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黒音と白奈  作者: オレオレ!
第2章

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21/21

21.映画鑑賞会

買ってきたポテトチップスを広げながら、美咲が提案した。

映画のラインナップをスクロールしていると、私はさっき散々からかってくれた白奈への仕返しを思いつき、ニヤリと笑った。


「ねえ、これにしようよ。大画面で観たら絶対に迫力あるから」


私が指差したのは、ジャパニーズホラーの傑作『リング』だ。


「えっ、嘘でしょ!? 絶対無理、私ホラーとか本当にダメなんだってば!」


白奈は全力で首を横に振って反対したが、美咲や大河さんも「あ、観たいかも」と乗っかってしまい、多数決で上映が決定した。


ストーリーは有名だし、私もテレビで観たことがあった。だから高を括っていたのだ。

だが、部屋の明かりを消し、壁一面のプロジェクターの大画面で、館内に響き渡る不気味な音響とともに観る『リング』は、想像を絶する恐怖だった。テレビ画面から貞子が這い出てくるクライマックスでは、白奈に抱きつかれながら、私まで「まさかこれほど怖いとは」と内心で冷や汗をかいていた。


映画が終わり、ロビーに明かりが戻っても、しばらくは誰も喋り出せないような重い空気が漂っていた。

私は少し悪戯心が疼き、ふと口を開いた。


「そういえば……みんなが買い物に行っている間、二階で『ガタッ』って、何かがきしむような音がしたんだよね」


「ひゃあああ! やめてよ黒音! タイミング悪すぎるって!」


白奈が本気で涙目になって耳を塞ぐ。その反応に満足して、私はクスクスと笑った。


「冗談よ。まぁ、管理人(大樹)さんが二階の共同トイレに行っただけの話なんだけどね」


「なーんだ、脅かさないでよ! いじわる!」


怒る白奈を見て笑い話にしようとした、その時だった。

視線の端で、大河さんの表情が微かにこわばるのが見えた。


ん? なんだろう。大河さん、いま、一瞬だけひどく困ったような、焦ったような顔をしなかっただろうか……?


「……さて、映画鑑賞はこれでおしまい。夜も遅いし、そろそろ寝よっか」


大河さんはすぐにいつもの穏やかな笑顔に戻り、みんなを促した。

時計の針は深夜近くを指している。私たちは「おやすみ」と言い合いながらそれぞれの部屋へ戻り、今夜は眠りにつくことにした。

だが、布団に入った私の脳裏には、大河さんの一瞬の表情が、映画の残像のようにこびりついて離れなかった。

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