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怪傑!OLレンジャー☆ごくごく普通の働き女子が迷惑なあいつをこらしめる!  作者: 高山流水(高山シオン)
妄想とトキメキの片思い!干物女は卒業できるの!?

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水沢のマイペースに、ヒガシ君は怒る気も失せたらしい。ただ、くたびれたように額の汗をぬぐっている。


「桐生さん!お疲れ様ですぅ」

水沢が嬉しそうに声を弾ませた。


「お、水沢さん。まだまだ元気だね」

桐生がにこやかに答える。


「はいっ!あたし、元気だけが取り柄なんですっ」

超ぶりっ子ポーズで水沢が答えた。


三樹はますます遠い目になる。


「そんなことないよ。水沢さんは良い子だと思うよ」

桐生の穏やかな声が、何故か、すごく、遠くに聞こえる。


「え?ほんとですかぁ?ありがとうございますぅ。嬉しいですぅ」


水沢の一連の言動、その全てが、いちいち三樹の神経にさわる。三樹の怒りがもし具体的に形を帯びたとしたら、体から見えない針がたくさん飛び出ていることだろう。

人間ハリネズミというか、人間剣山というか、そんな感じだ。危険極まりない。


「あ、そうそう。桐生さん」

両手をパンと鳴らし、急に思い出したように水沢が言った。


(うわぁ!びっくりした!びっくりした!すんごい、すんごい、わざとらしい~)


そんな三樹の心境を知るはずもない、水沢が畳み掛ける。

「今日、これから何か予定とかありますか?もしよかったらぁ、あたしとヒガシ先輩と三人でお食事に行きません?」

そして、うかがうように小首をかしげた。


三樹の胸がざわつく。桐生の反応が気になって仕方がない。そんな彼女の想いを知るはずもない、桐生はあっさりと答えた。


「今日かぁ……僕は大丈夫だけど」


ガーン!

一昔前のマンガの効果音レベルに、ガーン!


三樹はショックで打ちひしがれそうになった。


(こんなやり取りを目撃しなければ良かった。もう飛んで帰りたい……)

(OLレンジャーの出動時みたいに、瞬間移動したい……)

(それで、帰ったら酒に慰めてもらいたいよう……)


朝はルンルンだったのに、その温度が今、すっかり下がろうとしていた。


ショックのあまり頭が混乱し、どうしたら良いかも分からないままに、三樹はデスクを離れた。足元が、心なしか、ふらついている。


(帰ろう……とりあえず何も考えずに電車に乗ろう……)


「お疲れ様です」

と、水沢たちの側を通り過ぎようとしたとき……。


想像もしていなかったことが起きた。


「あ、町田主任」

声をかけてきたのは桐生だった。

のけ者扱いされ、三樹がひとり寂しく帰ろうとすると……

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