幕間B* 古の種族
水棲の大型哺乳類から進化した古の種族たちのコミュニケーション手段は、歌であった。
広大な宇宙を旅しながら、彼らは歌った。
絶望的な孤独にさいなまれながら、あらたな仲間との出会いを請いねがう歌。
歌は、恒星風にのり、星々の彼方へとひびき、超銀河団をこえ、ボイドをわたった。
けれど、その歌へのいらえは……なかった。
どれほどの刻をすごし、どれほどの銀河をわたっただろうか……。
それでも、いらえはなかった。
なかったのだ……。
そして、彼らはついに知ったのだ。この宇宙には、自分たち以外にいっさいの知的生命体が存在していないことに――。
その事実は、彼ら古の種族を根底から打ちのめした。
ながいながい探索のなかで、異種の知的生命体の発見こそが、彼らのレゾンデーテルとなっていたのだ。
ふかい絶望。
そして、はげしい孤独。
それは、種族全体の活力を失わせるほどものであった。
全宇宙をおおいつくすほどの文明は、まるで陽光にきえる霜のように、はかなく崩壊していった。
そして、あとは、ただ完全に滅び去るまでのながいながい黄昏の時――彼らは、ふたつの希望に種族のすべてをたくした。
それは――。
この幕間劇は、もうちょっと後ろにずらすかもしれません。ぜんぶ、書き終えてから調整するつもりです。