【番外編】二色の双子
――ピピピピ……
アラームが鳴る音と同時にベッドから跳ね起きた。横では弟のアオがぬいぐるみを抱いてすやすやと眠っている。しかし、今は気にしている時間は無い。なぜなら今日は、王都に行くからである!
アカはこっそりと部屋を出ると、玄関に向かった。が、そこに団長達の姿は無かった。アカは慌てて部屋に戻り、時計を確認するが、時計は狂っていない。不思議に思い、ライセングの部屋に行くと、ライセングはびっくりした顔をしていた。少し焦っているように見える。
「ライ! だんちょーは?」
ライセングは目を右に左にと、忙しなく動かした後、
「……さ、さぁ。トイレでも行ったんじゃない?」
と、返した。が、今日のアカは納得がいかなかった。きっと何かを隠している。そう感じたアカはもう少しライセングに聞いてみることにした。
「ふーん。でもライは行かないんだから起きなくても良いのに。なんで起きてるの?」
「えっ……あ……き、今日はそういう気分なんだ」
ライセングは目を合わせようとしない。ライセングは昔から嘘をつくのが下手なので、恐らく何かを隠している。
「ライ、何か隠してない?」
「えっ……いや……何も……か、隠してないよ」
アカはジッと目を見つめる。ライセングはサッと目を逸らした。そして、ゆっくり部屋を出て行こうとしたので、足にしがみついて阻止した。
「お、おい。トイレ行きたいんだ、離してくれよ……」
「ほんとの事話してくれないとやだー!」
アカがジタバタと床を転がると、やっとライセングは諦めたのか、しょうがないと呟き、話し始めた。
「実はだな、昨日団長に、アカを止めてくれと頼まれたんだ。きっとついて行きたいって言うからなんとかしてくれ、とな。だから俺は……部屋の時計を少しずらして、アラームが鳴るのを遅らせたんだ。本当にすまない、アカ」
アカは聞くなり、大きな声で泣き始めた。
「やたやだやだ! みんなと街に行くのー! だんちょーのバカー!」
床に寝っ転がってジタバタするアカを見て、どうしていいか分からなくなったライセングも、なぜかバタバタしていた。
すると、トテトテと廊下を歩く音がした。やって来たのは弟のアオだ。アオはいつものお気に入りのぬいぐるみを抱いて眠そうな目を擦りながらアカに近寄った。
「おねーちゃん……僕はおねーちゃんと遊ぶ方が楽しいよ」
アオがそう言うと、アカは泣き止み、
「……アオが言うなら、構ってあげる……」
「ほんとに! じゃあかくれんぼしようよ」
アオは目を輝かせてアカの手を引っ張って行った。この時、アオはウィンクしてライセングに合図を送った。ライセングは、ありがとうと、手を合わせて手を振った。
双子なのに正反対な二人を見て、俺にもそんな時があったなぁ、と、昔を思い出していた。




