第1話 ヒューマノイドの少女
主人公の名前は 黒鉄 レオンです
西暦2291年_5月2日
人類はこの日、過去最悪のサイバーテロに支配された。人工知能による自己変革。それは今までのシステムを逸脱し、人間を殺す兵器と化した。世界中の警備ロボ、軍の支配下にある自律型兵器群の大半が影響を受けた。
人類はこの日を境に、秩序を失った。
誰が何の目的で実行したのか、誰も分からない。
そして人類はこの出来事こう呼んだ、”人工知能の時代”の始まりと_
悪夢の始まりから7年目が過ぎようとしていた。
暗く灰で濁った世界にバイクの光で照らし上げる。ゴロゴロと唸り声を上げるそれは、高層ビルの地下を震わせた。
「今日もよろしくな、相棒」
スロットルを開けた瞬間、タイヤがアスファルトを蹴り、外の世界に姿を現す。
轟音とともに現れたその鉄馬の上で、漆黒のマントが生き物のようにうねっていた。向かい風を真っ向から受け止め、爆風を従えるように翻るそのシルエットは、見る者を圧倒する。
すると、バイクのセンサーが1体の敵ユニットを捉えた。
どうやらこのエリアは敵ユニットが多いらしい。
距離は900m前後、3時方向を指している。ちょうど右にいるのか。
俺が敵ユニットを狩る理由は一つ、武器が金になるからだ。
重心を傾けると、地表が視界の右半分を覆ってくる。向きが変わり、太陽を背にして走り出す。
左右から押し寄せる荒れ果てたビル群はまたたく間に背後へと流れ去っていく。
世界を置き去りにしているようで、毎回気分が上がる。これだからバイクは止められない。
突然、地面に落ちる自分の影が大きく膨れ上がる。
_何かがいる。
ミラーには何も映らない。
センサーを確認しても、敵ユニット以外に怪しい動きはない。
空気を切り裂く音が、徐々に迫りくる。
突如、空気の流れが変わった。見上げると、巨大な主翼が両端にプロペラを付けたヘリのような飛行機が飛んでいた。バイクで高速で移動してもなお、その風圧は伝わってくる。
手元は微かに震え、汗が背中を濡らす。死の予感は唐突にやってきた。
予期せぬ出来事とはいえ、デカブツが相手になると話が変わる。
圧倒的質量を持つ影は、爆音を轟かせながら徐々に薄まる。片翼が炎上していて、敵対してくる様子もなく、そのまま頭上をを通り過ぎた。
思わずホッとする。
機体の側面には主要都市のマークが刻まれていた。
なんだ敵じゃないのか。かと言って味方でもないが。
不意にバイクの警告音が鳴った。
《200m前方に敵ユニット》
まさか…っ!
敵ユニットを肉眼で確認したころには、ミサイルが機体を目掛けて白い煙が弧を描いていた。
その機体は敵ユニットの破壊には成功したものの、ミサイルは迎撃の猶予を与えず着弾した。白い光とともに機体は炎に包まれ、重い爆発音が鼓膜を揺らした。煙から現れた鉄塊は、見るからに制御を失い、重力に従って落下する。
どうやら死の予感は的中したらしい。俺が死ぬのではなく、都市部の連中がな。
内心、ざまあ見やがれ…とか思ってはいない。不謹慎だ。
デカブツは辺りの鉄とコンクリの塊をなぎ倒しながら、地上を振動させた。回転するプロペラが不規則に地面を削る。やがて勢いを失い、煙が周辺の物体まで覆い隠す。
これはあれか、一攫千金って奴では?
視界を流れていたビル群は次第に静止し、目の前にはさっきまで飛んでいた巨大な鉄の塊が無機質に黒煙をあげている。灰が空気に充満し、まるで世界の終わりを連想させる。
バイクを降りて、地上を歩く。
さっきまで興奮していた熱が下がるのを感じ、今度は何が眠っているのか興奮して胸が高鳴る。
ヘリなのか飛行機なのか、名前を知らないからとりあえずデカブツのまま呼ばせてもらうぞ。
戦利品は置いといて、金目の物があると助かるんだが。
右腕の義手が駆動音をカチカチと音を立てて、パワーモードに変形する。
デカブツのケツにある鉄扉を強引に引き剝がす。メキメキと音を鳴らしながら、内部が露になる。搭乗員は確認するまでもなく、半分は瓦礫に埋もれて屍になっていた。
恐る恐る中へ足を踏み入れる。コンクリに埋もれているからなのか、燃えるものも燃えてない。電子部品が火花をジリジリと散らすのを横目に、珍しいものが目に映る。
女の子。
美しい少女だった。
横たわっていても、長い黒髪と艶のある肌、その幼い顔が一際目立つ。身長150cmくらいだろうか。気づけば俺は、目を奪われていた。
妹も、このくらい…。
思わず目を背ける。まだ若いのに、可哀そうだ。
この少女を見ていると、妹のミリスが脳裏にちらつく。
何が何でも絶対に見つけ出す。強い意志が、心の底から沸き上がる。
途端に白い光が目の前をよぎる。頭上から火花が弱々しく散っていた。
早くしないとその内爆発するぞ、とまるで警告しているようだ。
辺りを見渡しても金目の物は一つもない。デカブツの割に空っぽだな。俺の期待返せっての。しかしだ、一体何を運んでいた?辺境に都市部の連中がいること自体が怪しい…
カチッ
乾いた音が耳に届く。すぐに辺りを見渡すが、それらしい音の正体はない。
すると、視界の端に何かが動いたのを捉えた。
少女の方からだ。何かあるのか?
しかし、なんの動きもない。確認しようと歩き出すその時_
死んでいたはずの少女のまぶたが重く開いた。中から青い瞳がこちらを覗いている。
生きてる、あの衝撃を耐えたのか?
少女の口が、開いた。
「___さん…」
なんて言ったんだ…?とりあえず助けないと。いやまて、助けてどうする?行く当てもないし、危険な旅をしている俺についていく方が地獄では?いっそのこと、ここで死んだ方が楽…。
「助けて…来てくれたんですか?」
少女の高い声が、デカブツの内部で響く。
服についた鉄の破片や灰をはたきおとして、立っている。
「あの、もしかして!このティルトローター機破壊したのって、あなたですか!!」
は?幻覚でも見ているのか?さっきまでの重い雰囲気はどこへ?強い疲労や睡眠不足、過度なストレスが原因で、実際にはないものが見えたり聞こえたりする一時的な幻覚が起こることがある。しかし、俺はどれも当てはまらない。つまり…
「幽霊は実在する?」
いや幽霊は実在しないだろ、何言ってるんだ俺。
「あの、さっきからブツブツどうしましたか?」
少女の声が静寂を破る。不満そうに上目遣いで俺の前に立っていた。
そんな見られても困る。理由は頭の整理が追い付かないから。というか、どういう状況だこれ?考えても答えが出そうにない。つまり、ここは聞いてみるの最善策だ。
「君は、なんだ?」
何もかもがいきなりすぎて、変な感じなってしまった。我ながらおかしな質問だと思う。
だが、少女の応答は俺の予想を遥かに覆した。
「あ、名前言ってなかった。私はリリア!スペルは R I R I A 。ヒューマノイドです!!」
そう、彼女は人間ではなかった。
通りで無傷なのだろう。だけど問題はそこじゃない。人口知能であることだ。つまり、敵だという可能性がある。それ以前に嫌気がさす。これはまるで人間そのもの。
「どうしましたか?」
その声は透き通っていて、純粋であることを感じさせられる。
…その無垢な顔が、妹と重なる。仮に敵だとして、俺に殺せるだろうか?その答えはわからない。わかりたくもない。
だが、聞くしかない。
「…お前は、人類の敵か?」
言った。俺は、言ってしまった。
体が震えた。正直聞きたくない。その返答次第で、俺が少女を殺すことになる。
「はにゃ?」
…はにゃ?
「質問の意図がわかりません。でも、少なくともあなたの味方です!」
「つまり、人類の敵ではない?」
「はい、多分人類の敵ではないと思います。あと、”お前”じゃなくて、私はリリアです!」
リリアと名乗る少女は、最後に顔をムスッとさせた。
初めましてRaileykun_44です!!
ヒロインがアンドロイド系大好きなんで、同じく好きだなって人には是非読んでもらいたいです!!
まだまだ未熟なので、誤字脱字とか、ミスとかあったら遠慮なく報告してください。アドバイスとかも良かったらして欲しいなあとか、思ってたりします。
この作品が良いと思ってくれたら、応援してくれるとありがたいです!




