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雷華の騎士 ~やがて支配帝(ハーレム帝)と呼ばれる男~  作者:
第1章 雷華の騎士とルミヤルヴィの姫
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6話 ルミヤルヴィの戦争⑧

 ジルフィアはヴェルザー西方伯と共に奥の部屋に行きそこに置いてある男の首を見る。

「綺麗なものだな。戦いにもなっていないとは流石だ」

「帝都で神眼の鏡の前に立ち、フレデリクの称号ばかりを皆が見ていましたが、私は全てのステータスを見て頭の中に入れてましたから、当然だとは思います」

 ジルフィアは頷きながら男の顔を見て頷く。

「間違いなくベルトハイム本人だな」

「そうですね。崩れてもいないから直にわかりました」

「こんな死人の顔を見せてしまいすまないね」

「貴族の仕事ですから。まあ、フレデリクが死んだ事になっていなければ、愚かな事をしたとは思いませんが。フレデリクのステータスを帝都で神眼の鏡を持って確認しました。確かに帝都の英雄や雷華の賢者の方が特定ステータスにおいては圧倒的で彼はその比にはない。だが、剣が勝てないなら槍を槍がダメなら弓矢を、弓がダメなら魔法を、ありとあらゆる武芸を高いレベルで持っていた。無いものは他のスキルで補える、正直、火竜王を単独で殺せなかったと言われて、本当に出来なかったのかと疑ったほどです」

「ヴィルヘルム様も言っていた。上に立てる器量と知識があり、無いなら無いで、あるものを使い、ありとあらゆる手段を使える自分以上の知略家だと、自分の息子を自慢するように語っていましたからね。こんな形でお目にかかる日が来るとは……」


 そこでジルフィアはヴェルザー方伯を見る。

「時に方伯に一つ質問がある」

「何だろうか?」

「……帝国貴族たる貴殿の真の主は一体誰なのだ?」

 ジルフィアは目を細めてヴェルザー方伯に問う。ヴェルザー方伯は言葉を失い驚いたようにジルフィアを見る。


「くっ…ははっ…素晴らしい。あの腐った帝国貴族の中で正しいヴァイスフェルトの血と能力を持って生まれた方はやはり違うな!これまで以上に貴殿を評価しなければなるまい」

「それは光栄です。答えを聞きたいのですが」

「貴女の思った通りですよ。何故お気付きに?」

「気づかない筈もあるまい。私は以前から貴方を知っていた。金で成り上がった方伯、どこの大貴族だろうが敬意なんて持たず札束で敵を殴る男とさえ言われてきた貴殿だ。だが、ヴィルヘルム様だけではなくマルヤーナ様を敬称で呼んだ。マルヤーナ嬢、そう呼ばない時点で直に気付いた。ヴェルザーの指導者である三伯筆頭ボーデンフェルトは確かルミヤルヴィと袂を別として帝国に早い段階でついた貴族だった筈。だが、実際には帝国内に入り込んだルミヤルヴィの配下と考えれば合点は行く。先ほどもフレデリクが殺したと言葉を口にした際にマルヤーナ様が驚いていた。過去にそう言った事件があったとは耳にしたがマルヤーナ様からはヴォルフ殿が殺したと聞いていた。マルヤーナ様も聞かされていない真実、ルミヤルヴィの内部事情を後継よりも知る人間。それがあなただ」

「いやはや、素晴らしい。私もジルフィア嬢をかなり高い評価をしていた積もりですが、どうやら採点が甘かったらしい。あの腐った帝国を唯一守ってくれるだろう人間として貴殿に賭けた皇帝陛下の気持ちもよく分かる。予想通り、元ルミヤルヴィ王国筆頭公爵家マーナルエ大公を祖とするのがボーデンフェルト家ですからね」

「一つ聞きたいがそれならばなぜ即座にマルヤーナ様を助けないのですか?」

「露骨に動けないでしょう?ラーナストはルミヤルヴィの分家であるが、あそこを助ける為に動くのも難しい。ですが商売人ではあるので、何をどうしようとランジランタの食料を底に付かせないように人間を回す事くらいはできます。強力な冒険者と<異空間収納(アイテムボックス)>持ちの人間を雇って大量の物資を輸送する。最悪、アレクサンドラ様さえ守れればいいし、フレデリク様が戻られた今、ルミヤルヴィはどのような手さえも打てるでしょう?雷華の騎士がまさかフレデリク様だったとは私の情報もまだまだですが」

 帝国大貴族序列8位のルミヤルヴィの隠し刀、それこそが帝国大貴族序列第6位のヴェルザー西方伯の真実だとはだれもが思わない事だった。

 ジルフィアから言わせれば食えない狸がまた一匹といった感想しかなかった。


「帝国も知らぬ間に毒を盛られていたとはな」

「勘違いしないで欲しい。確かに我らが主君はルミヤルヴィの一族だが別に帝国を敵視はしていない。そもそも現皇帝の血筋は誰の血筋だと思っている?」

「あ」

 ジルフィアはヴェルザー方伯の指摘に対して間抜けな声を出してしまう。

 フレデリクが帝国とルミヤルヴィを共通の祖を持つ以上、当然だが皇帝も同じ祖を持つ事になる。皇帝にもルミヤルヴィの血は流れているのだ。


「本来、帝国の在り方はルミヤルヴィと同じくする高潔な民の守り手である筈。現状に失望はしていても、それはルミヤルヴィとて似た時期はあったのだからそこまで酷くは思っていないんだ。ただ、ヴィルヘルム様の帝国そのものを正したい、本来あるべき高潔な姿を取り戻したい。その思いを受けて私がヴィルヘルム様に忠誠を誓う事は決して悪くはないでしょう?あなたもその思いは同じなのでは?」

「そうか。…すまぬ、勘違いをしていたようだな。無礼を詫びる。確かにその点については私も同志だと言っておこう」

 ジルフィアは自分の早合点だと気付いて素直に頭を下げる。

 ヴェルザー方伯はジルフィアの姿に好感を持ったようでニコリと嬉しそうに笑う。

「ロイエンタール然り若い年代がこの国に一石を投じようとする力を持つ者が現れている。ジルフィア嬢は選べないかもしれないが、出来ればこちら側に来て欲しいと思っているのも事実だ。高い評価をしているというのは嘘じゃないからね」

「そう簡単であれば楽なのですが」

 ジルフィアは苦々しく首を横に振る。

 ヴァイスフェルトを捨てて帝国に否を唱えられるほどの度量も力もないとジルフィアは理解している。帝国を中から変える事が自分の役目だと割り切って諦めてさえいた。だが、今の帝国とルミヤルヴィではもしかしたら決定的な亀裂が出来てしまうかもしれないと感じることがある。


 何もなせず帝国の皇妃になった自分がアレクサンドラに討たれて終わるのは悪い終わりではないかもな、という誰にとっても不幸な未来を待ち望む程度には、ジルフィアは自分の未来に悲観していた。




***




 応対室に二人が戻ってくると全員がヴェルザー西方伯へと視線を向ける。

「確認した。確かにベルトハイム伯であった」

 そう言うとジルフィアも頷く。

「それでは後の事後処理は任せて頂いて構わないでしょうか?」

 フレデリクは立ち上がる。

「うむ、そうだが…少し良いだろうか?」

「少しなら…」

 フレデリクは直にでも移動したいが魔力が多少減っているので、休憩する意味でも別に構わないと頷く事にする。

 素直にフレデリクが座るので焦っていると思っていたジルフィアも少し驚く。

「だ、大丈夫なの?」

 マルヤーナはフレデリクに視線を向ける。

「そもそも本気で駆けつけたいだけなら魔法を使って一瞬だよ。でも向こうにつけば戦闘はあるだろうし、スタンピードラッシュの事もある。莫大な魔力が必要になる以上、魔力を完全回復しない間は走り始めの時間が多少遅れても変わらないから」

 心配するマルヤーナにフレデリクは首を横に振る。

「物凄い勢いで駆けて行ったからさっさとサーシャを助けたいとばかり思っていたが、思ったより冷静だな」

「僕はそういう性質だからね。火竜王を殺すと決めた時も淡々と殺すための手段と手順を冷静に分析してしまうから。父さんみたいな才能があったなら、何も考えず叩き潰して終わりだし、超高速で走って魔力関係なく敵を屠るのみなんだけど」

「まあ、ヴォルフはそう言う奴だったな」

 アルノルトはかつての悪友を思い出し苦笑する。

「と、いう訳で多少なら時間はあるという訳。魔法で走る速度を上げると魔力が減るから、休んでも走っても最終的に現場で必要な魔力量を確保して、最短でつけばいいだけだから」

「焦りはあっても、ヴィルヘルム様の冷静さを持つか。その歳でそこまでとは流石は雷華の騎士といった所、恐れ入る」

 ヴェルザー西方伯は素直に感嘆する。

「ええと。それで僕に何か要件が?」

「二つほど。まあ、戦後に私がランジランタに行っても構わないのですが、そこで貴殿と腰を据えて話せるかは怪しいのでね。こちらも忙しい身」

「まあ、そうでしょうね」

 フレデリクは自分が忙しい身になるのは理解していた。マルヤーナからある程度は仕事を貰って自分が処理しないとまずい事も分かっている。周りの領地貴族の協力が無い以上、トビアスの穴埋めが必要だった。

「一つ目は……貴殿に合わせたい男がいる。名をジークフリート・フォン・ロイエンタール」

「………ロイエンタール?」

 フレデリクは露骨に顔を歪めてヴェルザー西方伯を見る。

 自分が人生で初めて人殺しをするきっかけになった因縁の有る貴族の家名だった。

「リッ君。帝国会議にいた若いヴェルザー西方伯代行として来ていた人がそうよ」

「ガマガエルからあんな綺麗な人が生まれるの!?」

 ジルフィアとレーアの二人がブフッと吹き出してしまう。ロイエンタールの当主やその血族を知っていて、ガマガエルと言われたのがツボだった。思っても口にしてはいけない事だが確かにガマガエルみたいな男だったと頭によぎらせていた。


「ジーク君は私の一つ下の学園の後輩でトビアスも可愛がってたわ。学力ではトビアス以上だったかなり頭のいい子で、周りにはそれを補うように武力を持つ子が多くいたわね」

「トビアスにい、コホン。……トビアス様が可愛がってた………か」

 うっかり内々の呼び方をしそうになって慌てて咳払いをして外向けの呼び名に変える。

「私達が一年の入学年度時に首席卒業した先輩だな」

「その男と会わせたい?」

「うむ。あの男は9歳の頃に孤児になって、ロイエンタール家を滅ぼす為だけに生きていたような男でな。学園で自分の配下を勧誘し、卒業後はロイエンタールの英雄と呼ばれるベネディクトと共にロイエンタールの民を扇動して反乱を実行して自分以外の一族を皆殺しにした」

 ぞっとするような復讐劇を聞かされてフレデリクは戦慄する。

「火竜王に復讐する為に世界に出た貴殿と共通するものもあろう。だがアレには才覚があっても復讐を成した今、やる気が無くてな。貴殿と会えば何か変わるんじゃないかと思っただけだ。貴殿もまた復讐を成した男だろう」

「僕がまだ動けるのはマルヤーナ様やアレクサンドラ様が生きていたからですよ」

「だろうな。アイツにとって大事なものは家族だけだった。あの男には何も残っていない。私はあの男を惜しいと思っている。その気になれば今の帝国をも引っくり返せる才覚があり、それを可能とさせる仲間もいる」

 ヴェルザー西方伯の言葉にフレデリクは少し驚く。彼にそこまで言わせるか、という思いもあった。

「まあ、僕も帝国には興味ないんであったところで変わるとは思えませんが」

「ジークフリートは領主の息子に孕まされた哀れな少女の子供でな。細々と生きていたが、政治的に邪魔に思われてロイエンタール家によって母親と双子の兄を殺されたそうだ。双子だったという情報があったら、彼も殺されていただろう」

「あの家はどうしようもないな」

 フレデリクはうんざりするようにぼやく。普通に未成熟な女性に手を出せば帝国でなくても犯罪だ。魔神に影響を受けた鬼人族の方が婚姻統制がかなりきっちりしている程である。

 人間の方が魔神よりあくどいなんて言う声があるのも頷ける話だ。


「まあ、同感だ。彼は復讐を志したが報復したい実の父親はそのすぐ後にルミヤルヴィで無体を働いて殺されている。貴人の血を持ちながら平民として育ち、復讐者を成した者であり、同じ男に因縁を持つ者でもある。境遇は違えどジークとフレデリクは似ている。あの才能が復讐を遂げただけで終わるのは惜しすぎる。貴殿との出会いが何か変わればと思ったのだ。それに気は合うと思うぞ。商人の勘だな」

「頭の片隅に置いておきます。僕も帝国会議で見た時、少しだけ興味はありましたから」

 フレデリクは頷いて見せる。

「そうなの?」

 マルヤーナはフレデリクを見る。

「帝国会議でジルフィア嬢がイザーク公爵令息に称号を見せて欲しいと求めた際、ロイエンタール伯は護衛に何かを聞いて、護衛が首を振ったんだ。その後にイザークの称号を見たいと嘲笑うように追従した。あれは称号を見える人間に確認して、称号がない事を知った人間だった」

「それだけの動きで?」

「あの護衛、神眼持ち、つまり真の勇者の称号持ちの可能性がある」

「確かに護衛を務めるベネディクト卿は勇者称号持ちの疑惑はあったが……真実だった可能性があると?」

 ヴェルザー西方伯は感嘆し、マルヤーナは「ベン君が…?」とかつての学園の後輩の事を少し考えこむ。

 フレデリクはアルノルトを見ると、アルノルトは頷く。

「称号の話はミロンから聞いていたしな。何せパーティの一人はまさに勇者称号持ちだった。だから俺達も勇者称号持ちがどういう人間かをよく知ってる」

「成程。それで興味を持ったと?」

「元来、勇者称号持ちは自身の信念を曲げず、ただ一つのモノの為に命を捨てて戦う。故にこそ神の計算をも壊す奇跡を起こすんだ。なのに、勇者称号持ちの疑惑がある人間が配下にいる。アレは何なんだろうと怪訝に思っていたんだ。ロイエンタールなんかには会いたくなくても、真の勇者を配下にしてしまうような男となら話してみたいと思ったのは事実だから」

「何て言うか、すごく気が合いそう」

 レーアがフレデリクを見ながらぼそりとぼやく。

「そうなのか?」

「閣下に、反乱を正当化する為、ロイエンタールを名乗っているけど、自分の家名をどうやったら変えられるか相談された事があるから」

 その言葉に誰もが苦笑してしまう。

 復讐を正当化する為にロイエンタールを名乗ったが、ロイエンタールという家名そのものを憎んでる自分がそれを名乗って残すという複雑な心境は確かに同情に値してしまう。

 ロイエンタールに会いたくないと言ったフレデリクと少し似ていると思ってしまう。


「まあ、その内会わせようと思っているから会ってやってくれ」

「畏まりました」

「そしてもう一つだが」

「はあ……」

「貴殿に孫娘を嫁がせようと思うが構わぬか」

「ブーッ」

 フレデリクは突然の婚約の打診に噴き出してしまう。

「ちょ、ヴェルザー西方伯。リッ君はアレサの婚約者ですよ!」

「マルヤーナ様。何を言っているんだ?貴殿が子を産めず、アレクサンドラ様もエメラルドブロンドで子供が残せるか分からないのだ。シルッカ嬢は女だし増やせてもたかが知れてる。ルミヤルヴィの血筋で多く増やせるのはラーナストのイスト殿、その次はフレデリク殿だ。後者は既に紅玉級で平民でありながらも貴族相当の扱いが受けられる。貴族であれば夫人が複数いてもおかしくあるまい。マルヤーナ様はルミヤルヴィが絶滅寸前である現状を真剣に考えておられますか?」

「ううう。」

 凄まじい正論にマルヤーナもアレクサンドラの事を想うと断りたい話

だがルミヤルヴィ存続を考えると当然だ。

「いや、そのそもそも僕はアレクサンドラ様との婚約さえ真偽を知らないし、その手の書類は紛失してるんでしょ?さらに言えば僕は独立した一人の人間な訳で周りで勝手に言われても困るし。いきなり妾に押し込まれる孫娘の意見も聞いてあげないの?」

 フレデリクは溜息を吐きながらヴェルザー西方伯を見る。

 ヴェルザー西方伯はふと気づいて孫娘であるレーアに視線を向ける。

「レーアはどうだ?」

「んー………。良いよ」

 しばし考えてレーアな頷く。

「ちょっと待てレーア。お前はそれで良いのか?フレデリクに助けて貰ったとは聞いたが、それだけだろ?そんなんで決めて良いのか?」

 何故か慌てるのはジルフィアだった。

「ヴェルザー西方伯兼ボーデンフェルト伯の孫でミュラー商会の娘だから地位や身分も正妻か妾も分からずに嫁ぐ覚悟はしてた。そういう選択肢の中でルミヤルヴィと皇族の血が入ってる、力のある相手の夫人はかなり良い方だと思う。サーシャは尊敬できる良い子だから正妻でも問題ない。私がそれで嫁ぐという事はボーデンフェルトを背負っていくことになるうえ、何より旦那様は可愛い」

「………。確かに紅玉級は貴族相当の扱いだとは聞いたけど、何でそうなった途端に婚姻関係で悩むことになるんだろ?」

「諦めろ。私も通った道だ」

 フレデリクは肩を落とし、無理やり次期皇帝の婚約者にされてしまったヴィスフェルト侯爵家の姫は同情するようにフレデリクの肩を叩くのだった。


「そんなん気楽に考えろ」

「うっさい。よくよく考えたらアンタは3人も現地妻がいる金剛級冒険者だったよな」

「ちなみに、ウチの娘はやらんぞ?」

「要らねえよ!あとお前の娘は僕をずっと女だと思ってたからな。お父さんの新しい愛人ですかとか聞かれてたからな」

 予想外のフレデリクの反論に、アルノルトは宙を見上げる。

「どこのだ?」

「ヘギャイヤ」

「これが終わったら弁解に行こう。勘違いされてる」

 頭を抱えるアルノルトだった。

「3か所に現地妻がいる時点で勘違いもクソも無いと思うんだけどなぁ」

 フレデリクのボヤキに一同がうんうんと頷くのだった。


「でもなぁ。レーア、第二夫人で良いのか?」

 そこら辺は真面目な貴族であるジルフィアが友人を思いやって口にする。

「そもそもお母さんはお父さんのたった一人の夫人だけど、お母さん自身は側室の子だよ?お祖父ちゃんに何人の側室がいると思ってるの?多分、サーシャの事だから、むしろ結婚相手に夫人をもっと作れって言うと思う」


 現実的な商人の娘でもあるレーアはルミヤルヴィの血筋が途絶えそうな今だからこそ、アレクサンドラならばむしろ複数の妻を推奨するだろうと友人をよく知る者としての意見だった。

 フレデリク、ジルフィア、マルヤーナは少し考えて

「「「言いそう………」」」

 と同意するのだった。

 アレクサンドラ・ルミヤルヴィは感情を表に出さないが、こうすべきという話は感情と切り離して前向きに推し進める誰よりも貴族的な女子なのをぼやいた3人はよく知っていた。



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