一つの戦闘
体…刺されてない! 目…見える! 心臓……止まってない! 良し‼︎
死ぬ直前のロードは初めてだったからな、成功して良かった。さて、この先どうするか……
「ねぇ、お兄ちゃん大丈夫? なんかすっごく具合悪そうだけど。」
「ん? あぁ大丈夫だよ、ミツ・リーギュラー。」
「なっっ……お兄さん、なんで僕が分かったんだい?」
「言伝があってな、ついさっきの俺からな!」
そう言うとヒカルは拳を出す。すかさずミツに殴りかかったが、ダンスを踊るように避けられる。ようやく当たると思われた攻撃も受け流されて、誰がなんと言おうと"不毛"と言うのが相応しい戦いだろう。ミツはあまりの退屈さにあくびをしながら応戦していた。
その光景にヒカルはイラつきを覚えていた。ついさっきまでは一応考えて拳を振っていたが、今は全身をがむしゃらに動かしていて。よく言えば読めない攻撃、悪く言えば小学生の喧嘩と言った感じだ。
「お兄さん、こんなところで終わり? ははっ、度胸だけは認めてあげるよ。その度胸に免じて、僕の魔術で殺してあげる! 真実濾過!」
ミツがそう唱えると、工具箱のような物から何かを取り出した。
その何かを薙ぎ払う。
ヒカルの足が千切れる。
ヒカルは唱える。"ロード"と
右、左、次は後ろ。暗器のナイフには気をつけろ。避けて避けて避けて避けて避けて避けて避けて避けろ。
「くっそ! なんでだ、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで‼︎ 僕の攻撃が当たらない‼︎」
その声はヒカルには届かない。今のヒカルには常にミツの次の行動がわかっている。それを集中して避ける。
右、右、上、下。隙は今だ。
ヒカルは全ての力を右腕に集めた。ヒカルの拳は今や、変幻自在に扱えるようになっていた。想像力不足と自分を卑下していた頃とは違う。
ヒカルの拳は綺麗にミツの急所に当たった。
ミツは吐き気を抑えようとしていたが、無理だ。何万回も実戦経験を積んで、己の拳と向き合い続けたヒカルに、もうミツの勝ち筋はない。
「ハァハァ、ねぇお兄さん。お兄さんってそんなに強かったっけ? 僕の知ってるデータだとそんなに強く無かったと思うんだけど。」
「データだ? いつからそんなん取られてたんだよ。」
「あれ? 気づいてなかったの? なら僕が教えてあげる。
"お兄さんが彼女のパーティになってから世界の均衡は崩れ続けてるんだよ"」
「は? リスタになんの関係があるってんだ。」
「それは言えないな。あと、今日はこれでお別れだ。またね、お兄さん♡」
「テメェ! 待て!」
ミツは目の前からいなくなった




