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拾った剣が精神汚染して来るんだけど!?⇔拾われた剣、主に振り回される!?  作者: ゆうきゅうにいと
第8章 のろのろ帰還と運命の再会?

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第018話 幕間 レンリート領の人々


 此処、リアースレイ連合国に住む住民は周辺国から飢饉や圧政などで逃げ出した移民が殆んどだ。

 このアデール領と呼ばれる地に住む俺達も同様だ。

 ――とは言え百年以上も前の話し。俺達自身も伝え聞いただけで実感は無い。

 リアースレイ連合国には領主持ちの領地と領主無しの領地がある。

 領主持ちの領地は飛空艇から、その領地では手に入れ辛い生活必需品などを仕入れられる。

 だが領主無しの領地では領主持ちの領地から購入するしかない。当然割高になるので生活は厳しくなる。なら逃げ出さないのかと言うと、貧民など受け入れる側にメリットが無く拒否されてしまうのだ。


 アデール領の統治は30年くらい続いている。

 貴族は横暴な者達も多いが概ね上手く行っていたと思っていた。少なくとも魔物狩りを盛んに行わせて魔物被害を抑えていたし、塩などの生活必需品も飛空艇で送ってくれていた。

 それ以前、領主無しの領地だった頃はかなり貧しい生活を強いられ、生きるだけで精一杯だったのだ。それに比べれば多少の理不尽など我慢出来ると言うものだ。

 ――なのに突然アデール領の本国、アデール王国が滅びたと言われたのだ。



 アデール領を治めていたのはアデール王国から来た貴族達だ。

 俺達は彼等が飛空艇で有無を言わさず連れ出されて行くのを見ているしかなかった。

 それから飛空艇が来る事が来なくなり、蓄えていた必要物資が徐々に減って来ている。

「ハーダン。備蓄は大丈夫か?」

「ボリスか。余剰分があるから1年は大丈夫だが、この先を考えると頭が痛いな」

 声を掛けて来たのは貴族が居なくなって臨時で兵士を束ねているボリスだ。武官も文官も居なくなって俺達庶民が何とか領地を回している状況だ。

 俺も文官の下っ端として使われてきた経験から領地運営に関わっている。

 別に人手不足と言う事は無い。アデール王国の貴族達は偉そうにしているだけで邪魔でしか無かったからだ。おかしな口出しをされないだけ居ない方がマシである。

 ――飛空艇の件が無ければだが。

「隣りの領地から買い入れるとしたら買値も割高になるし、運搬にも余計な手間が掛かるからな」

「ああ」

 領主の居ない領地は自分達の力で自治を求められるのだ。このままだと他領に逃げ様とする者達が出て来るだろう。

 大きな問題になるのが他領に受け入れて貰う為に馬車や家畜などを持って行かれる事だ。兵士に他領への持ち出しに制限を掛けさせたが、この先領地が疲弊して行く様ならそれも何時まで保つか分からない。


 領民の誰もがそんな不安を抱えていた時だ。ふた月振りに飛空艇が降り立ち新たな領主となる国が決まったと知らせが来たのだ。

 レンリート王国。――アデール王国を滅ぼし建国された国だと言われた。

 領主が決まった事は喜ばしいかも知れないが、アデール王国を滅ぼされた事でどれだけ苦労したのかと考えると複雑な気持ちだ。

 それに1つの国を滅ぼした相手だ。我等がどんな扱いになるか不安も大きい。

「ハーダン。顔が引きつってるぜ?」

「ボリス。お前は怖くないのか」

「怖えに決まってるだろ? でも暫定とは言え責任ある立場を任されてるんだ。そんな顔しちゃイケねえよなぁ」

「っ! ……そうだな。そう、だったな」

 顔を強張らせているとボリスがニヤリとしながら声を掛けて来た。からかっているのかと睨みつけたがボリスは軽い口調で、だけど真剣な眼差しで俺の姿勢を正して来た。

 確かにその通りだった。周りの目もあると言うのに腑抜けてはいられないんだ。

「なぁに、大丈夫だろ? アデールだろうがレンリートだろうが、この地に住む俺達は逞しい。――負けやしないさ」

「ああ、俺達は負けない。逞しいからな」

 互いに目を合わせると、肩の力が抜けふっと笑みが出る。

「レンリート王国がどんな国かは分からないが、やれる事はやっておかないとな」

「領民も混乱してるだろうしな」



 それから数日後、再び飛空艇が降り立った。

 俺達は緊張の面持ちで出迎えたが、降りてきたのはたった1人の女性だった。背の高い、銀髪碧眼のとんでもない美人で大きな胸の持ち主だ。

 美人過ぎて人間味を感じない。その表情と立ち居振る舞いから直感的に怖い人だと理解した。周りの人達からも緊張が伝わってくる。

「私はシャルロッテ・イル・フローディア。レンリート王国の公爵家当主で王族として来たわ」

 通常此処を統治するのは貴族の傍系で当主が治める事は無い。飛空艇で行き来出来るのは王族のみだからだ。

 公爵家と言う事なので王族の血を色濃く継いだ方なのだろう。


 それからシャルロッテ様は現在このレンリート領を運営している主要メンバーを集めて情報収集をしていった。

 この方は非常に頭が良く人を扱う事に長けている。次々と書類の不備を突いては不正を明らかにしていく。主に行ったのはアデール領の貴族達なのだが、それを隠れ蓑にうまい汁を吸う者達が俺達の中にも居た様だ。

 甘かった。もっと精査しておけば良かった。どんな処罰がされるのか冷や汗が出る。俺はボリスの言葉を思い出し、何とか対面を保っているが周りの者達は顔面蒼白だ。

 だがそれも無理はない。庶民の処罰となればアデール領時代は連座の処刑が当たり前だからだ。

 けどシャルロッテ様は処罰はレンリート王国法に照らし合わせて行われると仰った。庶民だからと即処刑とならない様なのでホッとした。

 シャルロッテ様は生活必需品を大量に持って来てくれていた。どうやら此処から連れて行かれた貴族達から聞き取りをして必要な物を持って来てくれたらしい。

 正直助かった。情報を渡してくれた貴族には感謝だな。

 だが帰り際に旧アデール領で不正を働いた貴族達を連れて来て処刑を行うから準備をしておく様にと言われ、その場が凍り付いた。



「ムローク。シャルロッテ様から言われた傷病者の件はどうなっていますか?」

「ベルガーに任せていますよハーダン」

 俺、いや私は庶民の出でありながら家令を任される事になった。ボリスも大隊長となり軍のトップに抜擢されている。このベルガーも庶民だが執事長だ。

 元々アデール領時代は肩書きは貴族が持ち、実務は庶民に押し付けられていたのだ。能力的にはそんな貴族より私達の方が高いに決まっている。

 シャルロッテ様の求める能力が高いから油断は出来ないのだが、実力主義な所は皆が好感を持っている。

「ベルガーで大丈夫ですか?」

 ベルガーはアデール王国の元貴族だ。シャルロッテ様の調査により処刑は免れたが、借金奴隷として執事を任されている。

「隷属の首輪で縛られているのだから大丈夫でしょう」

 隷属の首輪は思考に制限を掛ける物だ。反抗心を抑えて言う事を聞かせる為に使われているが、思考能力も落ちる為執事をやらせているベルガーにはその制限が緩いのだ。

「確認は怠らないで下さいよ」

 シャルロッテ様は恐ろしい御方ですからね。



 レンリート領には領都と5つの街がある。それらは円状の外壁で囲われていて、その外周にくっつく様に村が幾つもあるのだ。

 この様な造りなのは魔物が出た時に直ぐ街に避難出来るし、街から兵を派兵しやすいと言う理由がある。他にも他領との交易が余り無いのも街々を繋ぐ村が出来ない理由だろう。

 その各街々に必要物資が行き渡り領民が一息ついた頃、シャルロッテ様が元貴族達を引き連れて処刑が行われた。

 あらゆる不正が行われていた様で、重犯罪者には連座の処刑が決まり街の人達は熱狂していた。直接被害に遭っていた者達も少なくないからそれも当然だろう。

 元貴族とその傍系達、処刑対象だけでも5百人以上居た為に領都だけでなく各街にも振り分けられて処刑が行われている。

 やり過ぎな感じがしないでもない。中にはシャルロッテ様のやりように恐れを感じる者達も居るだろう。

 だが必要な事だとは思う。アデール貴族のやり様に涙していた者達がレンリート貴族に貴族と言うだけで反感を持つのは避けたいからな。その所為でレンリート貴族と揉めたら大事だ。

 この大々的な処刑でアデール貴族とレンリート貴族を同列に見る者は減るだろう。


 その後は週に1便、レンリート領に飛空艇が降りて来て交易が行われる様になった。それ以上は此方が売れる物が無いのだ。必要物資も揃って来ているので最終的には月2便程度に収まるだろう。

 家令としての責任は重いがやりがいのある仕事だ。

「これで領地を出ようとする者達も居なくなるでしょうか」

「良い傾向なのは間違いないが、処刑騒ぎで新しい領主に不安を持っている者も多いだろ。領外への持ち出し制限は暫く続けておいた方が良いだろうな」

「ええ、……そうですね」

 領主屋敷の一室に大隊長に抜擢されたボリスを呼んで近況を話し合っている。希望が見えた所為か心持ち互いに明るい表情になっていると思う。


「それにしても、アデール王国には大分ボッタクられていたらしいな」

「ええ、仕入れがかなり安くなりました。貴族の散財も無くなりましたし領地運営が相当楽になるでしょうね」

「シャルロッテ様は俺の方にも色々と必要な物は無いかと聞いてくれたよ。アデール王国よりも大分まともな国なんじゃないかな?」

「まあ、上手くやれれば良いと思ってますよ」

 以前は地位は家の権力次第だったので上下関係が厳しく、貴族が要職を得て庶民は雑務と言う名目でほぼ全ての仕事を押し付けられていた。

 レンリート領は実力主義なので次々と庶民を要職に就けている。周りも庶民だらけなので居心地が良い。まだ座り心地の良すぎるこの椅子には慣れないが。

 懸念点があるとすればアデール王国みたいに滅ぼされないかと言う事だ。しかし既に主な周辺諸国とは同盟や友好国として手を結んでいるそうなので俺達はそれを信じるしかない。



 そして更に数日後、飛空艇が来たと言う報せが来た。

 普段は物資輸送の為に飛空場に行くのだが、要人が居る時はこの領主屋敷の中庭に降り立つのだ。

 私達は急いで出迎えた。飛空艇は10m程上空で停まっていて下部ハッチが開き、エレベーターで魔導車が降りてくる。

 そのまま屋敷の正面に移動してシャルロッテ様が降りて来た。だが今日はもう1人居る。

 公爵家当主のシャルロッテ様が傅いている様子から相当身分の高いお方なのだろう。手を引かれて出て来たお子様は見目麗しい物語のお姫様の様なお方だった。






時代が合わないのでアデール王国のリアースレイ連合国入りは先代愚王と言う事にしたいと思います。修正についてはその内時間が出来れば、それまではお目こぼし下さい。

ブックマークや何らかの評価を頂けると励みになるので大変嬉しいです。

これからも宜しくお願い致します。

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