戦艦「昭南」
シンガポールで捕獲されたプリンスオブウェールズでありますが、無事に戦争を生き残りました
このフネはもともとはKG5級戦艦の二番艦である。
以前述べたような厄介ごとが積み重なり、日本軍の戦艦「昭南」として再就役したが、結局、あまり活躍するまもなく戦争を無事に乗り切ることができた幸運な艦になった。
そして1946年末のポツダム協定で、イギリスとも正式に休戦なった際に、本艦の去就が問題になったが、日本にはこの年代の艦艇が少なく、唯一大和級だけである。
そのため、日英海軍の交渉の結果、そのまま日本艦艇として運用されることになったのである。
これにはロイヤルネイビーも懐が厳しいと言う問題があったためでもある。
またもう一つ、状態を調査しにイギリスの造船官たちが訪問した時、非常に良いコンディションで艦が維持されていたことに驚いたからでもある。
返還されても良くて保管艦、時期になれば解体となるなれば、このまま譲渡したほうがいいだろうと感じたためだ。
さらに彼らを驚かせたのは、あの故障の多い4連装砲塔を完全に使いこなしていることである。
本当に射撃など問題ないか確認してみれば主砲斉発も問題なし。
動きが悪いと言われていた両用砲も駆動系を改良してスムーズに操砲しているなど驚くことばかり。
さすがにレーダー関連は、本場イギリスには一歩も二歩も先んじられているが、それくらいである。
考えて見たら、あの古い巡洋戦艦金剛までも、維持できている海軍である。
造船官たちは、娘を嫁に出すような感覚で、日本への譲渡を勧告したのである。
戦後も活躍することになる本艦であるが、退役後は、ゆかりのシンガポールにて記念艦として、往時を忍ばせてくれているのである。
かくしてシンガポール観光の目玉の一つとなったのである




