは青から紫の間であれば自由とするかで悩む。
因みに『元勇者の箱庭』の外壁は正方形である。
門は正門と裏門の2ヵ所のみで、都市時代はもっと門があったようだが、埋められてしまっている。
外壁の所々に名残が残っていたが今のところは放置だ。
四隅に見張りの塔があった名残もあるが、これも入り口ごと塞がれていた。
外壁の上に昇る階段も破壊済みだった。
隠し扉が無いことも鑑定済みだ。
正門側は周囲が他の壁より厚く、検問所があった名残が残っている。
ここは早めに復活させる予定ですある。
扉は内側と外側に付けられるがまだ外側にしか扉がない。
今のところは野性動物から町を守る程度なので内側に扉は不要だ。
門の床はかつて床に煉瓦がしかれていた名残はあるが、今は雑草まみれで門の開閉も困難な状態である。
明日はこの辺りを整備しようと思う。
「元々の通路はレンガだったんだな」
俺はレンガの破片を1つ摘み上げた。
「まぁ、普通レンガが多いよね。ここも通路に線を予め引いておいてくれたら普通の料金でレンガにできるよ」
ただし書いた線がそのまま道になるので、形がイビツだと見た目が悪くなるらしい。
専用の杖は何本か持っているからと1本貸して貰えることになった。
なんか元勇者本人に全然スキルが無い事に気付いた。
回りは皆スゴい子なのに…