砂漠の狼(2)
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帝国植民地軍が港湾都市の確保に必死になっているのは、補給物資の移送において船による移送に大きく依存しているからだ。
サウードのサウジアラビアに入った部分と帝国の植民地メディアは、ペルシャ湾で妨げられているだけで、距離的には非常に短い。メディアから、イラクに相当する部位を抜け大きく曲がって、ミグリンまで到達するような距離よりも遥かに短い距離だ。
そして、現地の交通インフラの貧弱さは陸路での移送を困難にしている。共和国植民地軍は撤退する際に鉄道路線を破壊していったので、共和国の鉄道を使って物資を移送することもできない。
ならば船で物資を運ぼう。それしか手はない。
特に帝国はメディアの港湾設備の充実を目指したために、メディアには立派な港湾設備がある。大型のエーテリウム輸送船も着岸可能な埠頭があり、各種輸送船が普段から溢れている。
帝国はよって海上輸送によって兵站を補うことにした。帝国植民地軍サウード派遣軍団の司令官であるクリメント・クロパトキン大将も、砂漠の大地に延々とトラックを走らせるよりも、船による輸送の方がスムーズだと考え、作戦においてサウードの港湾都市を確保することに重点を置いた。
その港湾都市が危機に晒されている。
どういう手段で忍び込んだのか、帝国植民地軍の後方に敵の魔装騎士部隊──兵士たちはこれを既にヴェアヴォルフ戦闘団だと確信している──が、港湾都市を連続して襲撃し、大事な輸送船と物資を焼き払い、港湾設備にも甚大な損害を与えて消え去った。
帝国植民地軍は魔装騎士部隊を使ってこの部隊を追跡することも考えたが、クリメントが港湾都市の防備強化を命じたために、魔装騎士は港湾都市に配備せざるを得なくなり、追跡は断念された。
物資は焼き払われ、港湾設備は滅茶苦茶にされ、兵站計画は大きく狂った帝国植民地軍だが、来たるべきヤスリブ攻略に備えた兵站基地の設置を必死になって急いでいる。新しく物資とトラックを運び込み、それを使ってミグリンまで物資を移送するのだ。
「畜生。口の中が砂だらけだ」
帝国植民地軍の補給部隊に所属する兵士がトラックを運転しながら愚痴る。
「港、酷い有様だったな」
「ああ。完全に破壊されてた。当分は小型の船しか使えないな」
運転を交代するために乗り込んでいる助手席の兵士が告げるのに、運転席の兵士が肩を竦めてそう告げた。
「やっぱりヴェアヴォルフ戦闘団って連中の仕業なのか?」
「間違いなくそうだろう。連中はアナトリア戦争で王国を相手にこんなことをやってったんだ。連中の指揮官は頭がぶっ飛んでる。トンでもないことをやらかしやがる野郎だよ」
噂されるのはヴェアヴォルフ戦闘団の影。
港湾都市の襲撃はヴェアヴォルフ戦闘団によるものだった。連中は僅かに1個小隊の魔装騎士で1個連隊の魔装騎士を壊滅させた。連中の次の狙いはミグリンにある帝国植民地軍サウード派遣軍団の司令部だ。
兵士たちは冗談交じりにそんな噂話を交わし合い、それを真面目に受け取った将校は、ミグリンの防御を固めるために2個師団をミグリンに貼り付け、司令官であるクリメントを地下室のある頑丈な建物──刑務所に移動させ、そこに司令部を設置させていた。
「連中は本当にミグリンを狙うと思うか?」
「いいや。また港湾都市を狙うと見たね。また港湾都市を襲撃して俺たちが折角蓄えた物資を焼き払うんだ」
助手席の兵士の言葉に、運転手の兵士が返す。
次にヴェアヴォルフ戦闘団が何を狙うのか。
兵士たちは怯えると同時に興奮していた。あの離れ業を成し遂げてきた部隊が、次はどんな奇怪な手を打つのだろうかと。彼らは賭けを行い、自分たちが襲われないことを神に祈る。
「分らんぞ。ひょっとしたらメディアを直接攻撃するかもしらん。あそこを叩かれたら、俺たちの後ろはなくなっちまう。俺たちはサウードで孤立する」
「うへえ。そうなったら俺は共和国植民地軍に投降するぜ。この砂漠で渇きで死ぬなんて最悪だからな」
兵士たちがそんな会話を交わしていたときであった。
爆音が鳴り響いた。
「うおっ!」
その爆音と同時に前方を進んでいたトラックが吹き飛び、後方から進んでいたトラックが急ブレーキをかける。
「な、何が起きた? 襲撃か?」
「分らん。警戒して、外に出よう」
助手席の兵士がアンネンコフ式小銃を握りしめて告げるのに、運転席の兵士も銃を手にして外に出た。
「大丈夫か!」
外んでた兵士は倒れたトラックに声をかける。だが返事はない。
念のために覗いてみたが、やはりトラックの中にいるのは死体だけだった。首の骨が折れた死体がふたつ揃って並んでいる。目と耳と鼻、そして口から血を流し、グニャリと力を失っている。
「ここにクレーターができてやがる。あれだけの爆発にしては深い。何かを埋めていたのだか?」
トラックに生存者がいないことを確認した兵士は爆発が起きた場所を見る。
「砲弾の残骸……? 俺たちの砲兵隊が使う奴だ。どうしてこんなところに転がっている?」
そして、兵士が見つけたのは帝国植民地軍の砲兵隊が使用する重榴弾砲の砲弾だった。既に爆発したそれが、地面に転がり、黒焦げになって、うっすらと炎を纏わせていた。
「一体、どういう──」
不可解な砲弾の破片に兵士の心に疑問が胸に渦巻くままに、これからどうするべきかを考え始めたときであった。
「敵襲! 敵襲だ! 敵の魔装騎士! 伏せろ!」
この物資を輸送する隊列の中ほどで襲撃を告げる声が上がった。
「魔装騎士! ヴェアヴォルフ戦闘団だ!」
榴弾砲を見つけた兵士は大急ぎでトラックに乗り込み、車を発射させようとする。だが、先に爆発で吹き飛んだトラックが邪魔で道路を使っては前に進めない。やむを得ずトラックを迂回して進もうとするが、タイヤが砂を掻いて、スタックしてしまった。
「思ったよりも規模が小さいな」
道路の脇にある丘の上から隊列を見下ろすのはクラウスだ。
『あなたが破壊したからでしょう。帝国植民地軍の物資も、トラックも、そして人間たちも。何もかもあなたがドカンと破壊した。その影響が現れたってことじゃない?』
「ああ。ちいとは効果があったようだな。俺たちのあの攻撃で、後を引いているのはいい兆しだ」
敵の魔装騎士を警戒して周囲に散開しているローゼが告げるのに、クラウスはそう告げて満足そうに笑った。
「では、紳士淑女諸君。叩きのめせ」
クラウスの号令と共に20体の魔装騎士が一斉に隊列に襲い掛かった。
彼らが狙うのはトラックの運転席。そこを狙って口径20ミリ機関砲弾を叩き込み、対装甲刀剣で切り付け、対装甲ラムで木っ端微塵にする。
「逃げろ! 逃げろ! 殺されるぞ!」
「退避! 退避!」
護衛もなかった帝国植民地軍の隊列は突然の敵襲に抵抗することもままならず、トラックごと自分たちが潰されるのを恐れて逃げ惑う。クラウスは彼らが可能な限り遠くに逃げるように後ろから機関砲弾で追い立ててやった。
「ヘルマ、ナディヤ。帝国の連中は全員逃げたか?」
クラウスは動くものはヴェアヴォルフ戦闘団の魔装騎士だけになった戦場で、自分の僚機であるヘルマと、偵察分隊を指揮するナディヤにそう尋ねた。
『こっちにいるのは死んだ帝国の連中だけッス。生きているのはいないッスよ』
ヘルマは対装甲刀剣でチョンチョンとトラックを突いて確認しながらそう答える。彼女に破壊されたトラックからは原型を留めていない帝国植民地軍の兵士の死体が、ダラリとドアから垂れている。
『こちらナディヤ。敵は逃げ去った。今、確認したが地上で生きているものはひとりもいない。ここは確保できた』
「結構だ。物資をいただくとしよう」
ヘルマとナディヤの報告を聞くと、クラウスは小さく笑った。
「クルマン中尉。仕事だ。来てくれ。少なくともここの帝国植民地軍の連中が大挙して押しかけてくる前に」
『了解。直ちに向かいますよ』
クラウスは戦闘が終結したとみると、補給中隊の指揮官であるコンラート・クルマン中尉をエーテル通信で呼び出した。
「補給中隊、只今到着しました」
クラウスが呼び出してから15分ほどが経過したときに、コンラートが数台のトラックと共に運転手がいなくなり、物資だけが起き残された隊列の並ぶ場所までやってきた。
「クルマン中尉。使えるものを選んで運び出してくれ。食い物、小火器、梱包爆薬、大口径榴弾砲、それからエーテリウムを」
「はいはい。お任せください、中佐殿。今から使えそうなものを片っ端からいただいていきますよ」
クラウスが魔装騎士を降りて、コンラートの隣に立って告げるのに、コンラートがトラックの積み荷を物色しながらそう返した。
現在、クラウスたちは“ある手段”で帝国植民地軍の後方に回り込み、そこで独自に行動を行っている。
武器弾薬の補給は夜中にトラックを走らせて行うが、他は現地調達だ。食料からエーテリウム、そして爆発物まで。
爆発物。
クラウスがこの隊列を攻撃する際に使用したのは帝国植民地軍が使用する口径152ミリの重榴弾砲の砲弾で、その触発式信管を上にして地面に埋め、通りかかったトラックの先頭車両が吹き飛び、道路を塞ぐように手配したのだ。
可能な限り武器弾薬は節約して戦うことをクラウスは心がけ、この手のIED(即席爆発装置)を使っていた。またこれならば魔装騎士はギリギリまで隠れておけるため、待ち伏せにも成功しやすい。
「えーっと。これはエーテリウムですね。帝国のPM3クラス。恐らくはトリグラフ型魔装騎士のためのエーテリウムでしょう。うちのニーズヘッグ型でも使える奴ですよ」
「そいつは結構だな。全部いただいていこう」
トラックの積み荷のひとつは魔装騎士を動かすためのエーテリウムだった。コンラートはエーテリウムのコンテナに記されている帝国の精製基準を読み、それがニーズヘッグ型でも使えるものであることを報告する。
ニーズヘッグ型は大量に備蓄されているスレイプニル型用のエーテリウムを使用するために、スレイプニル型と同じエーテリウムの精製基準で動作するようになっている。そして、スレイプニル型という共和国の第2世代型魔装騎士と、トリグラフ型という帝国の第2世代型魔装騎士はほぼ同等だ。機体が使用するエーテリウムも。
「こっちは小火器、と。機関銃もありますね。いただいていきましょう」
次にコンラートは別のトラックに積載されていた帝国植民地軍の小火器を、部下に命じてトラックに積み込ませる。帝国植民地軍は小火器だけは、本国軍と同等のようで、機関銃も比較的新しいものが配備されている。これは中央アジアの戦争の影響だろうか。
「で、砲弾と。こいつは口径122ミリですね。どうします、中佐殿?」
「フン、152ミリが良かったが、それしかないのであればそれでいい。もう残りが少なくなっていたから、2、3発だけでいいので積み込んでおけ」
その次に発見されたのは榴弾砲の砲弾だった。口径122ミリと帝国植民地軍が使用する一般的なサイズの榴弾砲の砲弾だ。
「さて、と。そろそろトラックも満杯になってきましたが……」
コンラートはそう告げながら、最後尾のトラックに向かう。
「おっと。これはこれは。いいものを発見」
そして、積み荷を見たコンラートがニッと笑う。
「何があった?」
「食料と酒ですよ、中佐殿。食料の方は味は期待できない缶詰ですが、酒はなかなかいいものを運んでいましたね。これは恐らくは高官向けの物資でしょう。いいワインにウォトカが揃っている」
クラウスが尋ねるのに、コンラートがトラックに飛び乗り、酒瓶をクルクルと回転させてみせた。
積み荷は確かに食料と酒だった。食料は缶詰が大量に積み込まれている。帝国の缶詰の味は共和国のそれに比較すると、些か問題ありな代物で、クラウスたちも辟易していたところだ。
だが、酒の方は話が違う。高級な赤ワインに、強いウォトカが何本も積み込まれている。コンラートが告げるように、これは高官向けの物資を移送していたトラックなのだろう。
「1862年のアラス・シャルルマーニュ。思い出すなあ。上手いところ金持ちのご婦人と知り合いになって、これを飲みながら愛を囁いたものです。彼女は金持ちだったし、美人だった」
コンラートは赤ワインのボトルを眺めながらそんなことを語る。結婚詐欺師である彼の思い出なのだから、オチは分かり切っているので、わざわざ最後まで聞く必要もない。
「酒、か。あまり部下たちには飲ませたくないところだが……」
クラウスは自分の部下たちの酒癖の悪さを思い出して、憂鬱な表情を浮かべる。
「なら、これは自分が個人的にいただいてもよろしいでしょうか?」
「馬鹿を言え。こいつを勝ち取ったのはお前じゃないだろう」
コンラートが告げるのを、クラウスが即座に却下する。
「サウードに入ってから、これまで随分と戦ってきた。息抜きをさせてやる必要もあるだろう。1週間後の晩に特別に酒を出す。それまでちゃんと管理しておけ、クルマン中尉。盗み飲みしたりするなよ」
「そんなに自分は信用ないですかね……」
コンラートを胡乱な目で見ながら告げるクラウスにコンラートが酒瓶を梱包用の箱に戻してそう呟いた。
「物資を積み込み終えたら速やかに撤収だ。帝国植民地軍の部隊が来た時にまだ積み込みが終わってなかったら、お前の責任だぞ、クルマン中尉。その敵は銃を持たせてお前にも戦ってもらうからな」
「ひえっ! りょ、りょ、了解! 迅速に作業を進めます!」
クラウスは最後に脅すようにそう告げ、コンラートは部下たちに大急ぎで積み込み作業を行わせた。エーテリウム、小火器、砲弾、食料、酒が、帝国植民地軍のトラックから、共和国植民地軍のトラックに移されていく。
「積み込み作業完了です、キンスキー中佐殿!」
「ご苦労、残った物資は──」
暫くしてコンラートがクラウスに作業が終わったことを報告し、クラウスはまだ幾分かの積み荷が残っているトラックに視線を向け、何かをトラックの荷台に投げ込んだ。
ドオンと音を立ててトラックが爆ぜる。
クラウスが投げ込んだのはこの隊列のトラックから鹵獲した帝国植民地軍の梱包爆薬だ。それがトラックの荷台で炸裂し、トラックの秘封機関が暴発して、大爆発を引き起こす。
「残りは全部吹っ飛ばしておけ。帝国植民地軍が後から来て、物資を運んでいったら襲撃した意味がない」
「了解」
クラウスの命令に補給中隊の兵士たちが、物資の残っているトラックに梱包爆薬や、時限信管を装着した砲弾を投げ込み、次々に物資を焼き払っていく。
そして、全ての物資が焼き払われ、隊列が炎を上げるだけになると、クラウスたちは魔装騎士に、トラックに、それぞれ乗り込んでいく。
「こちらヴェアヴォルフ・ワン。これより移動する。バスィール殿下、異常はありませんか?」
『こちらから見る限り動きはない。こちらも撤収を始める』
クラウスがエーテル通信機に向けて呼びかけるのに、バスィールが答えた。
「ナディヤ。誘導を頼む。今日の狩りはこれで終わりだ」
『了解した。誘導を始める。付いて来てくれ』
次にクラウスは偵察分隊のナディヤに呼びかけ、彼女が応じた。
ナディヤと偵察分隊の隊員たちを乗せたジープが道路から砂漠に向けて進み始め、そのあとをクラウスたちヴェアヴォルフ戦闘団の魔装騎士が付いていく。
この襲撃から2時間後に異常に気付いた帝国植民地軍が偵察部隊を派遣したが、彼らが発見したのは焼け落ちたトラックがズラリと並ぶ道路だけだった。
帝国植民地軍は大量の物資とトラックを失い、更には帝国植民地軍が兵站線として利用している道路からトラックを撤去する労力まで必要になった。
この襲撃によって帝国植民地軍は更に兵站計画が狂い、サウードの中枢たるヤスリブに向けての攻撃はまたしても延期された。
しかも、ヴェアヴォルフ戦闘団の襲撃はこれでは終わらず、何度も車列が襲われるということが続いた。そのたびに物資が焼かれ、トラックが破壊され、兵站計画は狂い続ける。帝国植民地軍はミグリンで足踏みをしたまま、全く前進できずに、時間だけが過ぎる。
帝国植民地軍サウード派遣軍団司令官のクリメント・クロパトキン大将は、3度目の襲撃から車列の護送を決定し、後方の2個師団に車列護送のための兵力を割くように命じたが、魔装騎士の襲撃に応じるには後方の2個師団は戦力が足りなくなっていた。
何せ彼らは港湾都市をヴェアヴォルフ戦闘団から守らねばならず、更に1日に何度も出発する車列を護衛するには、魔装騎士が足りないのだ。
後方の2個師団に残っているのは1個連隊の魔装騎士だけ。
後方の2個師団は苦渋の決断として、2個大隊を港湾都市の防衛に当て、1個大隊を3個中隊に分けて、1個中隊ごとに護送に当たらせることとなった。
だが、これは悪手だ。戦力をむやみに分散させることは軍事的に正しい判断とは言えない。戦力は集中して運用し、局地的にでも相手に対して数の優位を確保することが戦闘の基本なのだから。
そして、当然の結果として、1個大隊の魔装騎士と1個中隊の装甲猟兵からなるヴェアヴォルフ戦闘団はこの分裂した魔装騎士部隊を各個撃破し、いいように車列を料理した。
帝国植民地軍は更に魔装騎士を失い、もはや港湾都市の防衛も、車列の護衛もおぼつかなくなり始めた。
「畜生。ヴェアヴォルフ戦闘団め」
「忌々しい砂漠の狼め」
帝国植民地軍の将兵たちは、この荒れ果てた砂の大地と共にヴェアヴォルフ戦闘団を呪う。忌まわしい災厄をもたらす砂漠の人食い狼たちを呪う。
「砂漠の狼か。忌々しい。連中によって我々はここに缶詰だ」
帝国植民地軍サウード派遣軍団の司令官であるクリメントも、司令部となった刑務所で砂漠の狼たちを呪っていた。
「既に2週間。これ以上、ここで足踏みをしていては共和国植民地軍の増援がトランスファールから来る。そうなっては我々は……」
クリメントは地図を見下ろし、この砂の大地からどうにかして脱出できないかと考えたが、彼にも思い浮かぶ手はなかった。
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