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殺人の救世主  作者: おじさん
とある殺人鬼と少女の話
19/102

1-18

そんな犯罪級に可愛い夏生に対して俺は少しだけ疑問を抱いていた。


今も嬉しそうにしている夏生を見てこんなこと考える俺は心が汚れているのかもしれないが。


それにしたって、疑問はいくらでも沸いてくる。


何でこの娘はこんなに可愛くていい子なのに、『辛い過去』が存在しているのだろうか。


明確にそういった過去があったと言われたことは無いが、俺には分かる。


年齢の割に大人びているのは、何かを悟ったから。


理由はいくらかあれど、それは俺も同じだったから。


今となっては村も滅びて確かめる術も無いが…。


わざわざ聞くのも野暮ってもんだし。


「…うん。…満足」


「それなら良かった。…さて、行くか」


着物も買えて、もう目的は達成した。


この村に長居して正体が知れたら面倒な事になるしな。


「何だ、もう帰られてしまうのか? 旅人さん」


群衆を掻き分け、着物屋の外に出るとそんな言葉をかけられた。


その言葉が自分にかけられたものだと理解するのに時間がかかったのは言うまでもない。


声をかけてきたのは、いかにも村長という風貌の爺さん。


頭の方は少し寂しいが優しそうな風貌をしている。


「え? あぁ、あんまり長居して迷惑かけるのもあれですしね。用事は済みましたし」


思えば人に『好意的』に話しかけられたのはいつ以来だろうか。


夏生以外だと全く思い出せない。


「せっかく来られたのですから、もう少しゆっくりされては如何ですかな?」


俺は嘘が得意と言った。ということは必然的に『嘘を見抜く』のも得意だ。


相手の目線、声質、身振り手振りなどから嘘を吐いているかどうかの判別ができるのだが…。


あ、これも殺人鬼にとっては必須の技能だよ。騙されて襲われるなんてことたくさんあるし。


「…そうですね。夏生もいますし、少しだけゆっくりしていかせてはもらえますか?」


結果は恐らく、本当。


本当だと言い切れないのは相手が嘘が上手いという可能性があるから。


まぁ、人の良さそうな爺さんだし大丈夫だろ。


もし、嘘だった場合…これは言わなくても分かるか。


端的に言えば、村が一つ消えることになるね。

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