第五十一章
「ち、またアンデッドの群れかよ……。レイル、何か切り札があるんだろ?大群に出会う度に魔法使ってたんじゃ、いつか倒れる。ここは俺達に任せろ、道は作ってやる」
通路を埋め尽くす、スケルトンの群れ。素材は不明だが、その全てが人型をとっていた。右手には長剣、左手には盾をそれぞれが装備している。中には斧を構えるモノさえあり、戦闘方法は様々らしい。
「ちょっと待て、いくらゲイルでも、あの数じゃ―――」
「なら、私たちも。大丈夫、ナギがくれた薬は、全部残ってるから。レイル君は先に行って。自分にしか出来ない事があるなら、それをやらないと、ね?」
リュージュとナギ、ミーアの三人がそれに続く。レイルはそれを、ただただ苦々しい表情で見つめていた。多少回復したとはいえ、連戦によりレイルは疲労を確実に蓄積させていた。更に、この場へ来ての魔法の連射。表に出さないだけで、確実に体は悲鳴を上げていた。事実、現時点でさえも立っているだけで、全身に痛みを感じているのだから。
「残ると言っているのだ、やらせておけ。貴様以外、あの術式を習得した者はいない。それは紛れもない事実だ。見ろ、あの光を。事の次第では、既に召喚は始まっているやもしれん。感傷に浸るのは、全てを片付けた後にしておけ」
この間にも、召喚の儀式は先へと進んでいる。厳密には、確実に魔王が呼び出されるとは限らない。しかし誰もが、最も最悪と思われる可能性を軸として動いていた。そしてレイルのみが、召喚された魂を完全に葬る方法を所有している。彼がここに残るという選択肢は、初めから存在しなかったのだ。
「ゲイル、リュージュ、ナギ……。絶対、絶対に追い付いてくれ。義姉さん、クロハ。行こう、今度こそ、確実に全部終わらせる」
歯を食いしばり、レイルは前を向く。友を見捨てるように置き去りにする、それが彼の心を完膚無きまでに蝕んでいた。
「前衛は私とリーエが務める。二人で手当たり次第に殲滅しろ、それが最も早い」
疾走を続ける間、ミレがレイルに囁いた。彼は視線を送る事も無く、ただ頷くのみで返す。どのみち、その術式を発動させる所要時間は、およそ三分は必要となる。並行詠唱では到底行使出来ない、大量の魔力消費と集中力が必要になる。となれば、二人が前衛となるのは必然。最終決戦の地は、最早目の前に。




