とにかく空母を寄越せ!
建造中の空母、グラーフツェッペリンは大西洋艦隊のごり押しとも言える「意見具申」から手練手管を尽くして、完成にこぎつけようとします。
グラーフツェッペリンは「空母A」として早くから建造されていたが、海軍内部での路線変更、潜水艦優先の結論などから、遅延していた。
しかし、とうとう大西洋艦隊からの突き上げは、とにかく空母の実用化を迫るもんであった。
このため、とりあえず「実用化」すべく必要な機能以外はスペックダウンすることになった。
まず、他国の情報からも、巡洋艦からの砲撃にも対抗できたような主砲はすべて撤去。
この決定は、ドイツ軍自身が経験したような(グローリアス撃沈のような戦艦クラスと遭遇するような)ことは、よほど索敵に失敗しない限りあり得ないと結論されたのが大きい。
これにより高射砲の配置がより適した位置に、射撃統制装置と共に再配置できたのは、プラスに働くことになった。
飛行甲板は延長、さらにカタパルトに至っては、なんとアメリカより入荷したのである。
当初搭載を予定していたカタパルトはドイツ製の空気圧式であった。
これは、空気圧タンクが空になるまで連続射出できるが、そのあと、空気の充填がかなり時間かかる問題があり、多数の航空機を運用する空母には不適合と判断されたのである。
師匠である日本海軍も水上機向けカタパルトしか実用化されてないため、一時は途方にくれたが、思わぬところから、強力な油圧式カタパルトが入手できたのである。
これは、そもそもアメリカ海軍の新型空母の格納庫内部に設置されたHー4カタパルトである。
ところが使いづらいこのカタパルトは、早々と見切りをつけられ、既成艦からも取り外されるとなった。
そして、アメリカ海軍にいるスリーパーの働きで、取り外されたカタパルトは「油圧装置に重大な損傷あり」と虚偽の判定をされて、スクラップとされたのである。
そして「スクラップのうちの使用可能部品を解体してストックする」名目で油圧シリンダーやら蓄圧器と言った主要部品は外して、梱包されヤードにストックされたのである。
そしてスクラップの山が製鉄所に製鋼材料として、運ばれるどさくさに、海軍工廠から搬出され、中立国向け工作機械部品としてさらに、偽装の元、出荷され最終的にドイツ本国に到着するのである。
キールにて建造されたグラーフツェッペリンは、日本海軍の空母運用のノウハウ、アメリカのカタパルト、ドイツの軍艦建造の技術を融合したユニークな軍艦として建造されたのである。
肝心の搭載機は当初計画されたフィーゼラーの機体は旧式だし、メッサーシュミットの戦闘機は主車輪の間隔が狭く、艦上での運用に不安があった。
幸い空母自身の建造が諸般の事情から遅れたおかげで、フォッケウルフ戦闘機が最終的に選択されたのである。
頑丈な降着装置は、簡単な補強で空母着艦に適応できたのである。
またすでに各種バリエーションが存在していたことから、
同一機種で戦闘、爆撃、雷撃、さらに偵察までこなせるのも、魅力的であった。
ようやく搭載機も決まり、空母としての各種艤装も整ったグラーフツェッペリンはキールにて竣工して、その後搭載機を含め訓練実施して、大西洋艦隊への配属を待つに至るのである。
如何にして大西洋艦隊と合流するか、海軍司令部で密かに検討されるようになり、大西洋艦隊の参謀も駆り出されて、一大作戦が行われるようになっていくのである。
キールで建造されたグラーフツェッペリンをどうやってブレスレトに回航するか、ここも思案どころですね。
さて我らがビスマルクもあわせて機能強化を図る必要を感じます。
さあどうしょう?