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殺人の救世主  作者: おじさん
とある少女と殺人鬼の話
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2-26

「…ふぅ、気が済んだ…。ったく、俺だけならまだしも夏生にまで手を出しやがってよぉ…」


精神衛生上よろしくないとの理由で、私はずっと後ろを向いていた。


どんなことをしたのかは知らないが、壮絶な悲鳴が聞こえたので多分相当鬼畜なものだったのだろう…。


やっと終わったようで、陽の方を見ると私はひどく安心した。


自分が生きていたこと、陽が死ななかったこと。


そしていつも通りの彼の姿が見れたからだ。


きっと、さっきのあれが彼の本来の姿なんだと思う。


殺しに貪欲で、残虐で、なおかつ狂喜染みてる。


あれが本当の『人斬りシンゾウ』なのだ。


「…悪かった。夏生まで危ない目に遭わせて…」


陽と目が合うと、彼はすぐに頭を下げた。


それはさっきの姿とはまるで正反対で、とても弱々しかった。


「…陽は、私が死んでもよかった…?」


だからちょっと意地悪してみる。聞くまでもない質問だ。


「うっ…。もう二度とあんな無茶はしないし、危ない目にも遭わせないです…はい」


「…じゃあ、陽は…私のこと大事?」


「…あぁ。誰よりも大事だ」


自然と口角がつり上がる。顔がどうしても赤くなってしまう。


「…クスッ。…なら、許してあげる…」


さっきまでとの対比がとても面白くてつい笑ってしまう。


鬼のようだった彼が今では普通のただの人間のように見える。


さっき、あれが彼の本来の姿なんだと言ったけど。


きっとこの陽も本物なのだと思う。


私の大好きな陽。いつだって私を助けてくれる、大好きな殺人鬼。


「…じゃ、行くとするか。ここにはもう用は無いし」


悲鳴を聞き付けた村人が続々と集まってきているし、早く帰るのが得策だろう。


いつも通り陽が差し伸べた手を、いつもより少し強く握りしめる。


「…うん…!!」


今日は陽も疲れてるだろうから、ちゃんと寝かしてあげよう。


私が代わりに起きててあげるんだ。そんな考えが頭の中を駆け巡っていた。

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