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イギリス海軍の疫病神  作者: 通りすがりの野良猫
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クルスクの野外修理工廠にて

ドイツ軍その他の修理を前線で行う野外修理工廠です

「ここがクルスク野外修理工廠ですか?」

「そーだよ。ここは初めてか?」

「はい、それまでは、ずっと砂漠で砂だらけでした。」

「北アフリカかい?」

「そーです。」

「あちらはあちらで苦労したろ?」

「はい、最初はまともに部品もないや、使えるもんは、イギリス軍の車からでも剥ぎ取りましたね。」

「若い候補生の割には苦労したんだな、よく解るさ」

「でも最近はイギリスと休戦してから変わりましたね。」

「そりゃそうさ。みろこのスチュードベーカーのトラック。

以前イワンが捨ててたんで拾ったらなんとただのガス欠だ。

調子いいから使ってたら、最近の休戦のおかげでパーツも来るから重宝してる。今じゃうちのトラックはほとんどアメリカ製だな。

オイルとガソリンとまともなドライバーさえいれば、どこでも行ける。

ところで、お前さんは何の用件だ?」


「実は、うちの部隊が支援してる日本軍の派遣隊が、各種部品を融通してくれないかと、言ってまして、こちらの技術将校殿に伺ったら、准尉殿なら何とかして頂けるだろうと言われまして、、、。」

「そうか、それなら任せろ。奴さんら何がいるかリストはあるか?」


「これであります。」


「まあこの野戦工廠、ただのスクラップヤードだが、このあたりで走ってる車両なら敵味方関わらず回収してあるから、なんかいるものは有るだろ。とりあえずトラックと整備員やら連れてくればいい。」


「了解しました。後刻伺います。」


しばらくしたら、見慣れないトラックの車列が到着して、日本軍の大尉が降りてきた。

「すいません准尉、おや、あなたは?」


「これは奇遇ですね、クルメンスドルフ以来ですな。」


「まさかこんなソ連の片田舎で知った顔に逢うとは(^-^)。」


「お困りのようですが、何か?」


「実は格好悪い話なんです。今回うちは、我軍の最新式の戦車を持ってきたんです。こいつです」

「以前見学された時に話があった、タイプ4ですか?」


「そうです。そしてこいつが量産遅れて、ピンチヒッターで出したのがこいつ、タイプ3です」

資料を見せながら話す。

「タイプ3は元々榴弾砲改造の主砲なんで威力不足が指摘されてました。そこで今回、ソ連のTー34からパクりまして搭載しました。

ところがそうなると、本命のタイプ4の火力が今一つってことになりまして、急遽、より強力な主砲を物色してる訳なんです(^-^)。」


「なるほどね。ここなら選り取りみどりだ。

さて大尉殿、ご希望としてはやはり、75ミリ長砲身以上ですよね?」


「そうです。私のイメージはパンターと4号の中間位のイメージなんですが、上司たちのなかにはより強力な主砲を求める方々もいて苦労してるんです(^-^)」


「偉い方には、戦車の扱いも知らない方もおられますから(>_<)。」


「我が国はまだ道路網も発達してないし、輸送船に積み込むのも苦労があります。

一方で今回のように基本的に大陸で使う前提のソ連の重戦車相手だと、それなりの打撃力要りますから、偉い方々の危機感も頷けます。」


「現場が取り回ししやすい範囲で最大限強力な主砲が欲しい、ですね?」

「准尉、その通りですよ(^-^)。

いくらでも運んだりできるなら、とっくにあのときティーゲル買って帰りましたよ」


「なるほどね。では大尉殿一緒に回りましょう。必要ならマニュアルもご覧にいれますからおっしゃってください」


ウクライナ派遣隊の苦労は続くが、ささやかな幸運などに支えられながらも頑張っているのである。

なお、この時も持参した日本酒で世話になった准尉をもてなし、以後も協力していただくことになったのである。


さあ4式に向いた新型砲はあるでしょうか?

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