ベアルンのその後は
有名な?イギリス巡洋艦 に追撃されて逃げきったベアルンは、その後どうなるか?
さて高速防空巡洋艦から辛くも逃げた、改造航空母艦ベアルンだが、ストレートにサンナゼールに帰還するのはリスキーだと考えられた。
そこで、思い切って大西洋方面に「出撃」したのである。
護衛のうち燃料の厳しくなったSボートなどは交代して、一旦沿岸の基地に補給に戻り、可能な範囲で同行し、ブレストから出撃してきた駆逐艦らに護衛任務を申し送った。
この間、空襲などは受けなかったが、戦後にイギリス軍の沿岸航空隊の記録と照合すると、サンナゼールに帰投したところを狙って、ボーフオート、ボーファイターやらがてぐすね引いて待っていたようである。
この時期のボーファイターは元から重武装なところ、さらにロケット弾まで装備するマッチョな機体で、目標の艦艇の対空火器を制圧、そしてボーフォートが魚雷を投下する荒業で戦果を挙げていた。
こんな連中にかかれば多少対空火器を増強したとこでベアルンには荷が重すぎた。
大西洋方面に「出撃」したのは、結果的に「逃走に成功」する結果になったのである。
またこのサンナゼール空襲計画には、モスキートに搭載した特殊爆弾で、ドックを破壊する作戦も含まれていたのである。
反跳爆撃、スキップボミングでドックの開閉機構をぶっ飛ばす狙いである。それもスキップボミング用に回転をかけられた爆弾を使用する、例のバーンズ・ウォーリス博士の考案した秘密兵器である。
ベアルン不在で今回の攻撃は流れたが、イギリス空軍は、この新兵器でドイツ主力艦艇を撃破する機会を虎視眈々と伺っていくのである。
さてベアルンも揺れる艦上で扱うには物騒極まりない液体酸素を使うAー4ロケット弾を無事に撃ち尽くしたたが、 今度は格納庫甲板から、高射砲の砲架を利用したロケット発射装置を引き出して来て飛行甲板前部に2基装備された。
そして甲板に固定された発射装置にロケットを搭載したドーリーを引っ張ってきて、架台上に搭載したのである。
後部甲板に搭載されたロケットとはまた違ったタイプである。
非番の多くの乗組員が眺める中、装填されたこのロケットはいかなる働きを見せるのか、この後、戦場と化した大西洋上で注目されることになる。
今のところベアルンは幸運艦のようです。




