タンク・デサント侮り難し
ソ連軍お得意なタンク・デサント(戦車と戦車にくっついてくる歩兵による挺身攻撃)について
今日はドイツ軍の対戦車猟兵大隊に、日本陸軍の技術研究所のスタッフが訪問しての情報収集である。
本来建前は「技術交流」であるが、悔しいかな教えを請うしかないギャップがあるのだから、仕方ない。
ただ幸いこの部隊には、以前から日本大使館と交流のあった士官がいてくれて、何かと便宜を計って貰えるので、必ず「手土産」下げていく慣わしである。
今回訪問したところ、最近撃破されたとおぼしき多数のTー34が新旧取り混ぜ本部付近に転がっていて、整備中隊から、使える装備、部品の回収をされている。
さすがにロシアの大地では、Tー34は便利な車両であり、トランスミッション操作がとても疲れたり、旧型ではさらに戦闘動作や、緊急の脱出が大変とかの欠陥はあるとしても、重宝される。
今も砲塔が外されたTー34がトラクタ―として回収作業に使われたりしている。
ようやく旧知の士官に会うがすっかりくたびれた様子である。「いや〜昨日来なくて正解だったぜ。イワンが何を思ってか、うちの大隊を主攻正面に選んで得意のタンク・デサントをかけて来たからな 」
「その結果がこの惨状ですか」「こっちも大変だったさ。
たまたま、早く発見できたから、砲兵に突撃破砕射撃を要請できたから、なんとか早い時期に歩兵と戦車を分断して各個撃破できたから助かった。」
見ると幸運?にも生き残れた捕虜が戦場清掃している。
「思ったより捕虜が多くないですか?」
「うちの本部も、どうやら戦車連隊に狙撃兵連隊くらいが共同したんじゃないかと考えてる。今回は発見が遅かったら、うちの部隊だけでは危なかった。
敵の指揮は無謀な突撃と言うより、連携の取れた攻撃と言う感じだったからな。」
「やはり、そうですか。」
「日本軍でも何かあったか?」「以前と比べて、ソ連軍の攻撃が巧妙なケースがあるようですね」
「奴らもだいぶんと慣れてきたか、それとも」
「今まで控置していた新鋭部隊まで投入しているかもしれないってことか?」
「あれを見てください。
あんな銃みたことありますか?」
「なんだかMP44に似てるけどもう少し無骨だな」
ロシア兵が遺棄した自動小銃は、後に新型の突撃銃、AKー47として世界的に有名になった自動小銃の試作品であったと判明する。
「いよいよ決戦か?」
「かもしれませんね」
日独の士官たちが予測した決戦は、意外と早く始まるとは、まだ誰も予測つかなかったのであった。
この作戦どうやら現場の指揮官がうまくタイミングを見計らい行えば威力を発揮できますが、うっかりさんがヤラカセバ味方は死屍累々となる難しい作戦のようです




