第1話 前編
夕暮れの砂浜。
そこには水着姿の男女が向かい合っていた。
ビキニを纏う優子は、頬を赤く染めて男に告げる。
「私、実は隆斗君のことが……」
「優子ちゃん……」
隆斗が腕を回そうとする。
刹那、優子の隠し持っていたナイフが隆斗の腹に突き刺さった。
豹変した優子は殺気を剥き出しにして叫ぶ。
「ずっと殺したかったのォッ!」
「てめェッ!」
激昂した隆斗は、優子の頭を金槌で殴る。
優子は衝撃で呻いて転倒した。
そこに隆斗が執拗な打撃を繰り返す。
「尻軽女が! お前が! 他の男と! ヤッてんのは! 知ってるんだよ!」
ヒステリックに叫ぶ隆斗だったが、その動きが唐突に止まる。
彼の首にナイフが深々と突き立っていた。
柄を握る優子は、わざと捻じるようにして刃を引き抜く。
迸る鮮血が砂浜を真っ赤に染め上げた。
隆斗は呆然とした表情で首に触れる。
「うえっ」
「黙れよ、クズ男。ペラペラとうるせぇんだよ!」
怒鳴る優子が隆斗の右目を刺した。
そこから彼を押し倒すと、高笑いしながらナイフで滅多刺しにする。
隆斗は必死に抵抗しようとするも、やがて力尽きて動かなくなる。
死体に跨る優子は夕空を見上げた。
血みどろの顔で彼女は笑う。
「あはっ、はははははははははははははは」
間もなく優子は吐血し、そのまま倒れて息絶えた。




