1-8
あの村から出てもうそろそろ半日が経とうとしている。
青空であった空は、段々と赤く染まり夜が近づいてきているのが分かる。
夜は危険だ。闇に乗じて襲ってくる輩なんてこの時代じゃ珍しくない。
まぁ、それはあくまで『一般人』にとっての話であるが。
「ねぇ、陽。今日は、野宿?」
「そうなっちゃうな。宿泊まれるわけないし」
俺が、俺がお尋ね者でさえなければ…!!
「ん。…じゃあ、一緒に、…寝よ?」
…ちょーっと、気を許し過ぎじゃありませんかねぇ…。
いや、嬉しいよ?今すぐにでも添い寝したいくらい。
でも、少し心配になるのも事実。
この娘は、微塵も俺のことを警戒してないし疑うことをしてない。
「んー、嬉しいが流石に二人で寝るのは…な。怖くないのか?」
「?? どうして、怖いの?」
「どうして、って…。寝込みを襲われるとか考えないのか?」
俺の問いかけに、夏生はただただ首を傾げ不思議そうな顔をした。
その目には俺への警戒心、猜疑心、…それが一切感じられなかった。
どうして、さっき会った人間…しかも殺人鬼をこんなに『信用』できるんだ。
助けられたからの一言じゃ、全く納得できなかった。
「あなたに、殺されるなら仕方ないし、…もし、殺されるならあなたに殺されたい。…これじゃ、理由不足?」
…唖然とした。もう、これ以上ないくらいに。
信用とか、疑うとかもうそんな範疇の話じゃない。
この娘は会ってまだ1日と経たない俺に対して『絶対的な信頼』をおいてるのか。
「…いや、理由としちゃ十分だ。怖いくらいにな」
だが、その答えは嫌いじゃない。
俺と行動を共にするならそれくらいじゃないとな…。




