日本海軍に深刻な問題が
日本海軍の主力はまだアメリカ海軍太平洋艦隊と対峙中ですが。
日本海軍の対米戦はやはり「先手を取る」のが作戦の基調にあった。
しかし、いざ実施するとなると、工業化レベルの違いから、「先手を取るけど遅れをとる」例が様々に出ていた。
例えば、開戦霹頭のハワイ作戦でもはるばる派遣された潜水艦による戦果はなかった。
もともとの海軍の対米作戦は潜水艦とか航空機で来航中のアメリカ艦隊をいくらかでも撃ち減らし、夜戦の雷撃で痛めつけ、主力艦隊同士の戦いに勝利する話であった。
でもいざ先手をとってやってみても、うまくいかないこともある。
さらに、レーダーが海軍に導入されてきたら、また話が変わってきたのである。
特に航空戦に大きな影響が出てきたのである。
レーダーを使いこなした艦隊防空は、空母の防空範囲を大きく広げたのである。
そこにノコノコ攻めて行くと、いつの間にか編隊より上空に迎撃機がおり、低空て網をはる別動隊に雷撃隊は捕まることが演習でもしばしば見られるようになったのである。
先にミッドウエイ海戦でわが海軍の第1航空艦隊がアメリカ空母3隻を叩ききれなかったのも、ここに原因があったのだ。
さらに問題がややこしくなったのは、噴射式エンジンを積んだ艦上機の出現である。
噴射式エンジンを積んだ機体の特性として、高速が出せる、飛行中の加速が良いなど圧倒的な利点があるが、一方、離着艦の際にスロットル操作に追い付いてこないことや、燃費の悪さがある。
燃費の悪さは30年くらいたち、エンジンにファンを追加して改善されるまでネックであった。
またこれを空中給油という手法で補うまでには10数年以上の月日が必要だった。
燃費の悪さイコール短い航続距離に直結したから、噴射式エンジン搭載機は、当面、防空で活躍するように運用されるしかなかったのである。
そのために長距離を「先手をとって」攻めていく攻撃隊は防空側の噴射式エンジン搭載の戦闘機に振り回されることになる。
レーダーで誘導される噴射式エンジンの戦闘機にかかっては、多少の数の優勢くらいではどうにもならないのである。
さらに深刻なのは、アメリカ海軍の対空火器の多さである。ミッドウエイ海戦のあと、ヒットエンドランのように空襲を かけてきた米空母との交戦では、だんだんと火力が増強されているのが実感されている。
わがほうがようやく防空駆逐艦を量産するのに四苦八苦しているのに、あちらは防空軽巡洋艦である。
このままでは、攻撃してもわがほうだけ航空戦力をすり減らす羽目になりかねない。
海戦要務令が昭和15年から改訂に入ったが昭和20年末にようやく承認されることになったが、こちらにもとうとう、「不用意な先制攻撃を戒めよ」となったのである。
噴射式エンジン、今の言葉ていうならジェットエンジン搭載機が空母から攻撃任務に出るまでまだしばらくの時間が必要とされ、攻撃隊が比較的安全に艦隊攻撃できるまでには、より実用的な誘導兵器の開発と配備が必要になったのである。
技術の進歩はドクトリンを書き換えるまでになりました




