ベアルン大西洋にて突撃する
突然の洋上での遭遇戦、史実でもしばしば見られます。
ベアルンとそのご一行様は、先行して前衛を勤める駆逐艦Z4からの警告に驚いた。
本来の命令では「主力部隊のブレストまでの撤退路を確保するような位置に進出して、警戒する」はずだったのに、何故かイギリスの護送船団と出くわしたのだ。
電話手の耳に艦長の「、、、こんな話、聞いてないぞ」の呟きも聞こえる。
とは言っても、あちらにはあちらの都合がある。
さて、イギリス軍も驚いた。
ノース海峡のどたばたから、我が船団は、あちらを避けて南からリバプールを目指す判断をしたからだ。
情報では、巡洋戦艦まで突っ込んできてるから、妥当な判断である。
さらに水上艦艇の攻撃は、あくまでも船団を追いたてる猟犬みたいなもんだったそうな。
狩人は潜水艦であった。
見たことないような、船団攻撃用の魚雷や、音響追尾式魚雷まで投入されてノース海峡では船団に記録的な損害が出ているらしい。
だから南側から回り込んだのに、、、。
「出会ったからには仕方ない!総員戦闘配置」
イギリス側の護衛戦隊は駆逐艦6隻コルベット2隻。
ドイツ側はベアルン、駆逐艦5隻。
互いに頭を抱えたくなる戦力でぶつかるのである。
イギリス側は半数がハント級、つまり小型の対空能力を重視した護衛駆逐艦だ。魚雷は積まない。つまりまともな、魚雷を持つのは3隻の駆逐艦だけ。
また、ドイツ側は、ベアルンのでかい図体、脚の遅さに頭を抱える。
怪しげなロケット兵器はあるが、使いものに成るか?疑問でもある。
ベアルンの艦長は腹を決めた。
「通信」
「はい」
「駆逐隊司令へだ。
『我これより突撃し敵駆逐隊へ対艦誘導弾で攻撃す。射程に入り次第、全弾発射して反転する予定。
貴隊はこの状況を利用し、攻撃されたし。』
以上だ」
「了解しました」
ベアルン後部の発射機はそれぞれ右舷と左舷に指向され命令を待つ。
「艦長、発射準備完了」「打ち方初め」
ベアルンの後部甲板から白い光を引きながら順次微妙な航跡を引きながら誘導弾が発射された。
ドイツの駆逐艦たちはその様子を見ながらも突撃する。
さあどうなる?
突然の遭遇戦でベアルンは無事に帰れるか?




