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さて、夏生に稽古を付けてから1週間が経った訳だが…。
「…本当に才能の塊だったわ…。何なんだ、普通1週間で修得出来るものじゃねぇぞ…」
結論から言うと、夏生は本当に剣術の天才だった。
教えたことは全て吸収し、絶対に忘れない。
更に教えた以上のこともし始める始末だ。あれ、俺がちゃんと出来るようになるのにどれくらいかかったんだっけな…。
そんなことを考えるのが嫌になるくらい、夏生の上達の早さは異常だった。
「…私の刀…。…嬉しい」
夏生は俺が与えた短刀を随分と気に入ったようで、片見離さず持っている。
夏生の筋力だとほとんど殺傷力は無いので渡しても大丈夫だと判断した。
一度夏生と手合わせをしてみたのだが、これも驚きの連続だった。
何個か基本の型を教えたのだが、それを更に昇華させて繰り出してきた時は流石の俺も状況が把握出来なかった。
勿論滅茶苦茶手加減していたが押されることも時々あった。
というかもうそこらの下手な大人より全然強い。山賊とか相手にならないぞ絶対に。
とはいえ夏生はまだ11歳。しかも女の子だ。
まだまだ身体は全然出来上がってないし、荒削りであることには変わりはない。
…取り敢えず、追い抜かれることだけは気を付けよう。久々に俺も修行しないといけないかもしれない。
「夏生ー。そろそろ行くぞ」
「…ん。分かった」
器用に着物の帯に短刀を仕舞い、俺の手を握る。
年端もいかない女の子である夏生に剣術を教えたのは、正しいことであるとは思えない。
「これで、陽の隣に相応しい女の子に、なれたかな…」
が、夏生がこんなに嬉しそうな表情をするならきっと間違いでもなかったのだろう。
俺の隣に相応しい?そんなの最初からずっとそうだったじゃないか。
あの日会った時からずっと、俺の隣は夏生の特等席だ。
それはこれからも変わらないと思う。
終わりが来るその日まで絶対に変わらないはずだ。
「…さて、今日は結構歩くぞ。ちゃんと着いてこいよ?」
「…うん。絶対に離れないよ」
俺の心を読んだかのような返答に思わず笑みが溢れた。




