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怪傑!OLレンジャー☆ごくごく普通の働き女子が迷惑なあいつをこらしめる!  作者: 高山流水(高山シオン)
どうなる?干物女OL三樹の女子力UP大作戦!
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久しぶりの美容室に行くのだと思うと、なぜだか変な緊張感を覚えた。


桐生と会っているときとは別のドキドキがある。


グーグルマップを見ながら店に向かう。目印のお洒落な看板があり、まずは辿りつけたことにひと安心する。

ガラス張りの向こうに、明るい店内とお洒落なインテリアが見える。


(わー、ここ何年もお世話になっていない世界だ)(

そもそも、目の前のこのドア)

(この、入り口のドア、押すの?引くの?)


お洒落な美容室のドアは、だいたい英語表示なのだ。「PULL」と「PUT」である。どっちも「P」で始まるので、パッと見に分かりづらい。


エレベーターの「開」「閉」ボタンぐらい、とっさの判断に迷う。

せめて「あける」「しめる」にしてもらいたい。やだー、お洒落感が皆無。


今、目の前にある、これが自動ドアでないことは確かだ。


え?その次元?


頭の中で、なんとか、英語を日本語に翻訳する。


(大丈夫、これは「引く」だ……!)


気が付けば、手汗がすごい。好きな子に、告白することを決意し、いよいよ本番に臨もうという時の高校生みたいだ。

またしてもパンツで拭う。ごしごし。


(いざ、出陣!)


三樹は、勇気を出して一歩踏み込んでみた。


すると、空気が一変した。


久しぶりに嗅いだ、美容室の独特の香りに包まれる。

これが、しばらくご無沙汰をしていた、ビューティーへの入り口なのだった。


美容師の女の子や男の子が、爽やかな、あるいは可愛らしい笑顔で挨拶をしてくれる。


おもはゆい感じだ。異世界だ。思わずペコペコしそうになる。営業生活で植えつけられたお愛想が、こんなときにまで出そうになってしまう。


受付にいた女性が、三樹をソファに案内した。ふかぁっと三樹を受け止める、柔らかなソファ。


(はぁ~ん。お姫様みたいっ!)


自分の部屋にある、あれこれの家財道具とは全然違う!よく見ると、天井の照明もレトロっぽいファンが付いててお洒落っ。なにもかも、いちいち感動を催した。


とりあえず、カルテみたいなのを書いて、髪のお悩みのところはすべてにチェックをした。辛うじて、まだ白髪や抜け毛の心配をしていないぐらいだろうか。

それ以外の、傷み、広がり、パサつき、切れ毛、などなどはすべてアウト!だった。


(わーひどい。これは、美容師さんも、やりがいがあるだろうなぁ……)

(きっと、持てるスキルと知識を総動員だ!何時間にも及ぶ難手術に向かう際の外科医みたいな。いや、それはいくらなんでも言いすぎか)


でも、それぐらいの手ごわさがあるに違いない。そんな気がする。なんだか申し訳ない。ちょっと恥ずかしい。


三樹は、再び毛先をつまんで眺めてみた。悲しくなるぐらいにひどい。今も毛先が「人」みたいになっている。


(すごい枝毛。ほんとうに枝みたい)

(でも、ここで生まれ変わるのよ)


三樹は自分に言い聞かせた。そのために、通勤ラッシュの混み合った車内で、スマホからネット予約したのだ。


そうだ、自分は変わるのだ!


決意を新たにしながら、三樹はカルテのさまざまな質問に答えて行った。


最後のほうに、美容師の希望をきく欄があった。女性を希望します、男性を希望します、どちらでも大丈夫です、となっていた。三樹は迷わずに女性を希望した。


(じょじょじょじょ、冗談じゃないわ!久しぶりの美容室ってだけでテンパってるのに、男の子に髪を触られたら普通に死ぬし!)


ここ数年、異性に触ったこともなければ、触られたこともないのだ。

しかも、今この超絶に傷んでいる髪なんか、若いイケメン美容師たちになど、絶対に触らせるわけにはいかない。


電池切れかけの目覚まし時計みたいになってしまう。時計の針が進んだり止まったり戻ったり、アラームが鳴ったり鳴らなかったりする、あのどうしようもない状態。


ああいう感じの言動になりそうだ。

やっと、美容室に到着!

どうなる三樹!

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