イチゴ
季節のデザートはイチゴだった。
私は期間限定のセットをファミレスで注文し、そして、目の前にいる山臥に既視感を感じていた。
そう、あれは夏。
マンゴープリンを食べながら江戸川乱歩について話していた。気がつけば夏は終わってすっかり世界は冬だった。
むかいに座る山臥も分厚いドカジャンと長靴姿である。
でも、私は未完の中でもがいていた。
本当になんで書く話、書く話、未完っで止まるんだろう。と腹が立つが仕方ない。私は年の瀬の豪華なセットメニューを頼んで山臥にビールが来たのを見るとフリードリンクを取りに行く。
「そんなに嫌ならやめればいいじゃない。もう、完結する必要はないんだろ?」
今日は山臥が奢ってくれる予定なので少し偉そうに言う。
「そうはいかないわ。これでも、少しは原稿で稼いだんだもの。」
いやーん(〃ω〃)原稿で稼ぐだって。はははん。恥ずかしい。
「そうか。君の物語を待っているファンがいるんだね。」
山臥、私の恥ずかしい言動にナチュラルに夢世界のセリフを放った。
奴のこう言うところ、本当にすごいと思う。私は途中で素に戻るからダメなんだよなぁ。小説家って、なんか徹夜で完結させる人とかいるけれど、そう言う人って、やはり我に帰ることなく完結まで描ける人なんだと思う。
私は途中、変な事に気がついて話が止まるのだ。
なんと言うのか、おとぎ話の不思議な世界でスズメとかと宴会していた時に何かが起こって、気がついたら野っ原で1人で寝てる、みたいな状態になるのだ。
「まあ、ビール飲みなよ。あ、漬物がサイドメニューに入ってるよ。つまみにどう?」
私は話を一気に変えようとした。ファン。私のファン?そんなツチノコハンターみたいな話をしたい気分ではなかった。
山臥はなんか、優しい顔で私が漬物を注文するのを見つめていた。それはそれでなんか居心地はよくない。
「で、何があったのかな?」
漬物がやってきたタイミングで山臥が聞いてきた。私は少し嫌な気持ちをコーヒーと飲み込んで言った。
「なんかさ、克也からネットの出禁をされたんだ。」




