第2話 中編
眼鏡の女性は震える声で言う。
「な、なんで……ミカちゃんを殺したの……?」
「いやいや、こいつがいきなり襲いかかってきたんだよ。だからびっくりして砂を投げたら、勝手に転んで死んだんだ。だから俺は悪くなくて――」
「たった一人の! 大事な友達だったのに!」
絶叫した女性が拳銃を発砲した。
弾丸は田中の一メートル右を高速で突き抜けていく。
ともすれば命を失っていた事実に田中は息を呑む。
(危なっ! こいつもヤバい奴なのかよ! くそ、反撃しないと殺される……!)
恐怖心に駆られた田中は特殊警棒を振りかぶる。
そして全力で投げつけた。
「ふざけんなァッ!」
回転する特殊警棒が女性の額に命中した。
女性はひっくり返って悶絶する。
その隙に田中はアイテムボックスの陰に逃げ込んだ。
起き上がった女性は、憤怒に顔を染めて拳銃を構える。
「なっ、何すんのよ!」
ヒステリックな叫びと共に銃弾が放たれるが、いずれもアイテムボックスに弾かれて田中に命中することはなかった。
無闇に連射したことで拳銃が弾切れとなり、眼鏡の女性は慌てた様子で再装填を試みる。
しかし、焦りすぎるあまり弾を落としてしまっていた。
「あ、あれ……」
もたつく女性の様子を、田中はこっそりと覗いていた。
彼は日本刀を片手に閃く。
「お? チャンスか?」
踏み出そうとした田中は、血に染まった刃を見つめる。
反射する己の顔に対し、彼は心の中で問う。
(逃げても撃たれるかもしれない。でも殺すのか?)
数秒間の葛藤を経て、田中は細かいことを考えるのをやめた。
開き直った彼は走り出す。
「まあ、状況的に正当防衛だよな! そうだよなっ!」
そう自分に言い聞かせた田中は、日本刀を掲げて女性に突進する。
まだ弾の装填ができていない女性は怯えた様子で後ずさった。
「ひっ」
「覚悟ォッ!」
田中が日本刀を振り下ろそうとしたその時、遠くから一本の矢が飛来する。
矢は吸い込まれるような軌道で女性の首に突き刺さった。




