第三十二話 決断
ちょっと短いです。本日中にあと一話、投降したいと思っています。
かつて間に合わせの器機、機材で埋めつくされていたその空間は、いまは、ただひとつのもの以外、存在していない。
前後、ふたつの座席が一体化した巨大な耐Gシート。
直径5メートルほどの円形空間の中心部に設えられたその耐Gシートに、フィリスは、埋もれるように体育座りしている。
非常灯のみが灯ったうす暗い空間の中で、少女は、目の前に3D投影されたモニターをじっと見つめていた。
その水の星をおもわせる瞳には、なんの感情のゆらぎも感じられない。
少女は、ただ現象を観測し記録する装置のように、そのモニター上でおこなわれているものを見つめている。
空間に投影されているものは、シミュレートされたファウンデーションボールの試合だ。
簡易化された人型が、青と赤にわかれて、何試合も何試合も戦い続けている。
だが、それは、試合というには、あまりに異様なものであった。
赤チームは、ただひたすらに青チームのプレイヤーに集団で襲いかかり、これをリタイヤさせる。
モニター上の赤チームには、いっさいのためらいや遅延はない。
強襲して殲滅。
包囲して殲滅。
追撃して殲滅。
逆襲して殲滅。
逃げまどう青チームのプレイヤーを追いつめ、確実に消していく赤チーム。
得点は、青チーム、28点。赤チーム0点。
けれど、赤チームが、青チームの最後のひとりに襲いかかり、これを消滅させた時点でゲームは終了――勝利の栄冠は赤チームのものとなった。
「あなたは、なにもわかっていない……」
少女の面にかすかなゆらぎがうかぶ。
それは哀しみだろうか?
それは慈しみだろうか?
けれど、次の瞬間には、すべての感情は消えさる。
フィリスは、空間に小さな通信用のサブウィンドウをひらく。
「……わたしたちは、進まなければならないのだ。カズマ・クロフォード――」
ぜんぶ書き終えた後に、この話はもしかすると削るかもしれません。あとで調整します。




