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イギリス海軍の疫病神  作者: 通りすがりの野良猫
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ここで第2次世界大戦全体を見ると

大西洋の騒ぎが他の戦域にどう影響したか見ていきたい

時は1943年末、戦況全体を振り返ってみたい。

まず大西洋方面である。

大西洋での通商破壊を狙う「ローレライの宴」作戦は概ね成果を挙げている。

とにかく、ドイツの水上艦隊を大西洋に出してしまったのはイギリス海軍の大失態であった。

空母を含むこの艦隊が航路上にあるだけで出港待ちになった護衛船団がいくつも出た。


そして大西洋の補給ルートの麻痺は、地中海方面での戦況に大変な影響を与えたのである。


先に攻撃を受けたジブラルタルの復旧は遅れている。

ジブラルタルを本拠にするイギリス海軍のH部隊は、艦艇の整備はアレキサンドリアか本国または遠くアメリカでしか整備が受けれないため、大幅に稼働率を落としてしまった。

そして北アフリカ戦線の戦況は、イギリス海軍の支援が弱まったことで、北アフリカ駐留のドイツアフリカ軍団への補給状況は劇的に改善されたのだ。


北アフリカのドイツ軍と言えば、苦しい補給を捕獲したイギリス軍装備の活用でなんとかしのいで来たが、やっと改善されたのである。


その例は装備する戦車に顕著に出てきている。

イギリス軍から「マーク4スペシャル」と通称される4号戦車に長砲身75ミリ砲を付けた型が多数送られて来たのに対して、イギリス軍にはそれと互角のM4シャーマン戦車の補給が滞りがちになっている。


さすがに、ドイツ軍も元々の兵力が数個師団程度だったから、一気にエジプトに攻め込むほどの元気はないが、リビア方面はしっかり掌握することができている。


イギリス軍の補給が厳しいのは、地中海からの航路が危険なため、アフリカ周りでペルシャ湾からアレキサンドリアに入るという遠回りを強いられるからだ。


さらにインド洋も潜水艦による日本海軍の通商破壊戦が本格化して以来、あまり安全とは言えなくなったのも、悪影響を与えている。


これはドイツの要請もあるが、アメリカ太平洋艦隊への攻撃に多数の潜水艦を失った日本海軍が潜水艦の運用を見直し、潜水艦の多くをインド洋方面の通商破壊に振り向けたのも、大きく影響していた。


またドイツの東部戦線に目を転じると、ドイツ軍の戦線が安定しているのが見て取れる。


一時期、スターリングラードで第6軍が包囲されたりしたが、ソ連軍の補給の悪化から解囲されて、後退したのが効いている。


また皮肉なことに従来、ユダヤ人敵視政策の元、様々な弾圧がされていたのが、それなりに苦しい戦況から、そのような任務につけていた親衛隊の連中も武装親衛隊に吸収されるようになった。

何万というユダヤ人を収用するための兵力のゆとりがなくなったのだ。


またウクライナでは捕獲したソ連軍装備をウクライナ独立派に渡すと共に、共同戦線をはるような工作が本格化していく。

このような施策や兵力の転進がスムーズにいくようになったため、東部戦線も安定するようになったのである。


またスターリングラードでドイツ軍が苦戦した背景には、折から本格化していた対ソ連の英米からの補給があったが、これも大西洋全体での通商破壊の影響で滞りがちになり、後には大きく削減されてしまう。


これがソ連軍にとっても大きな誤算になり、大規模な攻勢に出るのが、大きく遅れてしまう。

この遅れは後にどう影響したかは、おいおい見ていきたい。


さて太平洋についてであるが、大西洋の戦いがこちらにも影を落としている。

ミッドウェイ海戦で米空母が稼働中のものがなくなったが、元々人員、機体の補充能力の低い日本海軍もせっかくの好機を生かせなかった。


ここまで来て息切れしてしまったのである。

しかし、油断していると先の東京空襲のような奇襲をくらうかも知れない。さすがにこの帝都空襲は苦い薬となり、日本軍も戦線を後退、体制を固めることになるのである。

戦後の米軍の資料など照合すると、ラバウルより遥か彼方のガダルカナル島に上陸を意図していたとのこと。

下手したら日本軍の補給能力をはるかに越えた場所で大規模な消耗戦に巻き込まれるところであった。

今はまず、開戦当初の目標である資源の確保と、その輸送ルートの確保が最優先になるのである。

また南方で捕獲された英米軍の機体は日本軍機にない様々な利点を示していた。


今の日本なら当たり前だが、油の漏らないパッキンや、オイルシールが当時の日本では得られなかった。

まともに通じる機上無線電話なども、なかったのである。

また、航空機エンジンもおおざっぱな作り方だが、その分整備のしやすさ、性能アップの余力につながることも、見てとれるなど、従来の日本の軍用機にない長所がたくさん見られたのも、大いに参考にされた。


これが戦争後半にいかされて行くのだがまた改めて述べたい。


またアメリカ太平洋艦隊だが、いよいよヨークタウン級を改めたエセックス級空母が実戦に出てくるようになっている。

幸い大西洋側で建造されたものは、大西洋の状況から回航されないようだが、それでめ日本の翔鶴型に匹敵する空母がまとめて竣工してきたのは脅威である。

太平洋もいよいよ正念場である。


どこもかしこも、敵味方共に兵力不足補給不足に困ってます。

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