68.依頼
美咲は、YouTuber・唯から受けた最初の依頼を無事に完成させた。
唯が作ったギミック付きのおもちゃを動かすプログラムは好評で、動画も公開された。
そして、その動画を見た視聴者から、新たな依頼が届いたという。
「農業用ドローンの自動操縦だってさ……難しくない?」
いつもの喫茶店。
頭を抱える美咲の愚痴を聞くため、私と白奈は呼び出されていた。
「ごめん。プログラミングそのものが分からない。」
「だよね。ごめん、愚痴りたいだけだから。」
「まぁ、そんな日もあるよ。」
美咲はノートパソコンを開きながら説明を始めた。
「依頼主が持ってる農業用ドローンにGPSと高度計、それから制御装置を付けるの。
決められたルートを自動で飛ばして、荷物を運びたいんだって。」
「それ、許可とかいろいろ必要なんじゃない?」
「依頼主は分かってるみたい。飛行許可も必要な申請も全部やるって。」
「なら私から言うことはないな。」
すると白奈が目を輝かせた。
「でも農業用ドローンって、重い肥料を運べるんでしょ?
荷物もいっぱい運べて便利そう!」
「規制が厳しいから、そんな単純な話じゃないと思うけどね。」
「依頼主は、自分の山で飛ばすって言ってた。」
「リモートで飛ばす必要があるくらい広い山なのか?」
「そこまでは聞いてない。私はプログラム担当だから。」
「まぁ、そうよね。」
美咲はため息をついた。
「一番心配なのは、プログラムのバグでドローンを壊しちゃうことかな。」
「高いもんね。」
そのとき、白奈が思いついたように言った。
「それなら、スマホ付けたら?」
「スマホ?」
「タイムラインが残るじゃん。」
私は思わず頷いた。
「あぁ、なるほど。」
美咲も何か思いついたように顔を上げる。
「それいいかも。ドローンのカメラ映像も取り込めるはずだから……もしもの時のログにもなるし。」
「さすが美咲。」
「いや、まだ作れるか分かんないけどね。」
美咲はそう言って苦笑した。




