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砂の大地

……………………


 ──砂の大地



 サウードは地球のアラビア半島がそうであるように、砂漠に覆われた場所だ。


 共和国はこの地で採掘されるエーテリウム鉱山を目当てに植民地にしているが、過酷な自然環境が待ち受けるこのサウードに入植しようと思うのは、鉱山で一山当てようと考えている山師か、SRAGなどの資源開発企業から派遣された作業員たちだけだった。


 そんなサウードはトランスファール共和国に比較すれば、植民地人の文化が残っている。彼らの客人を持て成す方法や、独自の宗教観から来る規則正しく、健康的な生活はそのままであり、他の植民地のように文化を潰されたりはしていない。


 そんなサウードに到着したクラウスがまず始めたのは、訓練だった。


 ヴェアヴォルフ戦闘団の隊員たちには休みもなく、新型の魔装騎士であるスレイプニル型魔装騎士の訓練に追われることとなった。


「熱いッス……。やる気しないッス……」


 外は炎天下の中、エアコンのない魔装騎士の内部はオーブンのようで、ヘルマたちは熱によってへばっていた。


「エアコンは必要だな。本国ならば必要ないかも知らんが、植民地では必要だ」


 クラウスもレナーテに渡す植民地向けの魔装騎士の項目にエアコンと記しながら、訓練を続けた。


 スレイプニル型魔装騎士の機動力を活かした戦い方の習熟。


「そら。これならどうだ?」


 クラウスはそう告げて、訓練用の対装甲刀剣を、ヴェアヴォルフ戦闘団の他の魔装騎士に突き付ける。人工感覚器を狙った一撃だが、訓練用の対装甲刀剣は人工感覚器を傷つけないようにしている。


 クラウスは教育部隊の時のように部隊をふたつに分け、模擬戦という形で訓練を行った。実戦に則さない的を狙った訓練より、実戦に則した訓練の方が、いざ実戦となったときに体が反射的に動くからだ。


 戦場では1秒の時間の差で生死を分けることがある。それならば、実戦的に訓練を行い、反射的に体が動くようにしておくことが望ましい。思考というステップを飛び抜け、脊髄反射的に体が動く方が生存できる可能性は高い。


 特にスレイプニル型は動きがラタトスク型よりも遥かに速くなった。この速さについていくには、反射的行動が欠かせない。小難しく頭で考えるよりも、体が勝手に動いて敵に打撃を与えることが。


「行くッスよー!」


 ヘルマも暑さにうんざりしながらも、訓練ではいつもの調子で戦った。


 クラウスの背後を守り、彼に近づくものは何人たりとて攻撃させない。踊るように魔装騎士を操り、歌うように金属音を立てる。


 元より素早い近接戦闘を好むヘルマにとってスレイプニル型はベストと言える機体だった。彼女はスレイプニル型の速さに早くも順応し、自分の体と同じように正確に操っている。


「よくやっているな、ヘルマ。やはり、背後を任せるならお前だ」

『ヘヘッ! 兄貴の背中はこのヘルマにお任せ──』


 クラウスがヘルマを褒め、ヘルマが嬉しそうに笑ったとき。激しい金属音が響いて、ヘルマの機体にペイント弾の真っ赤な痕跡が刻まれた。


『撃破』


 エーテル通信機のクリスタルにローゼの愛想もこそもない不愛想な表情が映り、僅かにだが笑った。


『うわー! 操縦席直撃じゃないッスか! やられたッス!』

「ローゼも流石だな。ヘルマに当ててくるか」


 ローゼもスレイプニル型の動きに順応しつつある。彼女は的がヘルマのように高速移動していようとも、砲弾を的確に敵に向けて叩き込んでいた。恐らくは彼女が共和国植民地軍で一番の装甲猟兵だ。


「だが、こっちもただでやられるつもりはない」


 クラウスはそう告げると、ローゼが潜んでいると思しき場所に向けて、口径75ミリ突撃砲から演習用の模擬弾を放ち、彼女を牽制する。


「ディータ。今、俺が撃った場所に向けて撃ち続けろ」

『了解!』


 クラウスは同じチームのメンバーにそう命じ、自身は対装甲刀剣を構えて、ローゼに潜む丘の上へとジグザグで突撃する。


 丘に近づけばローゼの砲撃が飛んでくる。高速でジグザグ移動するクラウスを的確に狙ってきているが、流石にクラウスには当たらない。彼はジグザグで移動しているし、かつ友軍に牽制射撃を行わせているのだから。


『うわっ!』


 そこで、牽制射撃を行っていた友軍が狙撃された。先に邪魔なものから片付けて、それからクラウスの突撃を粉砕するつもりのようだ。


「遅い」


 だが、クラウスの方が速かった。クラウスはローゼの眼前に姿を現し、対装甲刀剣を振り上げて、秘封機関アルカナ・リアクターのある場所に向けて振り下ろした。


『友軍を使うのが上手いわね』


 撃破されたローゼからクラウスにそうエーテル通信が入る。


「指揮官は部下を上手く使える奴が優秀だ。お前も部下を使え。お前の射撃の腕前は認めるが、もう少し部下に任務を委ねてもいいのだぞ?」

『彼らにも任せてはいる。ただ、あなたの相手をするなら私だと思って』


 ローゼの指揮下には18機の装甲猟兵中隊がいる。彼らの射撃の腕前もなかなかだが、やはりローゼと比べると劣るものがある。


「さて、今日の演習はこれぐらいか」


 クラウスは勝敗がほぼ決したのを確認すると演習を終わらせ、植民地軍の基地で部下たちに冷たいビールをたらふく奢ってやって、彼らが訓練を苦にして脱走しないように、疲れを癒してやった。


 そんな訓練は1週間ほど続き、それからようやく鉄道での移動が始まった。


 サウードからアナトリア地域までは共和国の鉄道が伸びている。ここは途中に鉄道の敷設を妨げる王国の植民地もなく、鉄道は海沿いをアナトリア地域との国境線に向けて真っ直ぐ走っていた。


「鉄道って初めて乗るッスよ。なんかワクワクするッスね!」

「どうせすぐに退屈するぞ。景色を見る以外にはやることもないからな」


 船に続いて、鉄道にも初めて乗るヘルマが興奮したようにそう告げるのに、クラウスは人工筋肉で作られた半自動の荷物運搬機ポーターに自分の荷物を任せながら、そう返した。


 人工筋肉は魔装騎士だけではなく、魔装騎士を積み込んでいるクレーンや1等客車のリクライニングシートなどこのような生活の場でも使われている。人工筋肉をもたらす海洋哺乳類も列強にとっては戦略資源であり、海上利権の争いが静かに行われていた。


「さて、出発だ。鉄道だからといって油断はするな。何が起きても対処できるようにしておけ」


 クラウスはそう告げて、鉄道に乗り込んだ。


……………………


……………………


 鉄道はクラウスたち将校が1等客車、下士官が2等客車に乗り込み、後部の貨物列車が魔装騎士とトレーラー及びトラックを移送する。


 フィールドグレーの植民地軍の制服を纏ったクラウスたちが駅を進んでアナトリア行きの列車に乗り込むのに、駅にいたものたちは、本当にアナトリアを巡る戦争が起きるのだと確信し、共和国の勝利を祈った。


 クラウスは真っ直ぐ自分の席に向かい、手荷物を放り投げると、この植民地の鉄道にしては珍しいブッフェ車に向かった。


「よう、大将。いい具合に進んでるらしいな」


 ブッフェ車にはこの地域の民族衣装であるゆったりとした全身を覆う白い服を纏った男がニヤニヤと笑っていた。


 油断ならぬ目をしたこの男はノーマン・ヘルムート・ナウヨックス。エステライヒ共和国植民地省市民協力局第2課に所属する情報要員であり、クラウスの計画に密かに参加している協力者だ。


「ノーマン。アナトリアはどうなってる」

「おいおい。いきなり仕事の話をするのはダメだぜ。この地域の連中は雑談から入って、親交を深めてからビジネスの話をするんだ」


 クラウスがノーマンの隣に座って尋ねるのに、ノーマンはクスクスと笑ってそう返した。


「俺たちはこの地域の人間じゃないだろう?」

「だが、ここの植民地人どもと関わることになるぞ。間違いなくな。そのための予行練習だと思えばいい」


 クラウスがそう告げるのに、ノーマンは肩を竦めてそう返した。


「どういうことだ?」

「反乱だ。植民地人どもの部族のひとつが反乱を起こした。ナセル族って連中で、この鉄道が向かう先を塞いでいる。爆薬で線路はふっ飛ばされ、強行突破しようとすれば銃弾で車体を蜂の巣にされる」


 反乱。


 共和国のサウードの統治は、クライシュ族という部族を支配階級として、彼らに統治を行わせる方法だった。所謂、分断統治というもので、クライシュ族と他の部族の間に軋轢が生じると、共和国が公平な仲裁者として争いを仲介するのがこれまでのやり方だった。


「また誰かが後ろで手を引いている反乱か?」

「ご名答。あのトーマス・タールトンの野郎をミスライムで捕捉した。それから姿を消したが、間違いなく、奴はサウードに入った。そして、サウードでナセル族に武器を与えて、ドカンと反乱騒ぎを起こさせたわけだ」


 またしても反乱の裏には王国がいた。


 王国秘密情報部の情報要員であるトーマス・タールトン準男爵が隣国のミスライムで発見され、それから暫くして反乱は発生した。間違いなく、この反乱の裏には王国がいる。


「鉄道を塞いで、アナトリアに向かわせないつもりか」

「だろうな。海路で防ぐのと陸路で防ぐのと二段構えだ。王国はかなりアナトリアに期待しているらしい」


 反乱が起きているのは共和国が鉄道を通しているエリアだ。それは王国が共和国の援軍がサウードから陸路で移動するのを阻止するためとみて間違いない。


「王国は植民地人どもの扱いが上手いな。こっちはてんでダメじゃないか」

「そうでもない。今回は植民地人どもの援軍が得られるぞ」


 クラウスが愚痴るのに、ノーマンが大して美味くもないだろう蒸留酒を飲み干して、そう告げた。


「植民地人どもの援軍?」

「クライシュ族が反乱の鎮圧を加勢する。ここは植民地でも、一応は現地の部族の顔を立ててやらにゃならん場所でな。トランスファールのように植民地人は全て奴隷ってわけにはいかんのさ」


 クラウスが怪訝そうな顔をすると、ノーマンは肩を竦めてそう答えた。


「連中は現地に詳しいのか?」

「それなりには。こっちの知らない裏道なんかも知ってるだろう。戦闘力としちゃ期待できないが、道先案内人としては期待できるだろうさ」


 クラウスの気にすることは、現地の地形だ。


 反乱を起こしている部族は間違いなく、自分たちの暮らしている地域に詳しいはずだ。つまりは地の利があることになる。


 だが、クラウスたちには地の利はない。これまでクラウスは地形を活かした戦いで勝利してきたし、軍人としても地形を把握することの重要性はしっかりと学んでいる。


 件のクライシュ族の援軍が現地の地形に多少なりと詳しければ、向こうの地の利を無力化し、後は魔装騎士の火力によって勝利できるだろう。


「それにしても、植民地軍大尉だって? 植民地軍は出世が早くていいな」

「こいつは実力で勝ち取った代物だ。まあ、植民地軍の昇進の規定が緩いのは認めるがな」


 ノーマンがクラウスのフィールドグレーの軍服に縫い付けられた大尉の階級章を見て告げるのに、クラウスは小さく鼻を鳴らして返した。


「そうだろう。実力だ。お前さんの実力のおかげで、俺も大層儲かったからな」


 ノーマンは2杯目の蒸留酒のグラスを片手に、ニヤニヤと笑う。


 ノーマンも計画の参加者として、クラウスから、クラウスがSRAGの株で得た金を密かに受け取っていた。その額はノーマンが普通に市民協力局で働いていた場合に得られる給与3年分という額だ。


 ノーマンはこれを代理人を通じて本国の銀行に送り、あらゆる税金と監査逃れの手段を尽くして、自分がクラウスと密かに──業務の規則違反を犯して繋がっていることを隠そうとしている。


「アナトリアで成功すれば更に儲かるだろうな。アナトリアの戦況は今のところ、王国が圧倒的に優勢だ。初動の動きに差があり過ぎた。帝国なんかは共和国と同盟して、それでアナトリアの自分たちの国境線に面している部分だけでも刈り取ろうと必死になってる」


 ノーマンの告げるようにアナトリアの戦況は王国が優勢だった。


 王国はエーテリウム鉱山がアナトリアで発見されると同時に、ミスライムから大規模な植民地軍部隊を送り込み、海路で各地から植民地軍を掻き集めて投入していた。


 それに対して、共和国の植民地軍は王国の妨害を受けて移動に支障が生じ、帝国の植民地軍は先に展開した王国の植民地軍に阻まれて前進できずにいた。


 アナトリアで急に兵力を起こす必要性にかられた共和国と帝国は今のところ混乱しきっており、このまま進めばアナトリアを手にするのは王国だろうという見方が強まっていた。


 だが、列強各国もこの動きを見過ごさず、帝国は共和国と一時的に同盟して、自分たちの国境線に接する範囲の確保に当たろうとする動きがあった。


 帝国と共和国の外交関係は、共和国と王国の外交関係ほど劣悪ではないが、良好とも言えない。そんな2ヶ国が手を結ぶ必要性があるほど、アナトリア地域の価値はあるわけである。


「これまで放置されてたのが不思議だな。王国は兎も角として共和国と帝国にとっては自分たちの国境問題だろう。それをこれまで放置していたとは」

「何せ、占領してもまるで価値がないと思われていたし、共和国と帝国にとっては下手に手を出すと両国の本国の安全保障に関わる問題として、世界大戦の危機を招く。ってことで放置がベストだったのさ」


 国境を接する共和国と帝国がアナトリア地域に手を出さなかったのはノーマンの告げる通りだ。


 彼らは今の今までアナトリア地域に占領する価値があるとは思わなかった。現地の植民地人の抵抗は激しく、それでいて見返りになりそうな資源が流通しているとは考えられなかった。


 そして、共和国と帝国がアナトリア地域に手を出すと、両国が国境を接しているために植民地ではなく、本土の安全保障問題になる。そうなれば、ことは植民地戦争では終わらず、共和国と帝国の正面戦争に繋がりかねないというわけだ。


「王国が空気を読まずにエーテリウムを見つけて動き出したから、共和国と帝国も動かざるをえなくなった、と。フン。だが、レナーテ辺りはアナトリアでエーテリウムが発見されるの予想していたようだぞ」


 レナーテはヌチュワニン鉱山の戦いでの戦勝式典で、次に会うのはアナトリアでだろうと告げていた。それはレナーテがアナトリア地域でエーテリウムが発見されることを予想していたことを意味するのではないか。


「ロートシルトは独自の情報網を持ってるから、俺にはなんとも言えんな。あいつらはライバル企業を監視するのに、産業スパイを山ほど送り込んでいるし、逆に産業スパイに警戒して、市民協力局並みの防諜体制を取ってる」


 レナーテのことを告げられたノーマンはそう告げて肩を竦めた。


 恐らく、レナーテがアナトリア地域の情報を手に入れたのは、アナトリア地域の調査を王国政府から依頼された資源開発企業──全ての引き金を引いたジャック・マルルーニを雇っていた会社に産業スパイを潜り込ませていたからだろう。


「市民協力局の方はアナトリアでの活動基盤はなしか?」

「ないわけじゃないが、小規模だ。現地にいる物好きな──そして、この大騒動で金持ちになれそうな入植者に非公式協力者がいるし、現地の部族の買収も進めている。王国が何をしようとしているかはちょっとは分かるだろう」


 市民協力局は列強の支配する植民地全土に情報網を持っている。南方植民地に属するアナトリア地域でも例外ではなく、アナトリアに少数築かれた入植者による港湾都市に非公式協力者──スパイがおり、現地の部族の中にも買収されて協力しているものがいる、


「王国植民地軍はどこに集まっている。集まっている場所が、エーテリウムの眠っている場所であり、俺たちが分捕らなきゃならん場所だ」

「エーテリウムが最初に出た場所は分かっている。ベヤズ霊山っていうアナトリアのど真ん中にある山脈だ。王国はそこを中心に、エーテリウムを運び出すのに必要な鉄道路線と港湾施設の確保などに当たっている」


 クラウスがそう告げるのに、ノーマンは地図を広げて指差した。


 アナトリア地域のほぼ真ん中に、ノーマンの言うベヤズ霊山と記された山脈があった。アナトリア地域の正確な地図は、まだ王国しか持っていないはずなのに、ノーマンが地図を手にしているというのは、市民協力局の腕の長さを感じさせる。


「この1箇所だけか?」

「いや。地質学者の先生たちは、この山脈の他にもエーテリウムが眠っているだろうと考えている。何でも、これだけの規模のエーテリウム鉱山があれば、他の地域にも分布してるはずだってな」


 エーテリウムはどのような過程を経て、地中で生成されるのか未だに分っていない鉱物資源だ。太古に死んだ生物の魂が凝固してエーテリウムになったのだという仮説や、過去に落下した隕石の残骸が残したものだという仮説もある。


 だが、ひとつ言えるのは、1箇所でエーテリウムが発見されれば、その近くの他の数箇所でもエーテリウムは発見されるということ。


「それはいいニュースだな。SRAGの株の価値を上げられる」


 ノーマンの返答にクラウスはニイッと笑った。


 エーテリウム鉱山が新たに見つかり、それをクラウスのヴェアヴォルフ戦闘団が確保して、SRAGに引き渡せば、SRAGの株価と配当金は増加するし、レナーテはクラウスに更なるSRAGの株式の譲渡を行う。


 エーテリウムが見つかれば見つかるほど、クラウスたちは儲けられる。


「ヌチュワニンのように簡単にはいかんかもしれんが、期待しておくぞ。まあ、まずは反乱を起こしている部族を排除して、アナトリアまでの道を開かなきゃならんがね」


 ノーマンはそう告げると、肩を竦めて蒸留酒を呷った。


「市民協力局の支援はどれくらい受けられる?」

「こっちに友好的な植民地人どもとの橋渡し、だな。俺は顔が広いから、植民地人どもにも話が通じる。そっちがやるよりもスマートに事を運べるだろうさ」


 クラウスの問いにノーマンはそう答える。


「理解した。では、友好的な植民地人どもとの交渉は任せる。連中に地形を把握させてくれ。連中が無理だというなら馬だけでも借りられるようにしておけ。そうすれば、俺が自分で確認する」

「むしろ、そっちの方が安心するって顔をしてるぞ。植民地人どもは信用ならんかね」


 クラウスがそう告げて席を立つと、ノーマンがクスクスと笑った。


「一番信用できるのは常に自分だ、ノーマン。人生ってのはそういうものだろう?」


 ノーマンの言葉にクラウスは手をヒラヒラと振ると、1等客車に戻っていった。


……………………

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