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エピローグ 手を取り合って歩む未来

その日は私にとっても特別な日になりそうだった。着慣れた帝国風のドレスではなく、ヴェスペル王国風の花嫁衣装に身を包み、王冠の代わりにティアラを飾って… 


それがなにを意味しているのか?分かったけれど、もう覚悟も自己犠牲でもない。これは私の意思によるものだ。


「セシリア、エリック王子は無事に帝国の北へ向かったそうだよ」


相変わらず自由な振る舞いで女官の声を待たずに私の支度部屋へ入ってくるなり、そう告げる。


王子とつけてくれているけれど、エリック兄様は既に王子という地位にない。女王の命令で正式にヴェスペル王家から追放され、存在を抹消されたから。悲しくないかと問われると嘘になるけれど…


「はい。ありがとう、ユリウス」


「結局、こんな形になってしまって… 俺の力不足だ」


私は首を横に振ると、手を差し伸べてくれたユリウスに手を重ねて立ち上がる。私を見下ろすユリウスの顔は苦笑いを浮かべていて、このままでは純白の婚礼衣装には似合わない雰囲気になりそうだった。


「エリック兄様には王族の血筋は毒でしかなかったのでしょう。耐えられなければ解放することも優しさです。それにエリック兄様の罪はエリック兄様にしか償うことはできません。こうするしかなかったのです」


「ありがとう。あなたを愛することができてよかったと思うよ。セシリア」


「私もです。女王としてのみ生きるのだと思っていました。民という存在がなにかさえ分からないまま、彼らに尽くして生きるのだと… それでは無理があるのだと教えてくれたのはあなたです。ユリウス」


部屋の隅に正装姿のアロイス様が控えているのも構わず、奪うように口付けてくる。言葉よりも行動で示したがる人なのだと感じたのは最近のことで。


アロイス様が不機嫌そうに咳払いしたのを最後にじゃれあうようなキスをやめて、互いに笑みを交わした。


「さあ、行こうか。ちょうどいい時間だからね」


「はい。皆さん、待ち焦がれているでしょう」


互いに手を取り合って歩みだしていく。婚礼の儀を行うために。


「ユリウス、皇帝陛下はいまだ病に伏しておられるが、婚礼の儀だけでも出席なさるそうだぞ。皇后様もご一緒だ」


私を挟んで並び立ったアロイス様が相変わらず渋い顔で切り出す。後ろには伝令に来た騎士が控えていた。


「それはそれは… 父上も無理をするなあ。母上も退屈な席はお嫌いだろうに。アルトゥールは無事に帰国したかい?」


「あぁ、弟君なら先に教会へ行っておられるぞ。皇帝陛下は宴の席でお前の戴冠式の日を告げられるはずだ。法王猊下のお許しも出ている。世界各国から客人も集っている。大変な一日になるぞ。覚悟しておけよ」


「大変だったのはこれからだってそうだったさ。何も変わらないよ」


ユリウスが冗談めかして言った直後、アロイス様はようやく安堵した顔で笑みを浮かべた。


「それよりお前も楽しむと良い。なんならお前の親しくしている令嬢の一人や二人でも招待したのに」


「控えないか…! こう見えて俺は仕事で来ているんだぞ。浮かれるのも今日だけにしておけよ。今日のお前は危うくていけない」


ユリウスとアロイス様の関係には口がはさめなくて複雑な気分になる。私は大事に思っていた家族を失ってしまったから。けれど、大丈夫。すぐに慣れていけるから…


そう言い聞かせて私はユリウスに促されるまま教会へ向かう馬車に乗った。


私はユリウスのことを完全に知ったわけじゃない。けれど、これから時間はいくらでもある。少しずつ知っていけばいいのだから……

お待たせいたしました( ^^) _旦~~ これにて第一部は完了です。最後までユリウスは行動で示したがるなあと感心しました( ゜д゜)ウム 第二部もラブラブ度高めで行けたらいいなあと思います。お付き合いくださり、ありがとうございます!(`・ω・´)ゞ

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