アルハンゲリスク攻撃作戦
RBー36の偵察飛行で、ソ連のアルハンゲリスクに厄介なレーダー基地が発見されたが?
ソ連の戦車工場群への爆撃はソ連軍の警戒が緩かったお陰で、成功したが、さすがに腹に据えかねたようで、対Bー36対策がいくつもとられるようになってきた。
モスクワ周辺には、従来の85ミリ高射砲を越える100ミリ高射砲が多数配備されるようになった。
また無理矢理に高空性能をあげたミグ3戦闘機なども見られるようになってきた。
さらに偵察中のRBー36によると、アルハンゲリスク郊外に大規模なレーダー施設が建築されて試験運用されているのが発見された。
後年の戦略爆撃と違い、当時は高空を飛んでくるから、目標より十分離れた場所にレーダーが設置されていれば、たとえ上昇力の低めの機体でも余裕をもって迎撃できるのである。
したがって、このレーダー基地は米戦略空軍にしたら目の上のたん瘤のような存在となったのである。
しかしこの基地自体もそれなりに護られているため、迂闊に爆撃しに行けばミイラ取りがミイラになりかねない。
そのため、空軍はライバルである海軍に相談を持ちかけたのである。
空軍としては癪だが、万が一にも高価なBー36が目標上空で敵戦闘機に捕捉されたりしては困るのである。
海軍としては、拒否もできたがここは「貸しを作る」ために人肌脱ぐことにしたのである。
情報によれば、アルハンゲリスク沿岸から約40キロメートル。
残念ながら艦砲射撃では無理。しかし、海軍航空隊ならば、遠すぎることではない。
しかし、いざ偵察をしてみると、ヤコブレフ戦闘機やらなんやらが常時哨戒しているではないか。
困っていたところに、「日本の大型潜水艦」にとある兵器を搭載してみたらどうか?
となったのである。
そう、伊号400型である。
この潜水艦は晴嵐を積んで攻撃する「潜水空母」である。
今、はるばるヨーロッパに派遣されてきている本級から、アメリカ軍の新兵器を運用すれば、アルハンゲリスクのレーダー基地をぶっ飛ばせるのではないか?となったのである。
急遽、アメリカ海軍のスタッフや、メーカーのノースロップの技術者、なぜかドイツのアルグスの技師等が召集されてドックで整備中の伊号400に集まってきたのである。
初めて伊号400を見たアメリカ海軍の連中は驚きを隠せない。「デカイ」のである。
3機の攻撃機を積んでの航空攻撃はすでに戦果をあげているし、今も晴嵐は黒海でソ連の商船、小艦艇相手に戦果をあげている。
今回はこれに艦上から発射できる誘導弾を搭載、陸上のレーダー基地を破壊しようと言うのである。
「これって、ホントにアメリカ製?」
オブザーバーで来ている日本海軍の航空技術廠の少佐が笑って聴くと、アメリカ海軍の技術者は「そうだよ(^-^)」とにやりと笑う。
「設計はあちらのアルグスの技術者とかがやったけどね♪」
マニュアルにはKGWー1とか書いてあるが実態は、先にドイツがイギリスに撃ちまくったVー1「飛行爆弾」そのものだからだ。
こいつの誘導装置をレーダー電波をホーミング、つまり電波のくる先に飛んでいくように改修したものに変更しているそうだ。
「結局、ドイツがイギリスに撃ったやつをコピーして、今度は日本に撃ち込むつもりだったのを、ソ連に撃つ訳だな?」
「ややこしいがそうだ」
「俺の家に飛んでくるかもしれなかったやつだな。
助かるよ。
代わりにイワンに向けて盛大にぶっぱなしておくれ(^-^)」
急遽、ドイツのウィルヘルムスハーフェンのドックでは昼夜兼行の搭載工事が進められるのであった。
史実でもこの時期にアメリカ海軍の潜水艦カスクからJBー2が発射されてますから、なんとかなるでしょう(^-^)




