2-12
「何の、用…ですか?」
遊びが中断されてご立腹な様子の夏生が俺の代わりに問い掛ける。
まさか夏生の方から問い掛けられるとは思ってなかったらしく、少々面を食らっていたがすぐに返答にはいる。
「…ある人物を、殺していただきたいのです」
神妙な面持ちで告げられた言葉は、俺に人を殺せという内容のものだった。
まぁ、大体予想はついてたけどまさか『依頼』される日が来るとは思っちゃいなかった。
断る理由は正直ない。合法的に人を殺せるのだから。
「却下。殺しは人に頼まれてするものじゃない」
だが、全く面白くない。
俺は俺の殺りたいときに殺る。殺しってのはそういうもんだ。
「…ダメ、ですか…」
「陽、話だけでも、聞いてあげたら…?」
あからさまに落胆する本…なんだっけな、覚えてないから男でいいや。
男を見て少し同情を見せる夏生。夏生に言われたなら仕方ないな。今回だけだよ?
ため息を吐き、目だけで話せと伝える。
少し嬉しそうになった男は、語り始めた。
「あ、ありがとうございます! ここの近くに村があるんです。私はその村の住民で、あることに困っているのです」
「あることって、何…?」
俺が聞きたいことを的確に質問してくれる、夏生はとても優秀です。
「その村を仕切っている、役人が問題なのです。3年前、その役人が来てから村は困窮の限りを尽くしています。その役人は、『あの』家の人間なので誰も逆らえなくて…」
なるほどなるほど。そりゃ逆らえないわ。
逆らったら村ごと潰されかねない。それぐらいのことは容易にするだろうね、『あそこ』の家は。
「…言いたいことはよく分かった。要するにその役人を殺人鬼である俺に殺してもらえば解決すると…」
「…はい。身勝手なお願いだというのは分かっています。どうか、この願い聞き入れてはもらえないですか…?」
夏生が顔をこちらに向け、どうするの?と聞いてきた。
うん、凄く断り辛いね。聞かなきゃ良かったわ。




