2-32
――――――
――――
――
…おいおい、もうこんなとこまで来てしまったのかよ。
海が近かったし、あの村の件もあったから近いかなとは思ってたが…。
「…あれは…お城?」
「…みたいだな」
大きな建物ってのはどうしても目立ってしまう。
それが特殊な形状をしていたり色が奇抜だったりすると尚更だ。
城っていう建物はまさにそんな感じだ。
遠くからでもよく目立つ。
「陽が作ってたのに、似てるね…」
当然だ。俺の記憶に一番残ってる城だからな。
『あの』城があるってことは、近くにいてもおかしくはないよな…。
…はぁ、もうちょっと遅くても良かったんじゃないのかな。
「…もう10年…か」
そうか、あれからもう10年も経つのか。
俺が初めて殺人を犯したあの日から。
…罪の無い人間を殺したのは後にも先にもあの日だけだったな。
「どう、するの…?」
「んー、ちょっとやらないといけない事が出来たな」
今思えばずっと歩いてきたのもきっと、この時の為だったのかもしれない。
「やらないと、いけない事…?」
「あぁ。付き合ってくれるか、夏生?」
「…勿論。…陽が行くなら、私も行くの」
うん、そうだよな。夏生が俺から離れる訳がない。
俺も、夏生を置いてどっかに行ったりなんてしないさ。
「んじゃ、向かうとするか。目標はあの大きな城だ」
「お城…間近で、見れる…!」
夏生と繋いだ手を離さないでまた歩みを進める。
…正直行きたくはないけど、俺がやらないといけないことなんだよな。
あっ、そうだ。一つ忘れてたことがあったな。
「…あ、久しぶりに、見た…」
「今回はこれが無いとな」
以前使った小綺麗な服。装飾が施され、ある『家紋』が縫い付けられている。
…二度とと着るまいとは思ってたが、またまた着る羽目になるとはな。




