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城門を抜けた先に二人が見た光景は、いつも通りの光景とは言い難いものであった。
まず最初に気付くのは嗅覚への刺激。何かが燃えるような臭いと血の臭いが混ざりあった臭気が辺りに漂っている。
そして目につくのは『赤色』。燃え盛る炎と、人の流す血の色。
「な、なんなんだよ、これ…」
信蔵は普段見慣れていない光景に状況を飲み込めない。信蔵は、こんな光景など一度も見たことがなかった。
その光景を見て、また刀を持つ手が震える。気付けば足まで震えていることに信蔵は気付いた。
四男とはいえ、信長の息子である信蔵が血と硝煙の臭いに慣れていないのは少しおかしな話でもあるのだが。
「あ、あ、信蔵、様…。お逃げ、ください…」
斬られ、倒れ臥している家臣が朧気な意識ながらも信蔵に声をかける。血で顔が汚れ、ピクピクと動く身体を見て信蔵の恐怖心は更に煽られる。
自分もこうなる可能性がある…。あまりに理解し難い現実に吐き気が襲ってくる。
「…信蔵様」
「…大丈夫。大丈夫だ…」
城の中では、既に殺し合いが始まっている。とはいえ、始まったばかりのためか死傷者はまだ少ないようだ。
謀叛と思われたそれは、どうやら違ったらしい。辺りに存在する死体の中に違う家紋を羽織ったものが混じっている。
「…面倒ですね。この状況で攻められるとは」
それを見た男は苦虫を噛み潰したような顔になる。謀叛であるならば、数は少なく制圧もしやすい。だが、敵の攻めとなれば話は別となる。
「いたぞ!! 殺れ!!」
どうやら一階は既に制圧されているようで、簡単に敵に発見されてしまった。前から三人が襲いかかってくる。
「邪魔、ですよ」
男は襲いかかる三人のうちまず先頭の男の首を凄まじい速度ではねる。それに面食らった後ろの二人の焦りの混じる太刀を避け、もう一方は刀で止める。
金属と金属がぶつかり合う音の直後に、人から血が吹き出る音がする。受けた刀を弾き、二人目の首も斬り捨てる。
西瓜くらいの大きさの物が地面に落ちたような音が響き、そしてまた血が吹き出す音が発現する。
一瞬にして仲間二人を斬り捨てられた残り一人は、状況が分からず呆然としている。その少し後、残っているのは自分だけと気付き血の気が失せる。
当然、男の前で呆然としている余裕などなく血の気が失せるのが顔からわかる頃には頭と胴体が離れていた。
男が得意とするのは首斬り。実戦的であり、また必殺であるため彼はこれを気に入っていた。
残った男の首が落ち、刀を鞘に戻して後ろを振り向く。
「!!! 信蔵様ッ!!!」
「!? ッ!!??」
前から来ていた三人は囮だったのか、と気付いた頃にはもう遅く。
信蔵を狙った刀の一撃は、信蔵の身体を捉える寸前であった。




