2-6
初めて外に出た。初めての外はこんな場所だったのか。
などと思う暇などなく、周りの光景に言葉を失う。
母親も、父親も。
意地悪な姉の片割れも。
…優しかった姉でさえも。
全員が生きてはいなかった。
全員が全員、赤い血を撒き散らし少したりとも動きはしない。
悲しい、とは感じなかった。それよりも衝撃が大きすぎた。
さっきまで動いてて、私を不幸にさせていた原因の人間が。
今はただの肉塊と化している。
何が起きてるのかを理解するよりも前に、まず吐き気がした。
辺りに漂う生臭い血の匂い。凄惨な光景。
暗闇しか見てこなかった私にはあまりにも驚異的なものだった。
何よりも憎かった人間が死んでいる。誰よりも私に優しかった…姉が死んでいる。
涙は出なかった。頭が混乱して、それどころじゃなかった。
未だに人の悲鳴と笑い声は村に響き渡り続けている。
私の足はもう歩みを止めていた。
止めたのではなく、動けなくなっていた。これから私はどうすればいいのか全く分かりはしなかった。
私があの部屋に閉じ込められていなかったら…。
私もこの死体の山の仲間となっていたのだろうか。
間違いなくなっていたはずだ。…誰よりも必要とされなかった私だけが生き残るとは何とも皮肉なことだ。
人の足音と話し声が近づいてくる。きっと、この人達を殺した人達に違いない。
きっと私も殺されるだろう。この人達のように。
思えば、平民として生まれて…何も良いことなんかなかった。
このまま死ぬのも悪くない…私の人生は何も意味は無かったのだから。
目の前の光景を見るのが嫌になって、私は目を閉じた。
結局、誰も私を助ける人なんていなかった。
私の世界を救ってくれる、そんな『救世主』なんて存在するわけなかったのだ…。




