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第二部 一話 アルトゥールとの出会い

※大人のキス描写あります。お許しください。

宴の開始を告げる乾杯のあと、最初の一曲をユリウスと共に踊る。自由奔放に見えるユリウスだけれど、ステップは基本通りで本当は生真面目なんだとよく分かる。


途中、緊張しすぎてステップを乱してしまった私をカバーする余裕があるのが少し悔しいけれど嬉しくもあって…


「ごめんなさい。こんな大事な席で転びそうになるなんて」


ダンスの後で謝罪した私に悪戯っぽく笑いかけると、まるで誰かに見せつけるように私の目元へキスして、


「今宵のあなたは他の誰より美しいからいいんだよ」


どこまで本音なのか分からないことを返した。宴の場のあちらこちらで羨ましそうに陰口を囁きあう声が聞こえたけれど、あまり気にならない。なぜならユリウス自身の心は誰にあるのか? それさえ気にしていればいいことだから。


「早速、見せつけてくれるじゃないか! 皇太子殿下」


近づいてきたのは銀髪を腰まで伸ばした美貌の男で、衣装や勲章の数からアロイス様と同じくらいの爵位を持った貴族であることがすぐに分かった。


「やあ、お初にお目にかかります。俺はウィルヘルム・エアハルト。こちらの皇子殿下の傍仕えをしております」


一礼して挨拶してくれる仕草もなにもかも優雅に見えるのに、ひどく飄々としていて簡素な姿で街を歩いていても誰も気づかないだろう。隣に並んだ皇子殿下と呼ばれた若者は…


「直にお目にかかるのは初めましてだな! 俺はアルトゥール・ルーナ・オルトスっていうんだ。アルトゥールって呼んでくれていいぜ」


癖のある金髪に琥珀色の目と白皙の肌をした少年臭さの香る美貌をしていて、快活な雰囲気と口調が皇子らしさをかき消してしまっている。


「なあ、二曲目は俺と踊ってくれよ。いいだろ? 兄上」


「セシリアをあまり振り回さないと約束するならね」


「了解! めいっぱい優しくするから安心してくれよな。セシリア姫」


私の許しを待たずに快活な様子で言うと、少し強引なエスコートで広間まで戻されてしまう。それまでユリウスしか知らなかった私には戸惑いしかない。


「どうせダンスは慣れてんだろ? 適当に俺に合わせてくれればいいからさ」


慣れた仕草で私と手をつなぎながら言うと同時に二曲目が始まる。ゆったりしていた一曲目と違い、すこし苦手な早めのテンポの曲だった。それに合わせて自由に私を振り回してくる。


「あれは誰かしら? 今、セシリア殿下と踊っていらっしゃる方よ」


「ユリウス殿下の次に花嫁と踊るなんて… なんて恐れを知らない方なの?」


「声を控えなさいな! あの方はアウローラ王国まで留学に行ってらした弟君のアルトゥール殿下よ。婚礼に合わせて帰国なさっていたのね」


口さがない令嬢達がそんなことを囁きあっていたが、アルトゥール殿下はそれを聞いていても笑い返す余裕さえある。気にして傷つくでもなく、悪戯めかした様子で私を抱き上げて見せて…


「ぁ…!? アルトゥール殿下…!」


唐突で目立ちすぎる行動に歓声が上がり、令嬢たちが羨ましそうに私を睨んでいるのが分かった。


「ほら楽しめよ! せっかくの宴だぜ! な?」


そんなことを言うと、私を抱き上げたままでユリウスの元まで戻っていく力強さを見せつけた。その自由な振る舞いに私は戸惑ってしまって、笑みを浮かべる余裕がない。


「アルトゥール… 悪戯が過ぎるんじゃないかい?」


「こんな時は目立ってナンボだろ!? 兄上の方が生真面目すぎるんだって」


「まったく… セシリア、大丈夫かい?」


私を見下ろして言うと、落ち着かせるように私を抱き寄せて額へキスを落とした。その優しい仕草に束の間宴の席だという事を忘れて笑みを浮かべる。


「ありがとう。ユリウス」


「ワインでもいかがかな? セシリア殿下」


ウィルヘルム様がワイングラスを差し出してくれたけれど、ユリウスの隣に控えているアロイス様が眉間にしわを寄せつつ、


「ウィルヘルム、セシリア殿下はあまり酒が得意じゃないんだ。中身はちゃんとワインだろうな!?」


とグラスを奪いつつ問い詰める。


「あっははは! 悪戯の相手くらい選んでいるさ。お前さんなら遠慮なくブランデーを混ぜこませてもらうがね」


「まったく… セシリア殿下、ご安心ください。中身はきちんとヴェスペル自治領産の赤ワインでした」


生真面目な様子で私にグラスを差し出してくれた。その言葉に頷きつつグラスを受け取ると、確かに馴染みのある香りがして、私を安心させてくれた。


「それを飲んだら、俺達は宴の席を出ていこうか。セシリア」


「そうですね。あとは皆さまで自由に楽しんでいただきましょう」


皇帝となる事が決まったユリウスがいてはいつまでも気を使ってしまうことを思い出して言うと、


「いいじゃねえか! もう少し自由に楽しめばいいんだよ。兄上もさ」


女官に新しいワインを注がせながら、明るく快活な様子で言う。その様は少し酔っているようにも見えた。ユリウスもそれに気づいたんだろう。苦笑しつつ女官に空のグラスを預けると、


「誰もがお前のようでいられるわけじゃないよ。アルトゥール」


私の腰に腕を回して宴の席を出るよう促しつつ言った。そして、きれいに二つに分かれた招待客たちに見送られつつ、宴の席を出ていく。去り際、


「私達はこれで失礼するよ。わが帝国の礎となってくれている貴族の方々よ。存分に楽しんでくれ」


とあとは無礼講だと言外に告げて。




宴の行われている大広間を抜けて、宮殿内でもプライベートな領域に向かう。すっかり住み慣れたユリウスの領域だ。


「やれやれ… 俺も意外と俗物だったという事かな」


皇太子である証のブレスレットを外しつつ苦笑して言った。その言葉の意味が分からなくて首を傾げることしかできない。


「久しぶりに会えた弟が逞しく育っていると嬉しく思ってもいいのに、あの腕にあなたが抱き上げられた時、柄にもなく嫉妬してしまったよ」


深く抱き寄せながら嚙み砕いて明かしてくれた。言葉の意味をようやく理解して笑みが浮かぶ。私はユリウスの広く逞しい背に腕を回して抱き返すと、


「今日からは夫婦です。共に生きていきましょう。帝国の礎として」


そう返して、ユリウスの手がドレスを脱がせていくのを受け入れる。今日は幾らか濃い化粧をしているのだけれど、ユリウスは構わず唇を重ねてくる。


「…ふっ…」


熱く微かにワインの香りが漂う舌先が唇を割り、私の舌へ絡みつく。その濃密なキスの後、


「ウィルヘルムも俺のわがままに付き合ってくれた幼馴染なのにね。これじゃ、ライバルが増えた気分だよ。あなたの美しさは罪作りだなあ」


抱き上げてベッドへ連れていきつつ告げた。私はそんな彼の首に腕を回して、


「私の心はあなたのものです。それを忘れないでください」


とユリウスの額にキスした。…今日は寝かせてもらえないかもしれないとチラリと考えつつ。


初夜シーンをどこまで限界に挑戦するかで悩みました(-ω-;) 結果、大人のキスまでなら(・∀・)イイ!!

と思ったのです。すみません。もとはエロ書きなので。最後までお付き合いくだされば幸いです。ラブ分高めになったらいいなあと思います。

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