最初の景気つけに!
英独の艦隊激突の前座は、サンナゼールで始められます。
英独とも、最初に目をつけたのが、先に述べたベアルンを修理中の、サンナゼールのノルマンディドックである。
イギリス側から見たら、「こいつを使用不能にしちまえば、ドイツ野郎ども本国に帰るしかなかろうに!
ついでに修理中のベアルンもやっちまえ!」である。
ドイツ側から見たら、もう1つ目論見がある。
実は、ベアルンの修理が難物なのである。
慣れない捕獲艦艇、技術資料は十分とは言えず、さらにそこにジョッフル級の機関を搭載するのが面倒くさいこと!
「ひょっとしたら、、、本国の、空母Bの完成のほうが早いんちゃうか?」との声が日増しに上がるようになってきた。
さらに水槽試験を繰り返す中でも、元々が比較的低速の戦艦をベースにしている本質的な点はどうにも(>_<)。
振りかえると、日米英の主力艦改造空母は元々高速の巡洋戦艦をベースにしているものが多数である。
やはり大型低速の正規空母という誠に不思議な存在は、ヒットエンドランに依る通商破壊戦、小規模な敵戦隊への、奇襲など劣勢なドイツ艦隊にはお荷物になりかねないのである。
大西洋艦隊は密かに、この空母を「囮」あるいは「被害担任艦」として活用する計画を立てるのである。
また、「暗号解読の危険」を活用した逆宣伝にうってつけのネタとして活用することにしたのである。
この作戦の打ち合わせにはすべてクーリエを使い、一切の有線、無線を使わなかった。
秘匿する情報も、暗号はすべてワンタイムパットで、手作業にて処理して一切の痕跡を出さないようにしたので、無電を分析して、暗号解読して得られた内容は「ベアルンにイギリス本土攻撃用の特殊兵器を搭載し、ロンドンをやけ野原にする。
ブレスト艦隊は囮として、大西洋に打って出る。
英本国艦隊が引き付けられ、北大西洋に向かう頃、不沈対策を徹底したベアルンは、英仏海峡を東進、「特殊兵器」を発進、攻撃する。
囮に気をとられたイギリス海軍が例えブレスト艦隊を壊滅しても、その頃には、、、。」
主力艦隊を囮にするのは、ジブラルタル戦でも使われた策であるから、いかにもやりそうな作戦である。
ベアルンの改造にはドイツ本国から来た作業員だけが回されるようになっていく。
いかにも秘密兵器に関わるような雰囲気を醸し出していく。
かくして英独の激突はサンナゼールのドックと空母ベアルンをめぐるものから始められたのである。
さあどちらが狸か狐であろうか?




