第二次バグラチオン作戦準備中
ソ連軍の攻勢を見守る空からの目があります
東部戦線のドイツ空軍に最新の偵察機が配備された。
「こいつかい?」
「はい、エンジンも調子いいし、カメラもばっちりですよ!少尉殿」
「それは有難いけどね。なんかね」
「どうした、ハンス?まだなんか気になるか?」
「いや散々追い回されたモスキートが今度の乗機とは、皮肉を感じただけです、少佐殿」
「まあ、KG200きっての操縦士の貴様だ。なんとか乗りこなしてくれ。マニュアルは英文だが問題ないだろ?」
「はい、特に問題ないですが、うん?」「どうした?」
「このマニュアル、新品ですよね。気になって改訂履歴の項目みたら、先週改訂されたばかりだし。実は機体を先ほど見ても、まるごと新品、これどういうルートで入手されてますか?」
「な、ハンス。知らなくていいこともあるのは、世渡りする時大事だぞ。まあ、気づいたから話すが、軍機だぞ。
これは、イギリスからの供与機だ。
しかるべき部署が話し合い、イギリスからスウェーデンに飛ばされ、現地にうちのもんが行って受領した。
イギリス製の無線機などは外した状態で当方に渡された。
建前は中立国経由で捕獲したことになっている。
いいか、君はこの機体を使ってソ連軍の準備状況を隠密に偵察するんだ。
だから、塗装もソ連軍のにあわせてやる。
コールサインやなんやらはすでに用意されている。
ただ言っとくが、帰還の際には、きちんと手順を守るように。味方に撃たれたって知らんぞ。」
「どういう風の吹き回しで?」
「わしも詳しくは知らん。
ただ偵察結果はわけわけするんだ。
必要な話しはしたから、用意ができたら飛んでくれ。」
「了解しました、少佐殿」
かくして英独共同の秘密偵察飛行が始まっていく。
ドイツ単独でのNKVD経由の情報収集も盛んになってきた。最近は大胆にも捕虜や脱走兵に見せかけた「連絡員」も使われるようになってきている。
英米にしたら、対立が明確になりつつあるソ連と戦うドイツについては「敵の敵は味方」として扱うように、少なくとも情報部門はなりつつあるのだ。
かくして情報が収集されていくうち、だんだんときな臭い話しが入って来る。
戦線後方への重砲の集積、弾薬の補給が夜間をついて行われている。
NKVDの督戦隊も戦線後方に展開しだしたと連絡が来る。
ドイツ軍情報部は、第二次バグラチオン作戦が近く行われる兆候をつかんだと報告する。
一方で最高司令部では二重スパイに対して、逆情報を流す。
英米対ソ連の構図が明確になってきた独ソ戦、ようやく終わりの始まりかもしれぬ。
さあどういう取り組みになるやら




