臨時ウクライナ支隊、戦車前へ!
日本軍の戦車隊もモスクワ目指し進撃していますが、ソ連軍も反撃をしてきます
4式中戦車改や、3式改を主力とする臨時第一戦車大隊は、M5A1半装軌兵員輸送車に搭乗した機動歩兵中隊を引き連れモスクワへの道をゆっくりと前進中である。
前衛の4式中戦車改の小隊が援護する地点を確保した後に、後続部隊は逐次前進していく。
起伏に富んだ地形で灌木やらがあちこちにある地域を前進中であり、ソ連軍相手だから、慎重な前進しかないのである。
そしてその側面には、対戦車中隊を配置してカバーしながら前進である。
中隊の主力は例のマルダーJである。
チハ車の上部構造引き剥がし、代わりにPak40を搭載した対戦車自走砲である。
そして試作品のチハ車に昇降式砲架に連装でM27、105ミリ無反動砲をつけた自走無反動砲も1個小隊分、投入されている。
これは今までテストしたM20ではTー34/85には力不足、M27は命中精度がいまいちってところだが、手頃な無反動砲ってことから、ようやく手にいれたのである。
精度はいまいちとか言うものの、大口径のタ弾を発射できる対戦車自走砲が安く入手できるのは圧倒的な強みであった。
(この砲は、わが軍が戦前からチマチマ収集してきたソ連軍に関する情報をアメリカ軍とバーターしたとか部内の噂になっている!)
ただ、チハ車の構造をあまりいじらずに搭載した都合上、用兵側の希望よりも、砲架の高さは 下げられず、また予備の弾薬搭載数量等不満もあり、1960年にこのコンセプトを生かした新型対戦車車両を開発、生産することになる。
これが後の「60式自走無反動砲」である。
さて主力の側面を警戒中の対戦車中隊だが、突然、「敵戦車発見」の一報が入った。
一斉に、各車両は車長が敵を求めて確認すると、果たして9時の方向に敵戦車隊が見える。
「9時の方向、距離1500。Tー34/76 、中隊規模で前進中」対戦車中隊長は、主力に連絡すると共にに、中隊に対して、「距離1000にて射撃開始」を命ずる。
中隊長は、現時点で射撃開始するよりも、中隊全力で奇襲的に射撃することを考えたのである。
各車両は慎重に灌木や、草むらなどの地形を利用して、射撃陣地を選択する。
無反動砲はさらに、第2撃目を行える場所も見当をつけながら、発射位置を確保している。
本来はこのような車両は事前に準備した陣中で防御に使われるケースが多いが、今回のような前進中の主力の側面援護もあり得ない訳でない。
防御の場合も陣地が十分整備されないうちに、敵を迎えうつのもあり得るのだ。
なんせ、無反動砲を撃つと後方爆風で、現在地を示してしまう恐れがあるから、同じ箇所から射撃するのでなく、速やかな陣地変換で敵の反撃をかわすのが大事なことになる。
「目標Tー34、距離1000、徹甲、撃て」
中隊長の号令で各車両が一斉に射撃する。
事前の打ち合わせで目標を配分してあるため、敵戦車中隊の先頭の小隊に集中する。
たちまち、小隊長車らしきのも含め4から5両が撃破されている。
敵は射撃されてから初めて、対戦車中隊の伏撃に気づいた始末で、なんとか発射炎などに対して反撃してくるのが精一杯。
とは言え防御の弱い対戦車中隊だけでは、こころもとないので、主力からも戦闘加入する。
9時に方向転換した4式中戦車改がKWK42、70口径75ミリ砲の威力を発揮する。主力からでも1500を切っている射程ならばTー34の正面から撃破できる。
前進中の中隊の先頭の小隊が撃破され、さらに最後尾の車両も撃破されては、残りの車両の運命も知れたものである。
たちまちほとんどのTー34が撃破され、炎上する味方の陰を利用して撤退できた少数の幸運な車両だけが生き残れたのである。
対戦車隊長は中隊の状況を把握したところ、幸いにも撃破された車両はない。
伏撃に成功したのが大きいようである。
ただし、無反動砲の中には弾薬をすでに射ち尽くしたものもあり、段列での補給を命じることになった。
まだモスクワのモの字も見えないが、慎重かつ大胆に前に行く日々が続きそうである。
多分Tー34の旧型なら余裕かませるかも?




