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「こんな時代だ。別に珍しくもないだろ」
帰る場所の無い人間なんてきっと沢山いるはずだ。
理由は様々だが、根本はこの『時代』にあると言ってもいい。
ある人物が、この国の権力を握り始めてから。天下統一を果たしてから。
『平和』なんて言葉は嘘みたいに消えてしまった。
戦乱が繰り返され、暴力略奪は当たり前。
毎日のように人間が死んでいく。
…そんな時代だ。
「……俺は憎いよ。俺の父さん母さんを奪った全てが憎い…!!」
憎しみ。それは負の感情だ。
負の感情は人を狂わす。例外無しにだ。
憎しみに囚われたものの末路は大体決まってる。
勿論、いい方向に行くわけがない。
「…憎むのは勝手だが、それじゃ何も変わらない。お前が壊れるだけだ」
「!! ならどうすりゃいいんだよ!!? 憎むことしか、出来ないじゃないか…」
「本当にそうか?」
俺の発言に、勘太郎は俯いてた顔を上げる。
憎むことしか出来ない?…それは可笑しな話だ。
本当に憎いなら…『俺みたいになってる』はすだ。
「分からないか? お前の世界には両親しかいなかったのか? …違うだろ」
さっきも言ってたじゃないか、自分で。
「村の皆に恐怖を与えるな」って。
もう気づいてる。気づいてるはすだ。
自分が、これから何をするべきなのか。
「…お前には帰る場所があるじゃないか。大切な人達が沢山いる。…間違っても復讐だなんて愚かな真似はするな」
俺みたいな哀れな人間にはなるな、と付け足したかったのを何とか堪える。
どうも最近はお人好しになってしまってるようだ。俺がこんな発言するなんてな。
だが、勘太郎の顔を見る限りはちゃんと伝わっているようだった。
「やっぱり、陽は、優しい…ね」
「…気まぐれだ。優しいって訳じゃない」
ただ、俺みたいな人間が増えるのが嫌だっただけ。
ただそれだけだった。




