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イギリス海軍の疫病神  作者: 通りすがりの野良猫
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影武者稼業も大変だよ

スターリンの影武者も楽な稼業ではなかったようです

「私はたかだか、退役待ちの大尉のはずが、誰かさんに体型やらが似てるとかで偉い目にあった。」

年金をもらいながら、細々と暮らす元NKVD、今のKGBの大尉が遠い目をして語っている。

「イギリスやドイツ軍情報部を常に意識して、スターリンは私のような影武者を複数用意したようだ。近年に様々な資料が出ているが、とにかく敵の目を欺くためにまずは多数の影武者を同時に出させたのだ。」

すっかり銀髪になったその大尉はゆっくりと話していた。


「似ている似ていないはともかく、複数の専用車や専用機が同時に動くから、標的を探すほうは大変だったようだ。その点、ドイツ軍の特殊部隊などは、まじめにすべての影武者を細かに追跡していたようだよ。」

と、一度話を切り、「でも粗っぽいのは当時のOSS、今のCIAだよねぇ。アメリカ空軍を動かしてあれだけ無茶苦茶したんだからね。」

顔をしかめた彼は、目の前のウォッカをちびちび飲んだ後話を始めた。


「私の場合は、第二次モスクワ攻防戦つまり戦争末期に影武者扱いされたんだ。べリア長官の部屋に呼ばれた私は、自分の家族に関する調書を見せられた上で命令されたんだ。」

「君の家族が、幸せに暮らしたいならば、同志スターリンの影武者として、命を祖国に捧げる覚悟をしてもらう。さもないと、、。」

特に洞察力なんかなくても、あのべリア長官の「悪名」は部内では有名だから、逆らうどころではなかった。

「はい同志長官、私はすべてを同志スターリンのために捧げます」と言うしかなかったのだ。

「その日から、モスクワ戦後までの私の生活はクレムリンの護衛隊と共に、ハチャメチャなものになった。

執務室内に「三人のスターリン」がいる時もあったくらいだ。また、時には、影武者の護衛車両に本人が兵卒の格好でいたこともある。

先にも言ったように、我々にはアメリカンスキーの情報部が一番迷惑だった。私もあれで命を落としそうになったからな。」

彼は取材に訪れた日本人が持参してきた資料を指差しながら話している。


「この日だよ。スタフカのバンカーに直撃弾があったのは!」

ここで視点を当時のサンクトペテルブルグにあった、OSS支局に移して見よう。


「これだけの画像を分析した結果だが、複数のスターリンがいるのは確定した。これに関して異議はないな?」


会議室にいるスタッフは皆、頷いた。


「さらに言うと、我々には本人と影武者を区別する術はもたない。これにも皆、同意だな?」

スタッフはあっさり頷いた。


「よし。では空軍の戦略空軍と連携して戦略爆撃作戦スレッジハンマーを発動する」


その後、アメリカはマグディール空軍基地は大変な騒ぎになった。

各Bー36にASMーAー1を搭載するからだ。

あのトールボーイに誘導機能を付加したものと言うことだ。


なかには、Tー12クラウドメーカーをスターリンにプレゼントしようなんて意見もあったのだが、なんせ44000ポンドの爆弾では航続距離の問題があるため、断念(^-^)。


普段搭載しない大型爆弾だけに、整備員も大変であるし、急遽取り付けられた誘導装置に関する訓練は爆撃手も振り回されている(>_<)。


スターリンとその影武者たちがようやく床につき、わずかな休息を得ているころ、マグディール空軍基地から、Bー36がごうごうたる10基のエンジン音を響かせながら離陸し始めたのである。



影武者が複数ならすべて攻撃する、ちょっと粗っぽい作戦です

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