シーズン4
「面白いけれど、少しクセがあるね。まあ、話半分に見る方がいいと思う。」
山臥は真面目に見ていた私を少し心配するように言った。
20世紀末を経験した我々世代は、オカルト関係に真剣になる人を見ると心配になる。
「そうね。何だかマヤ暦の話が胡散臭いわ。確かマヤ暦って20で進むのよ。確かに13は重視されるけれど、13年とかなんかおかしい気がする。」
私は思った事を話した。
「マヤ暦詳しいの?」
山臥に聞かれて急に恥ずかしくなる。なんでこんなこと知ってる?私。
「詳しくはないけれど、まあ、小説書いるし。」
ここにきて『パラサイト』という作品のことを思い出していた。あれを書いていた時、確か、マヤの予言の本を開いたんだよな( ;∀;)
あの話は夫婦の不倫三角関係のサスペンスだった。それがあんなふうになってゆくのにマヤ暦の存在があった。
世の中は混乱して、2020年3月。今度こそのマヤ暦の滅亡とか言われていた時期の事だった。
「そうだね。君は小説家だったね。」
山臥は色気のある酔った瞳で上目遣いに私を見る。
し、小説家!!!!(◎_◎;)
何だか恥ずかしくて顔が赤くなる。この人、褒め上手だな、と思った。
が、そんなのはどうでもいい。ここから、ここからが問題なのだ。
「まあ、WEBでだけどね。それより、今年は何だか変な気がするんだ。」
私は漠然とした不安を口にする。今年は夏が暑かったし、熊が出没するし、何だか変な感じがした。うまく言えないけれど、何かが変な感じがする。
「そうだね。夏は暑いし、そうだ、俺ン家の近くでも熊が出たんだ。」
山臥は真顔で驚いた風にいう。
「アンタの所は田舎じゃん。毎年出てるじゃない。」
思わずツッコむ。
「いやあ、今年はすごいんだって。」
という山臥の言葉を聞きながら、ふと夏の克也のコメントを思い出していた。
311の時、白鳥はいつもより早く飛び立った。彼らは地震を感じたのではないか。自然のメッセージを聞き逃すな。と、いう言葉を。
「そうね。今年、白鳥はどうなんだろう?」
私はスマホで検索する。ぼちぼち飛来しているようだった。やはり、気のせいだろうか。
「災害より、気温の方があるんじゃないかな?」
山臥は私のスマホをいじり始めた。
「まあ、ね。自然より、政治の方が大変か。」
私は日中関係の方が心配になる。でも、さすがに恒星間彗星が政治には関係はしない気がした。
「ああ、でも、今、我々が気にしてもどうにもならないしね。」
山臥は卵焼きにパクついた。
「まあ、ね。あ、そうか、1番の違和感の原因がわかったわ。」
私は叫んだ。
「それ、何?」
山臥の合いの手が心地よい。
「克也よ。毎回、人類滅亡の話題が世間で話題になると、私のところに長文でデスシティで戦う話が舞い込んでくるんだもの。今年はそれがないんだもん。それだわ。」
何だかスッとした。よくわからないモヤモヤの原因が解明できたから。
「シーズン5、だっけ。」
山臥が揶揄う。
「2012年、2015年、2020年だから、シーズン4だよ。」
私も軽口を叩いた。その夜は穏やかに過ぎていった。山臥は明日仕事のために早々に帰った。
タブレットを開いた。メールが来ていた。
克也からだった。
陽気な文体で、珍しく謝ってきた。
〈やあ、ごめん。俺の判断違いだった。あの動画は間違っているよ。宇宙人が愛のメッセージなんてよこすわけが無いんだ。
あの配信者は、アシスタントの女の子と出来てたんだよ!!!
そんな不潔な男に宇宙人が愛のメッセージを伝えるわけがないんだ!
人類は滅亡なんてしないよ。
卯月さんもケーキを食べで楽しいクリスマスを過ごすといい。〉
そのメッセージに返信しながら、私は気持ちよく連載を書き始めていた。




